コーミの思い
リックはスケベな妖怪ハンターです。
リック達は最果ての大陸を目指していますが、それを阻もうとする者が動き出しました。
イナガンヒ王国の宰相のザースです。
彼は実は魔王ジュカブの配下で国王のネールを操っています。
魔王はモンスター軍団があっさりリック一行に敗北したので、彼にリックの始末を命じたのです。
(猫は女を使えばすぐにやれる。問題は猫の奥方、そして奥方に取り憑いている猫神の魔遊、合流した奇妙な女だ)
ザースは宰相専用の馬車で移動しながらあれこれ考えていました。でも馬車は赤くはありません。
(あの森に住まう者は古の秘法も使えると聞く。サーギナと申す女がそこまでのレベルかわからぬが、警戒するに越した事はない)
石橋を叩いて壊すと言われている程慎重なザースです。
(そして……)
ザースは手許にある水晶の玉に映るベカサク帝国の皇妃コーミを見ました。
(裏切り者には悲惨な末路を与えるのが、我らの信条)
ザースはニヤリとしました。
ザースに監視されているとは知らないコーミは皇帝親衛隊が警護する馬車でリック達を追いかけていました。
(私は取り返しのつかない事をしてしまった。許してもらえぬだろうが、それでも何かせずにはいられぬ)
コーミは悲痛な覚悟を胸に秘めていました。
リック達は次第に寒い気候になってきたので、途中にあった道具屋で防寒着を購入して着ました。
「寒いの苦手にゃん」
リックが言うと、
「じゃあさ、暖かくなる事をしようよ」
サーギナがいきなり言いました。スケベなリックは、
「にゃにをするのかにゃ、サーギナしゃん?」
涎を垂らして訊きました。
「おしくらまんじゅうだよ」
サーギナは言うや否や、
「おしくらまんじゅう、押されて泣くな」
いきなりリックにボディアタックをかましました。
「にゃーん!」
リックは遥か彼方まで飛んで行ってしまいました。




