団長、逃亡
リックはスケベな妖怪ハンターです。
大きなおおねずみを凍らされた団長は激怒しました。
「許さん!」
団長は再び仲間を呼び集めました。当社比二倍の速さで仲間が集まりました。
「チュウウウ!」
「チューチュー!」
「チュワワ!」
何体もの大きなおおねずみが出現し、賢者に進化したサーギナを取り囲みました。
「踏み潰せ!」
団長は目を血走らせて命じました。何体集まっても、できる事は一つしかないバカ集団です。
「うるさい!」
ズバッと指摘してしまった地の文に切れる団長です。
「サーギナしゃん!」
リックは青ざめて叫びました。
「リック、何とかせんか!」
美人幼妻の遊魔に取り憑いている猫神の魔遊も、この時ばかりは焦って言いました。
「そんにゃ事言っても……」
リックはオロオロとして、何もできません。さすが小者です。
「小者扱いはシリーズが違うにゃん!」
さり気なく他作を宣伝した地の文に切れるリックです。
「チュウウウ!」
大きなおおねずみが一斉にサーギナに襲いかかり、踏みつけました。
「サーギナしゃん!」
リックは涙と洟と涎を一緒に流して叫びました。
ああ、あーんな事やそーんな事をしたかったのに! リックは心の中で思いました。
「内緒にしないとダメにゃん!」
血の涙を流し、もう一度同じ事をした地の文に切れるリックです。
呆れ果てた魔遊は白い目でリックを見ています。
ところがでした。
「指切り拳万剣!」
サーギナが叫びました。すると次の瞬間、大きなおおねずみ達が全て細切れにされ、元の姿に戻ってしまいました。
「賢者になったから、新しい必殺技を覚えたよ!」
嬉しそうに数え切れない程の剣を持ったサーギナが笑顔全開で告げました。
(それも何か違う気がするにゃん、サーギナしゃん)
唖然とするリックと魔遊です。
「お、覚えていろ!」
団長はねずみのくせに脱兎の如く逃げてしまいました。




