魔王の城へ!
リックはスケベな妖怪ハンターです。
様々な困難を乗り越え、リックは遂に豚の城の近くまで来ました。
「余は豚ではない!」
地の文の悪口を細大漏らさず聞きつける魔王ジュカブが切れました。
「コーミばかりではなく、ユーミまで落とされてしまうとは……。あの猫め、聞きしにまさるツワモノよな」
ジュカブは居城の中にある自分の部屋の姿見を見ながら呟きました。
「私に今一度チャンスをくださりませ、陛下。少なくとも、私は裏切ってはおりませぬ!」
そう言って、魔王にすがりつくような目を向けているのは、イナガンヒ王国の宰相であったザースです。
ザースは、賢者サーギナに呪詛を跳ね返され、その恐怖のあまり、髪の毛が全部抜けてしまいました。
「違う!」
抜けたのではなく、真っ白になっただけのザースが、捏造を繰り返す○○○○○のような地の文に切れました。
「もうしくじりは許されぬぞ、ザース」
ジュカブは目を細めてザースを見下ろしました。
「はは!」
ザースは這いずるように頭を下げ、応じました。
(ザースごときでは太刀打ちできぬのは目に見えておる。最近、退屈していたのだ。たまには骨のある奴と戦いたいのだ)
ジュカブは何かスケベな事を思い出したのか、ニヤリとしました。
「違うぞ!」
さらに捏造を重ねる地の文に切れるジュカブです。
リック一行は魔王の居城へと続く九十九折の手前まで来ています。
「この先に伊○の踊り子の像があるの?」
サーギナが意味不明の事を言いました。リックは無視しましたが、
「そうなんですかあ」
美人幼妻の遊魔は笑顔全開で応じました。
コーミとユーミの美人姉妹は顔を見合わせています。
「ここから先は更に魔王の結界が強くなり、レベルの低い魔法は発動しません。お気をつけください」
コーミの言葉にリックは、
(帰るという選択はできないのかにゃん?)
ここまで来てそんな事を考えていました。




