リック、側女の館に潜入する
リックはスケベな妖怪ハンターです。
銀髪美女のテンコ、そしてその姉とのあんな事やそんな事を妄想し、それを糧にして、リックは突き進みました。
(何か妙にゃん。敵が全然現れないにゃん)
魔王の居城がすぐそこだというのに、全くモンスターが現れないのを、頭の悪いリックも不審に思ったようです。
「僕は頭は悪くないにゃん!」
事実をありのままに述べただけの地の文に切れるリックです。
(きっと、僕の強さに恐れをなして、逃げてしまったんだにゃん)
アホな結論を出し、妙な自信を持ったリックは先を急ぎました。
(愚かな猫め。魔王ジュカブ様の恐ろしさを存分に思い知るがいい)
木の陰からリックの様子を窺っている魔王の配下のユーミはニヤリとしました。
そして、ユーミはヘラヘラ笑っているリックに気づき、
(薄気味悪い奴だ)
身震いすると、フッと姿を消しました。
ユーミに監視されているとは夢にも思わない小者は、ひたすら魔王の側室達がいると言われている邸を目指しました。
「小者じゃないにゃん! 僕は偉大なる妖怪ハンターにゃん!」
地の文の表現にイチャモンをつけるリックです。経歴詐称はよくないと思う地の文です。
「むん?」
リックは辺りに漂っているいい匂いに気づきました。
「これはお香の匂いにゃん。きっと、美女達が焚いているんだにゃん」
涎を垂らしながら妄想を膨らませる変態です。
「待ってるにゃん、美しい方々! もうすぐ超イケメンが助けに行くにゃんよ!」
目の前に大きな館の屋根が見えて来て、やがて、リックの身長の何倍もある高い城門が現れました。
城門には見張りの雑魚モンスターが二匹立っています。
「おお、侵入者だぞ!」
二匹はリックに気づき、ホラ貝のようなものを吹きました。
「そうはさせないにゃん!」
リックは紅蓮の業火を放ち、ホラ貝もどきを焼き付くし、唖然としている二匹のモンスターを倒しました。




