囃子の音の物語
ジャンルが判らん!?
詩でいいのかなあ?
2025.10.18かぐつち・マナぱさまより頂いたイラストで追記しました。
遠くから聞こえてくる太鼓の音。
高く響く笛の音。
こんな場所まで聞こえてきそうにもないのに聞こえる鈴の音、金棒の音。
どんどん、ぴーひゃら、しゃんしゃんしゃん
聞こえる、聞こえる、祭り囃子
暗闇の中、夜闇を裂くように、音が響く。
どーん、どーん、ぴーひゃらひゃら、しゃんしゃんしゃんしゃん
調子を変え、時には強く、時には弱く。
祭りだ、祭りだ。
祀れ、祀れ。
先祖を祀り、神仏を祀り、
豊穣を祈り、それに感謝する。
どんどん、ぴーひゃらひゃら、しゃんしゃんしゃん
近づくお囃子、近づく喧噪。
鈴の音は近く、太鼓から響く震動はまるで目の前の様。
腹の底から震える様な音が聞こえるのに、何故かその喧噪は遠く、聞こえる声は意味を成さない。
どんどん、ぴーひゃらひゃら、しゃんしゃんしゃん
どーん、どーん、ぴーひゃらひゃらひゃら、しゃんしゃんしゃん
ああ、何故だろう。
お囃子の音は目の前を通っていくのに、近くも遠くにも聞こえる雑多な声がそれでもすぐ側を通っていくのが解るのにその姿が見えないのはどうしてだろう?
――祀れ、祀れ
――我らを祀れ
――祈れ、祈れ
――我らに祈れ
急に、周波数が合ったかの様に、耳に入ってきた、声。声。声。
だがそれは直ぐに聞こえなくなり、雑音となって埋もれる。
どんどん、ぴーひゃら、しゃんしゃんしゃん……
どんどん、ぴーひゃら、しゃんしゃんしゃん……
遠ざかっていく、音。
去って行く『何か』。
過ぎていく『何か』。
わたしは 今――
何とすれ違ったのだろうか。
その時感じた空気は
一体何だったのだろうか?




