リックのターン
リックはスケベな妖怪ハンターです。
(かっこよく決まったにゃん!)
絶妙のタイミングで登場できたので、ニヤけるリックです。
(この猫、相変わらず気持ち悪い)
それに気づいたユーミは小さく身震いしました。そして、
「邪魔すると承知しないよ、猫!」
鬼の形相で怒鳴りました。
「ひ!」
リックは一瞬身じろぎましたが、
(どっちも美人だから、傷つけたくないにゃん)
下衆な事を考えていました。
「リック様……」
下着姿になってしまったコーミが虫の息で呟きました。
「もう大丈夫だよ」
賢者のサーギナが治癒呪文を唱えてコーミを回復させました。
たまにはまともな事をするサーギナにびっくりした地の文です。
「僕は別の世界では最強の妖怪ハンターだったにゃん。君のような美しい人を傷つけたくないにゃん。おとなしく降参するにゃん」
また凛々しい顔に戻り、告げるリックです。何故なら、美人幼妻の遊魔に取り憑いている猫神の魔遊の冷たい視線が痛かったからです。
「うるさい! お前などに何がわかる!?」
それでもユーミは険しい顔のままで言い返しました。
「おイタが過ぎる子にはお仕置きするにゃん」
またしてもにやけ顔になるリックです。きっとスケベな事を考えているのでしょう。
「そんな事ないにゃん!」
核心を突いた地の文に焦るリックです。
「お前も死にな!」
ユーミはまたしても豚の顔をダブらせて叫び、妖気を放ちました。
「余は豚ではない!」
地の文の軽いジョークにも過敏に反応する魔王ジュカブです。
「無駄にゃん」
リックは紅蓮の炎を出して、妖気を消し飛ばしてしまいました。
「おのれ!」
ユーミは歯噛みしましたが、
「それならば、これはどうだ?」
着ていた衣の襟をはだけて、胸の谷間を見せました。
「にゃん!」
リックは目を見開いて鼻血を垂らしました。
「隙あり!」
妖気がリックを直撃して、リックはそれに縛られました。




