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第3話 兄さんと話そう!

 パトリック兄さんの特徴を一言で言うなら『つかみどころのない人』だ。

 いつも飄々(ひょうひょう)としていて、感情を強く出すことが少ない。いつも怒っているニルスとは対象的な人だ。


 軽薄に見られることも多いけど、腹違いの弟である僕にも優しくて、小さい頃はよく相手をしてもらっていた。遠出することが多いパトリック兄さんは物知りで、外国のことを教えてくれたり珍しいお土産を買ってきてくれたりすることもあった。


 だけど二年前、勉強のために旅に出ると言い、王都を出て行ったきり帰ってこなくなってしまっていた。

 父上は自由人なパトリック兄さんがあまり好きじゃないので放っていたけど、僕は少し心配していた。第一王子であるパトリック兄さんをよく思わない人も多そうだからね。


 そんな兄さんとまさかこんな風に再会するなんて思っても見なかった。


「いやー、本当に立派になったなテオドルフ! 私は嬉しいぞ!」


 兄さんはにこやかに笑みを浮かべながら僕の背中をバシバシと叩く。

 嬉しいのは分かるけど、少し痛い。


「兄さんがなんでここに? それになんでガーランと一緒なんですか?」

「なんでここにいるかは後で話そう。ガーランとは地方都市で偶然出会ってね。テオドルフのもとに行きたがっていたから一肌脱いだというわけだ」


 なるほど、そういうわけだったんだ。

 僕の居場所は隠されていたのに、なんでガーランがここにたどり着けたのか不思議だったけど、パトリック兄さんの助けがあったからなんだ。


「私もテオドルフが追放されたということは知っていて、気になっていた。それに話したいこともあった・・・・・・・・・・・()ガーランに恩を売れるのも悪くない。第一王子のコネを使って情報の提供と馬車あしの用意をしたというわけだ」

「その件はありがとうございます」


 兄さんの言葉に、ガーランが頭を下げる。


「それで兄さんはなんでここに来たんですか? 顔を見に来ただけってわけじゃないんですよね?」

「ああ。だけどそれをここで話すことはできない。どこか屋内、人の耳がないところで話したい」


 どうやらパトリック兄さんの話は他の人に聞かれたくないみたいだ。

 いったいなんの話だろう? わざわざ北の大地に来てまでしたい話だから、大事な話なんだろうね。


「分かりました。それでは村にある屋敷で話を聞きますね」

「屋敷? おいおいテオドルフ。まだここに来てから一月程度しか経っていないだろう? そんなもの作れるわけないじゃないか」


 兄さんは不思議そうに言う。

 そうだ、兄さんは僕の自動製作オートクラフトの能力を知らないんだ。ガーランは知ってるけどそれを漏らすわけがないしね。


 きっとこの立派な門ももとからあったものを再利用していると思っているんだろうね。


「えっと、話すのも大変なので、じゃあ村の中に案内します」

「ああ。あの荒廃した大地をどこまで開拓できたのか楽しみだよ」


 兄さんは嫌味じゃなく、本当に楽しみな感じで言う。

 にこやかだったその顔は、門が開かれ中に入った途端、どんどん驚愕した顔に変わっていく。


「な、な、な……!?」

「おお、これは壮観ですな……!」


 門の先にあるのは、街レベルにまで発展した僕の村だ。

 道も整備されているし、家も綺麗に並んでいる。畑には多くの野菜や果物が丸々と実っていて、それを村の人たちやゴーレムが収穫している。

 行き交う人々は人間だけでなくエルフも混ざっていて、みんな楽しそうだ。

 そして村の中央には神々しい世界樹が生えていて、村を優しく見守ってくれている。この光景は圧巻だね。


「いや、え? え?」

「どうしましたか兄さん?」

「どうしましたかじゃないよテオドルフ!? ここはあの北の大地だろ!? なんでこんな楽園みたいな村ができてるんだ!!」

「そんな楽園なんて……褒めすぎですよ」

「照れるところじゃない!」


 兄さんは珍しく感情をあらわにしてまくしたてる。

 こんなに余裕のない兄さんは初めてみた。面白くてからかいたくなっちゃう。


「あっちにあるのが来賓用のお屋敷です。防音設備を兼ね備えた部屋もありますので、そこで話を伺いますね」

「本当に立派なお屋敷がある……。頭が痛くなってきた……」

「はは! さすが殿下、素晴らしい村ですな! ここを守れるとは腕が鳴るというものです!」


 なんだか元気がなくなっている兄さんと対象的にやる気まんまんのガーラン。

 僕はそんな二人を連れて、屋敷に向かうのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] >>それに|話したいこともあったし《・・・・・・・・・・・》 ルビ振り失敗してるこの部分、多分文字数オーバー
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