コーミ VS ユーミ
リックはスケベな妖怪ハンターです。
美人幼妻の遊魔にズルズルと引き摺られていたリックですが、地面の石で頭を打ち、あまりの痛さに目を覚ましました。
「痛いにゃん、遊魔!」
涙目で抗議するリックですが、遊魔はプリプリしたままで聞く耳を持ちません。
「いだいいだいいだい!」
リックはそのまましばらく地面を引き摺られました。
「もう、速いんだから! やっと追いつけたよ」
そこへ呑気な賢者のサーギナが現れました。
「そうなんですかあ」
遊魔は笑顔全開で応じ、ようやくリックを解放しました。
「酷いにゃん、遊魔」
リックはこぶだらけになった頭を擦りながら立ち上がりました。
「お前様が浮気をしようとするからです!」
遊魔はほっぺを膨らませて言い返しました。
「いや、浮気じゃないにゃん。僕は襲われていたんだにゃん」
リックは嫌な汗を掻いて弁明しました。
「え? 誰を襲っていたの?」
話をややこしくする名人のサーギナが尋ねました。
「違うにゃん! 僕が襲われたんだにゃん!」
必死に訂正するリックですが、
「お前様を見損ないました!」
遊魔はプイッと顔を背け、歩いて行きました。
「遊魔……」
リックは項垂れました。
「ホントに仕方がないなあ、君は」
サーギナが肩を竦めて言いました。更に項垂れるリックです。
今までの行いが悪過ぎるので、自業自得だと思う地の文です。
その頃、吊り橋を何とか渡り切ったベカサク帝国の皇妃のコーミは、遊魔達に追いつくべく、必死に走っていました。
「む!?」
コーミは、横から迫る強い妖気に気づき、ハッとして立ち止まり、身構えました。
「あら、久しぶりね」
そこに現れたのは魔王の配下の切れ長の目の美女ユーミでした。
「やはり貴女だったの、ユーミ」
コーミは鋭い目つきでユーミを睨みました。ユーミはフッと笑って、
「それがどうしたの、裏切り者のお姉様?」
二人の美女は火花を散らすような目になりました。




