リック、前言撤回する?
リックはスケベな妖怪ハンターです。
リック達はそれぞれの思いを胸に秘め、新たに登場した大魔王の城に向かって進み始めました。
「ここより先は陛下はおやめください」
ベカサク帝国の皇妃でもあるコーミが皇帝のケスウヨリに告げました。
「何故だ?」
ケスウヨリは凛々しい顔で尋ねました。
(陛下、素敵!)
憧れの眼差しでそれを見る三女のサーミです。でも、ケスウヨリが横目で見ているのは、彼女達の母親であるキーミなのは秘密です。
「だから本当に秘密のままにしておいてくれ!」
涙目で地の文に抗議するケスウヨリです。
「大魔王の魔力は、ジュカブとは比較になりませぬ。魔力を持たぬ陛下には無理なのです」
コーミは目を潤ませて言いました。
「そうなのか」
ケスウヨリは残念そうに言い、
「では、母上様と一緒にここで待っているよ」
スッと、キーミの肩を抱きました。
「陛下ー!」
コーミが髪の毛を逆立てて激怒しました。
「すみません、もうしません」
すぐにキーミから離れ、土下座するバカ皇帝です。
(見下げ果てた奴にゃん)
リックは半目でケスウヨリを見ました。
世に言うブーメランだと思う地の文です。
「違うにゃん! 僕はあんなに外道じゃないにゃん!」
言えば言う程語るに落ちるリックです。
「では、参りましょう」
次女のユーミが言いました。気を取り直して進み始める一行ですが、
「ふにゃあ……」
リックは大魔王の城の門をくぐったところで、いきなり力が抜けてしまいました。
「どうした、リック?」
美人幼妻の遊魔に乗り移っている猫神の魔遊が訊きました。
「力が入らないにゃん……」
へたり込むリックですが、
「じゃあ、私が一番乗りね!」
大神官のサーギナが袴の裾をめくり上げて走っていくのを見て、
「待って、太腿しゃん!」
リックはスケベ全開でサーギナを追いかけました。
「仕方のない奴じゃ」
魔遊は呆れ返りました。




