サリア、陥落?
リックはスケベな妖怪ハンターです。
呆然としているリックを尻目に、美人幼妻の遊魔と子猫達は八面六臂の活躍です。
あれだけいたインコが見る見るうちに減っていきました。
遊魔に砕かれたインコは妖気を飛ばされ、元の普通の可愛らしいインコになって飛び去ってしまいました。
子猫達に身ぐるみ剥がされたインコ達も元に戻り、飛び去りました。
「いやあああ!」
それを見ていたお喋りインコのサリアはまた雄叫びを上げ、仲間を呼ぼうとしました。
「そうはいかないにゃん!」
リックが紅蓮の炎を呼び出して、もう一度サリアに見舞いました。
「ひええ!」
サリアは業火に包まれ、見えなくなりました。
「お前も元を辿れば、普通のインコだったはずにゃん、サリア。お前は悪い魔王に操られているだけにゃん」
リックは慈愛に満ちた目で言いました。良い魔王なんていないと思う地の文です。
「そんな突っ込み、思いついてもしないで欲しいにゃん!」
リックはどこまでも天の邪鬼な地の文に泣きながら抗議しました。
「うるさい! あんたは私をバカにした! だから許さない!」
炎を向こうから、炎以上に熱く滾る何かを発しているサリアが叫びました。
次の瞬間、執念が勝ったのか、業火が消えてしまい、ボディコンを甦らせたサリアが現れました。
「にゃん!」
ギクッとして後退りするリックです。
「お前は私の乙女心を傷つけたんだ! それだけは何があっても許さない!」
サリアは鬼の形相でリックを睨みました。リックは苦笑いをして、
「それならそうと言ってくれればよかったにゃん」
一歩二歩とサリアに歩み寄りました。サリアは眉をひそめて、
「何のつもりだ? 殺される覚悟ができたのか?」
そう言いながらもどこか怯えています。リックはスッとサリアに近づき、
「悪かったにゃん。君は女の子だにゃん」
優しく抱きしめました。
「え?」
サリアの両目から涙が溢れました。




