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ザース動く

 リックはスケベな妖怪ハンターです。


 モンスター軍団の襲撃を何となく撃退したリック一行は、最果ての大陸を目指しています。


「賢者って凄いよね。私、びっくりしちゃった」


 魔法使いからレベルアップ(?)したサーギナが笑いながら言いました。


(僕達はもっとびっくりしたにゃん)


 リックは苦笑いして応じました。


 でも、結果的にサーギナのお陰で敵を撃退できたのですから、何も言わないリックです。


「お前様!」


 またいつの間にか猫神ねこがみ魔遊まゆうと入れ替わった美人幼妻の遊魔が、サーギナを舐めるようにして見ているリックの左耳を思い切り引っ張りました。


「いだいにゃん、遊魔ァ」


 そうは言いながらも、サーギナのローブの間からチラ見えする美脚を堪能しているリックです。


 


 一方、すっかり出番がなくなっていたイナガンヒ王国の宰相であるザースは、執務室に籠り、本当のあるじである魔王からの連絡を受けていました。


「モンスター達は猫共にやられてしまった。やはり、下等な生き物はあてにならぬ。其方が連中を始末するのだ、ザース」


 姿見に映った醜い豚が言いました。


「何度も申すな! は醜い豚ではない!」


 豚が切れました。失礼しました、卑しい豚でしたね。


「違う! いずれにせよ、余は豚ではない! 魔王ジュカブじゃ!」


 地の文の癒しの効果がある冗談に本気で切れてしまう疲労が蓄積しているらしいジュカブです。


「承知しました。このザースにお任せください、魔王陛下」


 ザースはうやうやしく頭を下げました。


 


 ベカサク帝国の皇帝であるケスウヨリはお抱えの魔導士から報告を受けていました。


「ザースが動き出したのか。リック殿が危ういな」


 ケスウヨリは呟きました。


「私が参ります」


 そこへ現れたのは皇妃コーミでした。皇帝は驚き、


「其方はまだ身体が回復しておらぬのでは?」


「大事ありませぬ」


 コーミは微笑んで応じました。

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