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リック危機一髪

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 そのスケベ心が災いし、魔王ジュカブの側室達とあんな事やそんな事をしようと考えて、側室達がいる館に潜入しましたが、そこには巨漢さんがたくさんいたのでした。


(魔王はデ○専だったにゃん……)


 異常に高い温度と湿度のせいで、意識が朦朧とする中、リックは一人の巨漢さんに組み伏せられています。


「もう、魔王様と口を吸い合ったのは一体いつ以来だったかわからないわ」


 巨漢さんがその分厚くて横にも長い唇を突き出して、リックに迫って来ました。


「ミギャー!」


 リックはすんでのところでそれに気づき、顔を動かして避けました。


「どうして逃げるのよ、お兄さん? ウブなのね?」


 グフッと不気味な笑い声をあげ、巨漢さんはもう一度唇を突き出して迫って来ました。リックはかわそうとしましたが、


「ダメよ、暴れちゃ」


 グイッと頭を象の足のような手で押さえ込まれしまったので、全く動けません。


「ひいい!」


 リックは気絶寸前になりました。


 その時でした。


「お前様!」


 美人幼妻の遊魔の声が聞こえた気がしました。


(ああ、僕はここで死ぬにゃん)


 最後にもう一度、遊魔の踵落としを食らってみたかったと妙な事を思うリックです。


「そんな事は思わないにゃん!」


 リックが気ままな地の文に突っ込みを入れました。すると、


「お前様、何をしているのです!」


 空気を斬り裂くような音が聞こえた次の瞬間、遊魔の踵落としが炸裂し、リックは床に減り込みました。


「ご迷惑をおかけ致しました」


 遊魔は床からリックを引っぱり出してズルズルと床を引き摺り、偽の桃源郷から出て行ってしまいました。


 巨漢さん達はその間中、呆然としていました。


 


 魔王の配下である切れ長の目の美女ユーミは、逃亡したザースを探していましたが、


『ユーミよ、猫が罠を破った。すぐに戻れ』


 ジュカブが念を送って来ました。


「まさか!?」


 ユーミは目を見開きました。

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