ダンジョン攻略13
誤字脱字の指摘、ありがとうございます。
アイナとマールのお陰で進行速度が速い。宝箱も開けずに俺のカバンの中に入れるようにしている。無駄が省けているのだ。
俺たちは五十階ボス部屋に到着し扉の前で止まった。すると、
「マサヨシの妻が来た」
アイナが言う。
『あら、見つかっちゃったわね』
懐かしい声が頭に響く。
「この先がお前の体が居るボス部屋?」
俺は何もいない空間に聞く。
『この先が私の体がある場所、五十階のボス部屋よ。その奥にダンジョンマスターのリッチが居るわ』
「了解、早くお前を解放しないとな」
『期待してるわよ。あっ、とりあえずあなただけが入ったほうがいいかもね。他の子だと、私の体の攻撃で即死する可能性があるから』
「お前そんなに強いのか?」
『ステータスだったっけ? そんなのあったでしょ? あれが全部EX』
俺と一緒か……。出鱈目なのはよくわかる。
「そういうこと?」
『そういうことよ、強いわよぉ』
多分ニヤついてるんだろうなぁ。
「ちなみにリッチは?」
『あれ弱いわよ? 多分アイナちゃんのターンアンデッドで昇天すると思うわ。弱いのがわかってるから手足になる強者を探したんでしょうし』
「それでお前を選んだってわけか」
『そういうこと、リッチは死体を操るのが上手いから体を使われちゃった。ああ、ボス部屋に入ってターンアンデッドを唱えたとしても無駄よ。アイナちゃんの能力じゃ私を昇天させられないし、私の体が守っているからリッチにも効かないわ。唱えるなら私の体を倒して奥のダンジョンマスターの部屋に入れるようになった時ね』
「了解、情報ありがとう」
俺が妻に礼を言うと、
『自分のためよ』
彼女はそう言った。ちょっと照れてるのかもしれない。
俺は皆を見回すと、
「さて、聞いての通り俺一人で行かなきゃいかんようだ。待っててもらえるかな?」
「我は主と行きたいぞ?」
『やめなさい、死ぬから。知らないだろうけどEXとSSSには能力的に十倍以上の差がある。どんなにダメージを与えようと思っても無理なの』
嫁がリードラを諭すように語り掛ける。
「まあ、そういうことらしい。たとえ嫁の体を倒しても誰かが死んでしまうのは嫌なんでね。黙って待っていてくれるほうが嬉しいかな。待っていてくれる人?」
渋々手を挙げる五人。
「ありがとうな、まあ、何とかするさ」
カバンの中にも回復剤を買ってあるし何とかなるとは思う。ただ俺はこの体を全力で使ったことが無い。ぶっつけ本番でどうなるかだろうなぁ。
俺は聖騎士の剣を片手に持ち扉へ向かう。その時、
『逆鱗って知ってる?』
嫁が聞いてきた。
「ああ、龍の弱点と言われるところだろ? 喉の辺りだったっけ? 他人が触れると激怒するって聞いたことがある」
常識だよな?
『よく知ってるわね。定番だけどそこが弱点。一応教えておくわ』
「おう、わかった」
そう言って盛大な夫婦喧嘩へとボス部屋への扉を開けた。
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