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ハンデ戦開始

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 とうとう魔王城のすぐそばまで来たリック一行ですが、賢者のサーギナに一度は敗れた魔王の配下のザースが再び現れ、リベンジを挑んできました。


 リック達がいるのは魔王の結界が更に強くなったところなので、リックの紅蓮の炎も使えません。


 卑怯者で意気地なしでスケベで変態のザースは、モンスター達をたくさん呼び寄せました。


「そこまで言うか!?」


 悪口雑言の限りを尽くす地の文に切れるザースです。


(敵は全員むさい男だにゃん。おねいさん攻撃も封じられたにゃん)


 リックは万策尽きたと思いました。


「切り刻んでやれ!」


 ザースがニヤリとして下がりました。


 それと入れ替わるように巨体を揺らして進み出たのは、身長がリックの二倍くらいある狼人間ワーウルフです。


(勝負にならないにゃん……)


 すでに少しチビっているリックです。


「ガアア!」


 ワーウルフが一斉にリック達に襲いかかりました。


「ここは任せて!」


 サーギナが言い、またどこからか巨大なハンマーを取り出しました。


(サーギナしゃん、まだ勘違いしているにゃん)


 それを見て苦笑いするリックです。


「おりゃあ!」


 サーギナの振り回すハンマーのお陰で、ワーウルフはリック達に近づけません。


「何をしている!? 回り込まんか!」


 後方で偉そうに怒鳴るザースです。


 ワーウルフは二手に分かれ、サーギナを引きつける三頭とリック達を襲撃する四頭になりました。


「ガアア!」


 うち一頭が美人姉妹の姉のコーミに接近し、掴みかかりました。


「いやあ!」


 まだ本調子ではないコーミは何もできずに絶叫しました。


「コーミしゃん!」


 リックが助けに入ろうとした時でした。


「グガア!」


 ワーウルフはドサッと倒れました。


「間に合いましたな」


 リック達の背後で声がしました。


「陛下!」


 コーミが涙ぐんで叫びました。


 そこにはベカサク帝国の皇帝ケスウヨリとその軍隊がいました。

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