リック、動揺する
リックはスケベな妖怪ハンターです。
ボディコンのモンスターであるサリアが出現し、リックは必殺技である「おねいさーん」攻撃を発動しましたが、何故か美人幼妻の遊魔の胸当てから子猫が飛び出しません。
(遊魔がご機嫌斜めだから、子猫が動かないのかにゃん?)
リックは思いました。
「遊魔、機嫌を直して欲しいにゃん。僕が本当に好きなのは遊魔だけにゃん」
リックは遊魔の耳元で囁きました。
「お前様、恥ずかしゅうございます」
遊魔は顔を赤くして俯きました。
(これで大丈夫にゃん!)
リックが突然ガッツポーズをしたので、サリアは眉をひそめました。
(先程はいきなり『おねいさーん』と叫んだ。この猫、頭がおかしいのか?)
リックの言動を不審に思うサリアです。頭がおかしいのは当たっていると思う地の文です。
「覚悟するにゃん! 今度こそ、終わりにゃん」
リックはフッと笑ってサリアを指差しました。
(やっぱり頭がおかしいのか)
サリアは敵ながらリックを哀れみました。
「おねいさーん!」
リックは気取って言いました。ところが、またしても、遊魔の胸当てからは一匹の子猫も飛び出しません。
「そ、そんにゃあ……」
嫌な汗がドヤドヤと流れ出すリックです。
(何をしているのだ、この猫は? あの『おねいさーん』というのは、一体?)
更に訝しそうにリックを見るサリアです。
(まずいにゃん、にゃんだかわからにゃいけど、子猫の調子が悪いみたいにゃん。ここは一つ、サーギナしゃんにお願いするにゃん)
リックはサーギナを見て、
「サーギナしゃん、またさっきみたいに業火でモンスターを倒して欲しいにゃん」
まさに猫撫で声で告げました。するとサーギナはテヘッと笑って、
「ごめん、さっきので魔力全部使っちゃったから、明日まで待ってね」
あまりの衝撃に石化してしまうリックです。
(こいつら、何なんだ?)
サリアはリック達が怖くなっていました。




