黒幕の存在
リックはスケベな妖怪ハンターです。
イナガンヒ王国の兵士達をあっさり退けたリックは、美人幼な妻の遊魔の身体を借りている猫神の魔遊の誘惑に乗り、またハッスルしました。
ケダモノだと思う地の文です。あ、元々ケダモノでした。
「うるさいにゃん!」
地の文のボケに切れるリックですが、疲れ果てて床に大の字になっています。
「む? 何やら面妖な気が漂うておるぞ」
全く疲れた様子がない魔遊が真顔で呟きました。
「どうしたにゃん、猫神様?」
リックは半身を起こして尋ねました。すると魔遊は口を尖らせて、
「猫神様などと、他人行儀であるぞ、リック。すでに我は其方のものぞ。魔遊と呼んで給れ」
リックは苦笑いして、
「どうしたにゃん、魔遊しゃん?」
魔遊は満足そうに微笑んでから、城の方角に顔を向けて、
「この世界を征服しようとしておる不逞の輩がおるのだが、其奴の妖気が城から漂うておるのだ」
リックはギョッとしました。
(転生した第六天魔王なら、逃げないとまずいにゃん)
嫌な事を思い出し、嫌な汗を嫌になるほど掻くリックです。
「其奴の名は、ジュカブ。強力な魔法を使い、幾万もの魔物を従えている魔王ぞ」
「ま、まおううう!?」
嫌な記憶が鮮明に甦り、枯れてしまいそうなほどの発汗をするリックです。
「この世界はもうおしまいかと思われた」
魔遊はそう言ってリックを見ると妖艶な顔になり、
「じゃが、最早その心配はない。其方がおるのであるから、魔王などひとたまりもあるまい」
リックにしなだれかかりました。
「あはは、そうにゃん、もう大丈夫にゃん、僕が魔王なんか、一捻りにしてやるにゃん!」
リックは空々しい事を言い放ちました。すでに失神寸前なほどビビッています。
(どうしたらいいにゃん……?)
魔遊の色っぽい目を見ているため、顔はエロくなっているリックですが、心は動揺しまくっていました。




