真実の間に
リックはスケベな妖怪ハンターです。
美人幼妻の遊魔に愛想を尽かされたリックは、必死にご機嫌を取りながら、魔王の城に向かっていました。
その一方、吊り橋を渡り切った先で、ベカサク帝国の皇妃であるコーミは、魔王の配下のユーミと相対していました。
何と二人は姉妹だったのです。
作者が思いつきで設定をしたのは内緒にする地の文です。(本当に内緒にしておいてください 作者)
「裏切り者? 其方はもはや身も心も魔王に捧げてしまったというのか?」
コーミは目を見開いて言いました。ユーミはコーミを嘲るように見て、
「捧げたわよ。永遠の命と美貌を与えてくださったから」
「あの豚に?」
今度はコーミが蔑むような目でユーミを見ました。するとコーミは、
「勘違いしないでよ。あの方は私のような痩せた女にはご興味がないの。もっとふくよかでないとね」
そして、キッと姉を睨みつけ、
「あんたの裏切りで、母様と妹のサーミが牢に入れられてしまったわ!」
「ええ!?」
コーミはその言葉に衝撃を受けました。
「責任を取って、ここで死んでちょうだい、お姉様」
ユーミは吊り目をより吊り上げて叫びました。
「私を殺したところで、母様とサーミは解放されないと思うけど?」
コーミが言うと、ユーミは激怒して、
「それは命乞いかしら、お姉様!? 二人の自由はあんたの命と引き換えだっておっしゃったのよ、ジュカブ様が! だから、死んでちょうだい!」
コーミはそれを聞き、ユーミが完全に魔王に取り込まれているのを知りました。
その光景を魔王ジュカブは、自分の部屋の専用の大きな椅子に座り、姿見で眺めていました。
以前より更に豚になったと思う地の文です。
「うるさい! 余は豚ではない! 魔王ジュカブじゃ!」
正確な指摘をした地の文に切れるジュカブです。
(どちらが死んでも構わぬが、できれば共倒れが最高じゃな)
ジュカブはニヤリとしました。




