光の一族の力
リックはスケベな妖怪ハンターです。
大神官のサーギナが魔王に監禁されているはずのコーミ達の母親と妹を救い出しました。
「あり得ぬ! その二人は魔王様の強力な結界に守られた牢獄の一番奥に閉じ込めて、幾百もの屈強な兵が守っているのだ! きっと偽者であろう?」
動揺した悪魔のリーダーのブリーザーがサーギナを指差しました。
「偽者じゃないよ! 失礼だな、黒山羊くんは」
サーギナはほっぺを膨らませて腕組みをしました。
「黒山羊じゃねえよ!」
確かに一見すると山羊に見えなくもないブリーザー一味です。
「ならば、本物の証を見せてやろう!」
コーミが言いました。ブリーザーがギョッとして彼女達を見ると、四人は光り輝いていました。
「にゃん?」
リックはその神々しさに浄化されてしまいそうです。
「僕は悪者じゃないにゃん!」
十分悪者の素質があるリックが地の文に切れました。
「そうなんですかあ」
美人幼妻の遊魔は笑顔全開で応じました。
「我ら家族を魔王が取り込もうとしたのは、この光の力を恐れたからだ。我らが再び四人揃った以上、お前らのような不浄の者はこの世に留まる事はできぬ!」
次女のユーミが言いました。
「光溢れよ!」
三女のサーミが唱えました。
「羅翹!」
母親が声を張り上げて言いました。その途端、四人の身体から発していた光が広がり、悪魔達を取り囲みました。
「うぎゃあああ!」
ブリーザー達はなす術なく、光に飲み込まれ、浄化されて消滅してしまいました。
(危なかったにゃん)
リックは少し消えかけたので焦っていましたが、助かってしまったようです。
「その言い草は酷いにゃん!」
正義の味方の地の文の言葉にいちゃもんをつけるリックです。
「素晴らしい!」
ベカサク帝国の皇帝のケスウヨリが拍手して言いました。
実は彼も消えかけたのは内緒です。
「内緒にしてくれ!」
涙ぐんで自分に抗議するケスウヨリです。




