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遊魔、夢の世界でリックに会う

 リックは古今無双のスケベな妖怪ハンターですが、只今、地下牢に閉じ込められていて、役立たずです。


「うるさいにゃん! 今、脱出方法を模索中にゃん!」


 口だけは達者なリックです。


 


 その頃、美人幼妻の遊魔は、イナガンヒ王国の国王ネールと宰相ザースにまずい事をされようとしていました。


 しかし、遊魔はお腹いっぱい食べたので、ぐっすり眠ってしまっています。


 貞操のピンチであるにも関わらず、遊魔は夢を見ていました。


 その夢は、リックと一緒に旅をしているものでした。


 青空がどこまでも広がるいい天気です。心地良い風が遊魔の頬を撫でます。


 馴れない情景描写に戸惑う地の文です。


 リックと遊魔は微笑み合いながら、手を繋いで草原を駆けていきます。


 完全に遊魔の妄想の世界です。リックは遊魔と手を繋いで走った事などありません。


 遊魔を怒らせて逃げた事は何度もあります。


 夢の中では紳士的なリックです。見ていて気分が悪くなり、嘔吐しそうになる地の文です。


「うるさいにゃん! 僕は遊魔を愛しているにゃん!」


 心にもない事をほざくリックです。何か反論しているようですが、無視する地の文です。


 そんな遊魔の夢とは裏腹に、彼女は宰相を押しのけた国王に胸当てを引き剥がされようとしていました。


「グフ……」


 国王は不気味な笑みを浮かべました。決してMSの名称を呟いたのではありません。


 その時でした。


「お前様!」


 遊魔が寝言を言ったかと思った次の瞬間、国王の右側頭部に遊魔の真空飛び膝蹴りが炸裂しました。


「ぐへえ!」


 白目を剥いて吹っ飛び、地面に叩き付けられるネールです。


「うひゃあ!」


 それを見て、ザースは飛び退きました。


「許しませぬ……」


 そしてまた気持ちよさそうに寝入ってしまう遊魔です。


「遊魔、愛しているにゃん」


 夢の中のリックはイケメンです。しかも、バラの花束を抱えています。


「お前様!」


 嬉しそうにリックに抱きつく遊魔です。

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