リック、ベカサク帝国へゆく
リックはスケベな妖怪ハンターです。
猫神である魔遊から魔王の存在を聞いたリックはどうしようかと迷っていました。
「リックよ、魔王と戦うのであれば、隣国のベカサク帝国のケスウヨリ皇帝を頼るがいいぞ」
魔遊が無理矢理もう一戦交えた後で告げました。
「ケスウヨリ?」
リックはキョトンとしました。すると魔遊は、
「其方と出会う前に何度か世話になった男前じゃ。心配せずともよい、今はもう何もない故」
艶っぽい目でリックを見ました。
(猫神様、僕よりスケベかも知れないにゃん)
顔を引きつらせるリックです。
「おお、奥方が目覚めるようじゃ。ではまた会おう、リックよ」
魔遊はそう言うと、スウッと気配を消しました。
「は、お前様、遊魔は寝てしまっていたのですか?」
遊魔がトロンとした目で尋ねました。リックは苦笑いをして、
「そうにゃん。遊魔は疲れているみたいにゃん」
「そうなんですかあ」
遊魔は笑顔全開で応じました。リックは立ち上がって、
「これから、隣にあるベカサク帝国に向かうにゃん。そして、世界を我が物にしようと企んでいる魔王を倒すにゃん」
すると遊魔は目をキラキラさせて、
「お前様、素敵でございます! 遊魔は嬉しゅうございます」
リックに抱きつきました。いつもならハッスルするリックですが、
(魔遊しゃんとハッスルし過ぎて、そんな元気がないにゃん)
遊魔をソッと押し返して、
「先を急ぐにゃん、遊魔」
「はい、お前様」
心なしか寂しそうな遊魔を見て、胸が締め付けられるリックです。
(今日の遊魔は今までで一番可愛いにゃん。でも、今はこれが精一杯)
遊魔の頬にキスをして、肩を抱きました。
「お前様……」
遊魔が目をウルウルさせてリックを見つめます。リックはフッと笑って、
「じゃあ、一っ飛びでベカサク帝国まで行くにゃん」
以前ある仙人からパクッた大型きんと雲を出しました。




