団長の奥義
リックはスケベな妖怪ハンターです。
モンスター軍団の団長であるおおねずみはニヤリとして、
「チューチュー!」
いきなりセクハラ攻撃をしました。
「違う!」
地の文のイレギュラーなボケに怒り心頭の団長です。
「お前も仲間を呼べるのかにゃん?」
リックはビクッとして尋ねました。次の瞬間、リック達の周囲に無数のおおねずみ達がまさしくねずみ算式に現れました。
「そうだ。お前が猫だからって、ねずみに勝てるなんて思うなよ」
団長は不敵な笑みを浮かべ、正体を現しました。でも、潜水が得意な人ではありません。
「おおねずみか?」
美人幼妻の遊魔に乗り移っている猫神の魔遊が言いました。
「そうさ。お前によってこの世界の一番果てに追いやられたおおねずみさ!」
団長は胸を張って言いました。
「まずいぞ、リック。奴らおおねずみは仲間を次々に呼び集めるのだ。そして……」
魔遊が真顔で言いかけましたが、
「心配要らないにゃん。食物連鎖の関係で、ねずみが猫に勝てる訳がないにゃんよ」
リックは得意満面で、仰け反っています。
「ねずみさんがどんどん重なっていくよ」
呑気な魔法使いのサーギナが何故か嬉しそうに告げました。
「え?」
ハッとしておおねずみ達を見るリックです。
「にゃん!」
驚いた事に重なっていったおおねずみは他の仲間と融合し、巨大化していました。
「にゃにがどうにゃっているにゃん?」
気が動転して、噛み噛みになってしまうリックです。
「どうだ、我らが奥義!」
更に胸を張り、高笑いする団長です。大ねずみ達は周囲にある岩山よりも大きくなっています。
「ひいい!」
恐怖のあまり、漏らしそうになるリックですが、
「僕の紅蓮の炎に燃やせないものはないにゃん!」
そう叫ぶと、業火を呼び出し、おおねずみに放ちました。
「ふん!」
しかし、鼻息だけで業火を消してしまうおおねずみです。
リックは蒼ざめました。




