リック焼失?
リックはスケベな妖怪ハンターです。
夢の中で美人幼妻の遊魔にそっくりな猫神様との取引を成立させ、この世の春を謳歌していたリックでしたが、隠れていた小屋を国王の兵士に囲まれてしまいました。
「紅蓮の炎の使い手の僕に向かって火矢を放つとは、おバカさんにゃん! 全部、熨斗をつけてお返しするにゃんよ!」
リックは呪文を唱え、小屋に向かって来た火矢を止めました。
「何!?」
兵士達は空中で一時停止してしまった火矢を見て、慌ててリモコンボタンの「再生」を押しました。
「リコモンなんか、あるかー!」
兵士の一人が適当な描写をした地の文に切れました。
そんなアホなやり取りをしているうちに、止まった火矢は方向転換し、兵士達に向かって来ました。
しかも火力は当社比二倍です。
「うへえ!」
火矢を食らった兵士達は這這の体で逃走しました。
「お前様、頼もしゅうございます!」
遊魔が尊敬の眼差しでリックに言いました。
「僕の実力はザッとこんなもんにゃん」
ちょっと誉められるとすぐに天狗になる小者です。
「うるさいにゃん! 小者扱いされるのは僕じゃないにゃん!」
シリーズを間違えてボケた地の文に突っ込むリックです。
『我の見込んだ通りじゃ。リックよ、其方は勇者の資格がある』
突然、遊魔の口を借りて猫神の魔遊が言いました。
しかも、妙に色っぽい目でリックを見つめて来ます。
「猫神様!」
リックは堪え切れなくなり、遊魔に襲いかかりました。
『おお、リック、我をまたたんと愛でて給れ』
魔遊が耳元で囁いたので、
「ハッスルするにゃん!」
鼻息が荒くなるリックです。自主規制する地の文です。
兵士達は城に逃げ帰り、宰相のザースに報告しました。
「やはり紛れもなくあの方は猫神様だ。次は搦め手でいくぞ」
ザースは言い、
(全ては魔王ジュカブ様のため)
ニヤリとしました。




