サリア、降参する
リックはスケベな妖怪ハンターです。
リックに抱きしめられたサリアは涙が止まりません。
「許して欲しいにゃん、サリア。僕が悪かったにゃん」
リックはサリアの耳元で囁きました。
「ああん……」
サリアは昇天してしまいそうなくらい喜びを感じています。
「君は本当はいい子にゃん。そんな君を悪い子にしたのは誰にゃん?」
リックは尋ねました。するとサリアは潤んだ瞳でリックを見上げ、
「魔王ジュカブよ」
リックは微笑んで頷き、
「そうにゃん。君はジュカブのせいで本来の可愛らしさを失っていたにゃん。でも、もう大丈夫にゃん」
歯が浮くような台詞を言い続けるリックです。
「私の方こそごめんなさい、リック。酷い事を言ったりして……。許してね」
サリアは涙をポロポロと零して謝りました。
「いいにゃん。気にしてないにゃんよ」
リックはもう一度サリアを抱きしめました。
「ああん、リック、愛しているわ!」
サリアはリックを押し戻すと、ブチュウッと熱烈歓迎的なキスをリックの唇にしました。
(ひやああああ!)
心の中で雄叫びを上げるリックです。
(いくら見た目が女の子でも、よく見ると口の周りが青々としているにゃん!)
リックはサリアの正体を改めて目の当たりにし、気絶しそうです。
「ありがとう、リック。私、やり直せそうよ」
サリアは意識が飛びそうになっているリックを抱きしめると、離れました。
「本当なら、貴方と共に最果ての大陸に行って、魔王を倒すべきなんだけど、魔王には一宿一飯の恩義があるから、それはできないの。ごめんなさいね」
サリアは目を潤ませたままでリックを見つめました。
「そうなのかにゃん。でも、大丈夫にゃん。気持ちだけ、受け取っておくにゃん」
リックは顔を引きつらせて応じました。
「じゃあね、リック」
サリアは投げキスをすると、インコの姿に戻って、仲間達と共に飛び去りました。
それを見届けて、気を失うリックです。




