対魔王部隊の力
リックはスケベな妖怪ハンターです。
魔王の配下であるザースの出現により、リック達は窮地に陥りましたが、ベカサク帝国の皇帝のケスウヨリの登場で、形勢が変わりました。
「放て!」
皇帝が率いてきた軍隊は、銀の弓矢を次々に射かけました。
「グアア!」
そのお陰で、大きな身体の狼人間達が次々に倒されていきます。
「おのれ、ケスウヨリめ、いつの間にあのような部隊を編成したのだ?」
ザースはケスウヨリが皇妃になったコーミにたらし込まれ、骨抜きにされていると思っていたのです。
「息災か、我が愛しのコーミよ?」
ケスウヨリは微笑んで尋ねました。
「はい、陛下」
コーミは嬉し涙を流して応じました。
(面白くないにゃん。皇帝はいいとこ取りしたにゃん)
助けてもらったくせにそんな事を思って、ケスウヨリを睨む外道なリックです。
主役に相応しくないので、降板させましょう。
「ダメにゃん! 僕が降板したら、タイトル詐欺になるにゃん!」
必死に抵抗を試みるリックです。
それなら心配は要りません。「美人幼妻遊魔の異世界譚」に変更すればよいだけです。
「酷過ぎるにゃん!」
血の涙を流して切れるリックです。
(でも、何となくエロくていいタイトルかも知れないにゃん)
そうも思うリックです。そこなしのスケベだと思う地の文です。
「見たか、外道。我が帝国が誇る、対魔王部隊の力を!」
ケスウヨリはビシッとザースを指差して言い放ちました。
「おのれ!」
ザースは何かを呟き始めました。でもツイッターにではありません。
「む?」
ケスウヨリはザースが唱えている呪文の内容に気づきました。
「まさか、此奴!?」
次の瞬間、銀の弓矢で倒されて萎れてしまったワーウルフがむくりと起き上がりました。
「にゃん!」
リックはビクッとして遊魔の後ろに隠れました。
「ゾンビウルフか?」
ケスウヨリは額に汗を浮かべました。




