ダンジョン攻略15
誤字脱字の指摘、助かっております。
フィナの耳がぺたりと伏せられ元気がない。尻尾も下がってしまっている。
「マサヨシ様、悲しいですか?」
フィナは不安げに俺を見上げる。俺を心配しているのか?
「そうだなあ、悲しいけど。フィナたちが居るから大丈夫だ」
空元気でも笑わないとな。そう思って口角を上げると、
フィナの顔がパーッと明るくなり耳がピンと立つ。
「うん、一緒に居る」
ブンブンと尻尾が振れた。
疲れた顔をしたアイナ。
「アイナ、大丈夫なのか?」
「ん、大丈夫、魔力を使い過ぎただけ。しばらく休めば良くなる」
「アイナのターンアンデッドのお陰で助かった。あれが無かったらどうなっていたことか……」
「ターンアンデットは何となく使った。マサヨシが助かったのならいい」
やはり疲れているのだろう、力なく笑う。
「ありがとな」
俺が頭を撫でるとアイナは目を細めた。
妻ドラゴンの居た場所に立つ寂し気なリードラが居た。手には何か布のような物を持っている。
「悪い、リードラには妻が逝くところを見せられなかったな」
「逝ったのか?」
「ああ、逝った」
「そうか……。でも我にはマサヨシが居るでのう。大丈夫じゃ」
ニッコリと笑うリードラ。辛かろうに……。
「これが落ちておった。主に逢う時のために作っておったのかもしれんの。ホーリードラゴンのローブじゃ」
真っ白でキメ細かな皮でできたローブ。俺が袖を通すとピッタリだった。妻よメタボな俺の寸法も覚えていたのか……。
「リードラ、これ貰っていいか?」
「母様が主に作った物じゃろうて、着てやってほしいのじゃ」
「ありがとう大切にする」
リードラは妻が作ったホーリードラゴンのローブを愛おし気に触っていた。
マールは俺の涙に気付いたのか、ハンカチを出して俺の目元を拭ってくれる。
「マールありがとな」
「いいえ、私はあなたのメイドですから当たり前です。何なら頭も撫でましょうか?」
マールは俺を見上げて笑った。
そんなことをしていると、視線が……。
クリスがモデル立ちで胸を張って立っていた。
ありゃ怒られるかな?
「あなた何やってんの? まだダンジョンマスターを倒してないでしょ!」
やっぱり怒られたか……。
「そうだな、まだ終わってない」
「まさか、アイナにターンアンデッドで倒してもらおうなんて思っていないでしょうね? あなたが決着をつけなくてどうするの!」
俺が決着をつけなきゃ意味が無い……か。
「おう、俺が決着をつける」
そう言うとクリスを抱きしめた。
「バッまっ何するのよ!」
クリスは顔を真っ赤にして怒っているが、黙って抱きしめられていた。
「ん、元気出た。クリスありがとな」
「別にいいわよ、元気が出たなら……」
クリスがモジモジするのを見て笑ってしまった。
「バカ」
じー
おっと、残った四人から擬音語が聞こえる。
「「「「ずるい!」」」」
ハモらんでも……。
「悪いな、タイミングだ」
そう言うと俺は聖騎士の剣を持ちダンジョンマスターが居る扉へと向かった。
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