ザース、罰を受ける
リックはスケベな妖怪ハンターです。
主役なのにまるで役に立っていないリックがエロい事を考えている間に、大神官にレベルアップしたサーギナが魔王の配下であるザースを飛ばしてしまいました。
やはりここは、主役交代が順当だと思う地の文です。
「ダメ、絶対にダメ!」
血の涙を貧血になりそうなくらい流して地の文に猛抗議するリックです。
「そうなんですかあ」
遊魔は納得したようで、笑顔全開です。
「遊魔ー!」
リックは素直過ぎる遊魔にも血の涙を流したので、倒れそうです。
「うへえ!」
そのザースは、魔王の結界の外へと飛ばされ、地面に叩きつけられる直前で魔力によって軟着陸しました。
「おのれ、あの小娘!」
もう一度サーギナに戦いを挑もうとしたザースですが、
『ザースよ、お前はもう終わりだ』
どこからか、豚の声が聞こえてきました。
『余は豚ではない!』
魔王ジュカブがしつこい地の文のボケに切れました。
『ザースよ、もう次はないのだ。お前の命運はここで尽きた』
ジュカブの声が告げました。
「ひいい!」
ザースの真っ白になった髪がはらはらと抜け落ちていきます。
『妹と仲良くあの世で暮らせ』
ジュカブの言葉にザースは目を見開きました。
「妹は生きているのではなかったのですか!?」
涙を流して叫ぶザースです。
『我が側女になる事を拒んだのでな』
クククと低く笑うジュカブです。
『さらばだ』
その言葉が合図だったかのか、ザースの全身が業火で覆われました。
「うわあ!」
ザースは黒焦げになって消えてしまいました。
おおねずみは猫にされ、ザースは黒焦げ。扱いの違いに疑問を持つ地の文です。
魔王城の居室で、大きなゆったりとした椅子に腰掛け、酒を注いだグラスを右手に持つジュカブです。
(早く参れ、猫。久方ぶりに腕がなるぞ。あのサーギナとか申す不可思議な娘、一体何者なのか?)
ジュカブはリックよりサーギナが気になっていました。




