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リッチ

誤字脱字の指摘、ありがとうございます。

 ダンジョンマスターの扉を開けると、そこには胸と頭だけの骨に黒いローブを着た者。これがリッチなんだろう。

部屋の片隅には俺の身長をはるかに超える魔石?があった。

「お前がここのダンジョンマスターか」

コクリと頷く。

「死にたくないのか?」

ブンと横に振り否定した。

「死にたいのか……」

「そう、死にたい、私はこの薄暗いダンジョンでずっと生きてきたのだ。もう何千年も……そこにある意思のある魔石ダンジョンコアとの契約でここに縛られている。魔法の研究のことに目がくらみ契約の裏にある縛りに気付かなかったのだ」

おっと、喋れるのか? だったら最初から頼む。

声帯とかは無さそうだが声が聞こえる。

「ここに居る限り私は死ねない。いくら、どんな攻撃を受けても復活できる。たとえターンアンデッドで消えたとしても魂がコアの中にあるから……」

「何人かは、ここに来たってことか……」

「私は何度でも復活する。ダンジョンコアは破壊できない。パーティーが数組ここまで来たが、何度も復活する私に摩滅して死んだ。もう人を殺したくない。だから強い誰にも負けないドラゴンの屍を私の前に置いたのだ」


妻もいい迷惑だったろうに……。

「わかった、死にたいんだろ? 何とかしてやる」

俺は収納カバンの中から契約台を出す。

「契約による縛りなら契約を破棄させればいい。意志のある魔石がお前を縛り付けているなら、その魔石を俺が縛り付ければいい」

そしてダンジョンコアへと近づく。

 契約台を持ち俺が魔石に指でユニコーンの紋章を書き始めると、ダンジョンコアは目も眩むほど輝く。すると今までにない脱力感が俺を襲う。

うっわーすげえ、えげつないぐらいに吸われる。きっついねコレ。

「ステータスオープン」

おーっと桁違いな勢いで魔力が減っていく。魔力の塊である魔石、更に俺よりデカいダンジョンコアにはそんだけ魔力が必要なのかねぇ。さーて、魔力が尽きるのはどっちが先なのやら……。

うー、しんどい。

額から玉のような汗が落ちる。

ふう、何とか隷属化が終った。もう立っているのがやっとだがね……。

「EX舐めるなよ」

と言っても、残ってる魔力は五桁程度、元々八桁あった魔力がそこまで減ってんだ。ほんとギリだったんだろうな。


「お前は俺の奴隷、だから制約をつける。それは『俺の言うことを聞くこと』」

ダンジョンコアが光る。

「リッチとの契約を破棄し魂を解放しろ」

リッチとダンジョンコアが光りだすと紙のような物が現れ燃え尽きた。

「契約は破棄された、お前の魂はお前のもとに戻った」

「ああ、私の魂はココにある」

自分の胸を指差す。

「じゃあ、殺すぞ」

そう言って聖騎士の剣をリッチの胸に深々と差し込むと妻ドラゴンを包んだ光がリッチを包み光が舞いだした。

「ああ、私の体が崩れていく。私の存在が消え天に召されるのがわかる」

本当だ、ほとんど残っていなかった体もローブも光になって消えていく。

「ありがとうダンジョンを制覇した者よ……」

すべての光が消えて無くなると、そのあとに金箱が現れるのだった。


さてコレどうしようか。

ダンジョンコアってのは長いので名をつけることにした。

「お前の名は『コア』そう呼ぶ」

コアが光る。

「つか、『はい』『いいえ』がわからん。『はい』は一回発光、『いいえ』は二回発光な」

コアが一回発光、「はい」

「ダンジョンは維持できるか?」

コアが一回発光、「はい」

「四十階より下を封印できる?」

コアが一回発光、「はい」

「だったら、このダンジョンコアの場所から四十一階までは階段を消去し封印。四十階のボスを倒したら地上に戻るようにしてくれ。ダンジョンが無くなると町が困る」

コアが一回発光し了承する。

すると、軽い震動が起こり、階段が消去されたようだった。

 ゼファードはダンジョンに挑戦する冒険者と、その冒険者が持ち帰る素材で賑わっている。その元となるダンジョンが無くなればこの町が寂れてしまうだろう。

 そうなると、カリーネも困るしな。

「それじゃ行くかな。俺以外攻略できないダンジョンにしたようだが、まあ暫くは分からないでしょう」

俺は金箱を回収すると皆のもとに戻った。


ここまで読んでいただき、ありがとうございました。

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