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リック、見事に罠にはまる

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 遂に魔王ジュカブの側室達がいる部屋に辿り着いたリックは、その中に桃源郷を観ました。


(今まで生きて来た中で一番嬉しい!)


 某恭子さんの言葉を真似て感情表現をするリックです。


(この中は妙に暑いにゃん。どういう事にゃん?)


 リックは蒸し風呂にでも入っているかのような感覚に陥りました。


(そうか、おねいさん達の熱気にゃん! 僕を歓迎しているにゃん!)


 絶望的に前向きな馬鹿者です。


「僕は馬鹿者じゃないにゃん!」


 地の文に理不尽に切れるリックです。


 大抵の場合、馬鹿者は自分の愚かしさに気づかないのが世の常です。


 いくら周囲の者がその過ちを説いてみても、全く理解できないのです。


 一度痛い目に遭った方がいいと思う地の文です。


「いらっしゃいまし」


 美女達が笑顔全開で応じ、リックを歓迎するかのように手招きしています。


「おねいさーん!」


 いつものように叫ぶリックですが、そこは魔王ジュカブの結界の中です。


 子猫の術は発動しません。そして、罠にはまっているリックはその不自然さに気づく由もありません。


(ここまで監視して来たが、もやはその必要はないな。あの猫は、予想を超えた阿呆であった)


 柱の陰から某姉ちゃんのように観察していた魔王配下のユーミですが、監視を続けても仕方がないと判断し、その場を去りました。


「おねいさーん!」


 リックは手始めに赤い胸当てを着けている美女に抱きつきました。


「にゃん?」


 リックは美女を抱きしめようとしましたが、何故か背中に手が届きませんでした。


「え? どういう事にゃん?」


 リックはキョトンとして顔を上げました。すると、そこには美女ではなく、巨漢の女性がいました。


 端的に表現すると「○ブ」です。


「ミギャー!」


 仰天したリックは、慌てて飛び退き、周囲を見渡しました。


 そこにはたくさんの巨漢の女性が居並んでいました。


 気絶しそうになるリックです。


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