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「で、どこまで行ったの?」

 クリスが俺に聞いてくる。

「んー四十階?」

「えっ四十階? マサヨシ、川はどうしたの!」

 驚いたのかクリスが襟を持つ。

「んー、正直に言うと川を走った」

「どうやって?」

「足が水に沈む前に次の足を出したらあら不思議……走れたんです」

 まあ、その通りだし。

「相変わらず出鱈目ね」

 ヤレヤレ感満載のクリス。

「宝箱も結構出たぞ? いくつあるんだろ? 五十個以上? 数えてないけど……まあ、金ばっかりだけどね」

「マサヨシ、どうやって開けたの?」

「カバンの中にそのまま入れて持って帰ってきた。罠外すのはクリスとマールに任せる」

 と金色の宝箱の一つをリビングに出した。

「マサヨシ様、私にお任せください!」

 胸を張るマール。

 あれ? クリスの様子がおかしい。

「マサヨシ! こっこれは! 伝説の金箱……」

 手が震えている。血が騒ぐのかクリスが無意識に近づく。

「クリスまだ罠が解けてないから」

 俺はクリスを止めた。

「あっごめん」

「落ち着け、クリス」

 クリスは深呼吸をして気を落ち着かせる。

「何? 金箱だって?」

 逆にカリーネがテンションアップで近寄ってきた。


「金箱って何?」

「マサヨシ、金箱とはいいモノ確定の宝箱よ!」

 おお、なんかガチャっぽいな。

「伝説級のお宝が入っているって聞いたことがある。宝箱自体も芸術品の価値があって高く売れるの。持ってるだけで冒険者のステータスになるわ。ギルドマスターをやっている私でさえ見たことが無い。ダンジョンを攻略してマスターを倒せば確実に出ると聞いたことがあるんだけど……攻略されたダンジョンなんてこの国でも多くないでしょ? ダンジョン内のモンスターから出る確率がゼロに近いから金箱の数は少ないの。冒険者ギルドで金箱を持っているのは、王都ともう二か所ぐらいじゃないかしら」

 カリーネが語る。

「ボス倒したら出たけど。何か条件があるのかねえ」

 正直わからん。

「そうかもね、それこそあまりに出た数が少なすぎて条件はわからない。でね、ギルドが金箱を持つと箔がつくのよねぇ。ギルド員に有能なのが居るってことで……」

 じーっと俺を見るカリーネ。

「別に箱ぐらいならいいぞ? もう一個あるし」

 金色の宝箱をもう一つ出す。

「はあ? どんだけ強運なの?」

「呆れられてもなあ、倒したら出ただけだし……。まあ、要るというなら、ギルドに持っていってやるよ」

「ホント、ありがとう。これでギルドも有名になるわね」

 カリーネが抱きついてきた。


 ん? 一度離れて俺を見るカリーネ。

「と言うか、あなたがギルドに金箱を持ち込んだら多分Bランク確定なんだけど。Aでもいいわよ?」

「身内贔屓じゃいかんだろう?」

「何言ってるの! 十階、二十階のボスを倒してその素材を全部持って帰っているのよ? 三十七階が限界だったダンジョンの四十階のボスを倒して帰ったんでしょ? どうせボスも持って帰っているだろうし」

 おお、読まれてる。

「よくおわかりで」

「慣れたわよ! あなたの非常識さ、どうしようもないわ! 能力のわりに評価されていないし」

「申し訳ない、まだあまり依頼も受けてないしなぁ。上げてもらえるのも気が引ける」

「謝らない! あなたが凄いのはわかってるんだから! ギルドマスターとしてはランクを上げるのが普通なの!」

 そんなに怒るように言われてもなぁ。

「でも俺は別にランクは上がらなくていいぞ? Cランクならダンジョンにも入れるしな。カリーネや他の奴らが俺が強いと知っててくれればいい。変に指名依頼なんかで忙しいと家にも帰れないだろ? だから、Cランクのままで居させてくれないかな?」

「どこ行っても扉で帰れるくせに……まあいいわ、だったらSランクより上だと言えるくらいの、最強のCランクになるように」

「了解しました」

 ふう、やっと解放された……。


「肉は無いのですか?」

「マサヨシのことじゃ、我とフィナのことも考えておるじゃろ?」

 お前ら食い物待ちかよ。

「サイクロプスの肉って食えるの?」

「何ですって?」

「何?」

「そんなに驚くことが?」

 二人とも目を見開いている。

「サイクロプス自体は稀な魔物です。通常、サイクロプスが出てきただけで天災認定されます。Aランクのパーティーがいくつか集まって討伐するのです」

 結構普通にうろついていたがなぁ……。

「ただ、体が大きいため素材となるものを持ち帰ることが優先されます。肉は現場で食べられるだけ食べ持ち帰らないのが通例です。しかし現場で食べた者は『食べたことが無いほど美味しい肉』と口々に言っているそうです」

(われ)は一度倒したことがあって生肉は食べたことがあるぞ」

「サイクロプスを倒すなんて、やるじゃないか!」

 そう言うと、

「ギリギリじゃったがの」

 苦笑いのリードラ。

「どの部位を食べても美味かったのじゃ! 焼いたら最高じゃろうのう」

 リードラ、ヨダレヨダレ。

「何匹か素材用にカバンに入っているから、そのうち焼肉パーティーだな」

「本当ですか!」

「楽しみじゃ!」

 一気にテンションが上がる二人。

 まあ、解体してもらってからだな。

「そのうちだな、解体の手も追いついていないみたいだし」

 解体してもらう場所も考えないとなぁ。とりあえずカバンで留守番ってことで。


読んでいただきありがとうございます。

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