虚ろに深海へ沈む
329:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
もうおわりかもしれない。
いやもうおわりだ。これで最後になると思う。今までありがとう。掲示板は、暗い底でも見えるものでとてもとてもありがたかった。
うちあげられた魚。腐った緑色。振り返る顔のない肉。お前を見ている。
湧き上がる水の中。水圧で飛び出る眼球。透き通る体。お前を見ている。
お前を見ている。
目。新しい手首が新生を求めている。
331:室内爆散(クソゲ:パンドラボックス)
しっかりするんだおさかなはん。
どうした気をしっかり持て。
お前を見ている。
お前とみている。後ろを振り向く。誰もいない。眼だけが合う。
お前が見ている。お前を見ている。誰かがお前になるお前を見ている。目の中に目があるあらゆる目がお前を見ている。誰もいなくとも見ている。岩の端、部屋の隙間から除く横顔が断面を晒しながら闊歩する。その目が空気中至る所にあるから安眠することができる。よく眠れる。
夢を見る。同じ夢を見る。醜い何かの夢を見る。神と呼ぶほかのない言葉で言い表すことが烏滸がましいと感じてしまうほどに悍ましく崇拝する以外の選択肢のない夢を見る。
祈りは届く。
起きているのか寝ているのかわからなくなる。掲示板だけが自意識の手がかりだ?
332:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
正気が辛い、正気に戻るのが辛い。
333:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
エラが辛い。暗いのに手が洗えない。
そうじゃない。そういうことじゃなくて。深くて、深すぎてもう泡も見えないくらい暗いのに見られ続けてる。
目をつぶれば瞼の裏の目がお前を見ている。極小の眼球が粒を並べたようにお前を見ている。閉ざされる闇がお前を見ている。思考の隙間からお前を見ている。倒した敵がお前。見ているのはお前。見ていないものはいないお前が見ているものはいる。
そこかしこにいる。触る風が見ている。脳の中の目が次々にお前を見ている。潰した目の指の先がお前を見ている。潰れた果肉に全ての目。増やしたのはお前。
334:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
お前らまで見られることになる。どうにかなるなら書き込まない方がいい。広げたい気持ちを抑えるのが限界に近いんだよ。
いつ残っている正気が正気じゃなくなるかわからない。多分もう、次はない。次は自分ではないだろう。自分に見えても。
脳みそが痒い。脳が後ろを振り向く。目が散乱した。中から見ることはできるが、かくには鱗をとって皮膚をぺりぺりとはいで頭蓋骨を丁寧に外し、その後に揉み洗いしなければならないことを知っています。指が汚れている。傷から目が侵入してくる。その中身をお前は見ている。
己は誰だろうか。己は誰? 掲示板に書き込まなければならない。夢で伝えろ。夢を飛ばせ。夢を広げろ。広げて手をつなげ。繁殖しろ。笑え。
後ろを振り向く。そうしないと行けない気がする。進みたくないからだろう。魚には手がない。己にはある。己は魚ではない。しかし鱗だ。鱗がある。ばりばりと剝いでも剥いでも次々に鱗が生える。もう諦めるべきだ。そう思うのに、次々に剝いでは血をにじませる。見られている。嘲笑われている。ただれたように垂れ下がり始めたエラも鬱陶しくて仕方がない。気のせいかもしれない。
鱗がある。エラもある。近くの誰かがげらげら笑いながらエラをぱくぱくするものを見ながら祈る。いや、誰もいない。あぁ。祈らなければ。救いを求めるものではなく、尊び仰ぐべきだと思うから祈り続けなければ。確認。綺麗にしたいと思って手を洗うも洗うも綺麗な水がない。とれないものをとるには新しい体が必要になるだろう。
335:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
キノコさんみたいに貫通して広がる、引きずり込む。そいつらは種族は関係なく襲ってくる。でもそれもきっかけでしかないから終わった方がいい。見たあれに完全にとらえられたら、全部終わりになるだろう。
増えるための別個体が見つからない。増えなければ。増えなければ……?後ろを振り向く。
いや、違う。
でなければいけないと思っていたのではないかという事を思い出したことを思い出す。後ろを振り向く。ここは暗くて冷たい。いつから帰れなくなった? 部屋に戻らなければ。部屋に戻れば。部屋さえ。部屋に。
部屋にカギはかけただろうか? 鍵はついてた? 後ろを振り向く。
迷惑をかける前にケリをつけたい。いや、元に戻りたい。戻れない。楽になりたい。言い訳に過ぎない。
336:キノキング(クソゲ:キ・ノ・コ)
もうちょっとがんばれない?
もうちょっとがんばったら、したくないけどずっとそこにいるのはどうにかできるかも。
後ろを振り向く。
掲示板から目をそらす。正気が一気に削れていくのがわかる。しかしそれでも希望にすがりたくない。希望は嫌だ。
祈らなければ。祈りをささげる。夢のメッセージを受け取ってからさんざんだ。声が聞こえ続ける。同調したくなる声が目、神経、魂に接続されて直接流し込まれる音が。抵抗には何も効果がない。水はもう嫌だ。どうしてこんなところにいるんだ。内臓と皮膚が溶かされていく。
いや、ちゃんとある。
けれど心配になって腹を引き裂いて確認すれば、中からちゃんと内臓と目玉がぽろぽろと転がり落ちて安心感が鈍痛とともに目を覚ます。目覚ましで起きられない。
ふと、奇妙な粒子が舞っている気がしたが、全てが更なる分解の果てに餌となり、子の糧とされていく。贄となり、神へ近づく。届かない。それでは、より深い場所へは届かない。しかし、少しばかり冷静な己が強調された気がした。優しい絶望だった。
337:シュージ(クソゲ:八百万神妖京)
冷静状態の方が辛いのなら、もう仕方ないんじゃないですか。
無理させるほうが酷でしょ。聞こえてくる声に抵抗するのがつらい時だってあるでしょうに。
その温かな絶望に飛び込むには、今はもう深く深くに落ちていきすぎた。引っ張り込まれすぎたのだ。前も後ろもわからないのに後ろを向く。深くなりすぎれば遠くなり、外に鎮座する我らの――いや違う。深海にいるものたちの、神へ近くなってしまう。しまっている。近づけた。
喜ぶべきだ。それ以外何がある。
全てを捧げて神を見て存在を潰されたいと考える自分。そんなことをどうしてしたがるのだと怖がる自分。逃げたい自分。逃げるなんてもってのほかだと思う自分。見ている自分。
全てが間違えている。間違えている。間違い探しは得意だ。ここが間違いだ。ここに来た瞬間が間違いだ。いいや正解だ。脳みその口がそれっぽいことを呟く。祈りを捧げるのに協力してください。
338:☆天元突破美少女☆(クソゲ:終末神殿)
キノコちゃんのそれはまずいやつじゃないの……?
前に進んでいるつもりか、戻っているのかわからない。どちらがどちらかわからないけど目が見えている。お前を見ている。
お前とは誰か。己である。
己を見ている。見ている? どうして自分で自分を見れるのだろうか。
目が。逃げ出したい。楽になりたい。もう辛い。
辛い! 辛い!
339:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
溶ける。もう溶けたい。戻ってこれない、外に、いや、神に還ると思う。かえされる。
たぶん、臨界だ。あふれ出そうになる祈りが届く。自分以外の祈りの数が多すぎる。増えすぎた。見えないけど見られてる。帰りたいけど帰れない。
限界だ。
もう、限界だ。
認めた瞬間に、残りの人間が溶けていく。己という存在が溶けていく。溶けることがとてもとても気持ちがいい。気持ちがいいことに耐えられない。流されていくことに抗えない。どうしてここまで我慢なんてしたのでしょう! そこはとてもとても素晴らしい神がいて、祈ることも捧げることも許されているのというに!
ひどく、冷える。
340:おさかな(クソゲ:虚ろ深海)
寒い。
あぁ! 底に落ちる! 己が消えていく! 真っ暗闇に落ちる自分を自分が見ている!
だからごめんなさい。今までありがとうございました。
海に捧げる。いいや、それよりもなお深きところから神に祈るために沈む。繁殖しそれだけの存在になる。溶ける。溶ける。溶け込む。混ざる。
ようやくそうすることができる。決めてしまえば安心だ。海となるだろう。そこに不安はなくなるだろう。己は溶けるだろう。溶け切らないとしても、もう悩むことはないだろう。より暗く寒く、深い場所に行きついたとしても、もう己は見ている側になるのだから。
寒さだけが残る。
お前を見ている。
750:室内爆散(クソゲ:パンドラボックス)
本当にダメになってしまったんか?
もう待っちゃダメなのか?
751:ヒトの気持ち(クソゲ:転生回転狂)
悲しいなぁ。今回は本気でダメっぽいわなぁ。返事がないこともあったんわあったケド、もう帰ってくる気がせーへんわこれは。
もうボケる気もせんくなるわこんなん。とんとん拍子に減りすぎやろ……
じわじわ減っていくんきっついわ。そんでなんでワイみたいなんが残るかねぇ……
752:シュージ(クソゲ:八百万神妖京)
ただ呑まれるばかりではダメだという事ですね。参考になりました。
無意味な抵抗は失敗を意味する。有意義な道を歩かなければなりません。
753:室内爆散(クソゲ:パンドラボックス)
きっつ。




