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リック、魔王城へ進む

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 魔王の居城が直接見えるのは九十九折つづらおりの手前までです。


 くねくねしている道は敵の進撃を防ぐ目的なのか、全く見通しがききません。


(お化けが出そうな気がするにゃん)


 リックは自分が化け物なのを忘れ、怯えています。


「ぼくは化け物じゃないにゃん!」


 地の文の指摘に切れるリックです。


 申し訳ありません。バカ者でしたね。


「それも違うにゃん!」


 完全に面白がっている地の文に更に切れるリックです。


「そうなんですかあ」


 美人幼妻の遊魔は笑顔全開で応じました。


「お気をつけください、リック様。魔王の眷属がこの道のあちこちに潜んでおります」


 元魔王の配下でベカサク帝国の皇妃であるコーミが告げました。


「え?」


 ビクッとしてコーミを見るリックです。


「大丈夫ですよ。我が夫は強いですから。魔王も一捻ひとひねりですよ」


 笑顔全開で取り返しがつかなくなりそうな事を言う遊魔です。


(ハードルを上げないで欲しいにゃん)


 顔を引きつらせて笑うリックです。


「そうですね」


 コーミとユーミの美人姉妹は微笑んでリックを見ました。


「任せておくにゃん! 僕が魔王の親族なんか、あっと言う間にやっつけてやるにゃん」


 威勢のいい事を言うリックですが、顔がスケベになっていて、軽くボケてもいます。


 豚の親族なら、猪でしょうか?


は豚などではない!」


 地の文のボケを全部拾ってくれる実はいい人かもしれない魔王が切れました。


「余はいい人ではない! この世界で一番悪い人だ!」


 魔王は悪い人アピールをしましたが、地の文は無視しました。


 その時でした。


「待っておったぞ!」


 髪の毛が白くなってしまったザースが現れたので、コーミがギョッとしました。


「あ!」


 賢者のサーギナが指差しました。ザースはニヤリとしました。


「ウチのおじいちゃんにそっくり!」


 強烈なボケをかまされ、倒れそうになるザースです。

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