第10話 岩の王を迎え撃とう!
翌日。
ついに防衛準備が整った僕たちは、岩の王の襲来に備えていた。
僕とアリス、そしてガーランは防衛の要である、第一城壁に来ていた。第一城壁はもっとも外側の城塞で、その内側には更に二つの城壁を作ってある。
ただ内側二つの城壁にはあまり武器はなく、時間を稼げる程度の働きしかない。ここ第一城壁を突破されたら、僕たちの負けだ。
「これ以上あいつの好きにはさせねえ。絶対に倒してやる……!」
ドワーフの兵士の一人がそう呟くと、他の兵士も頷いて同意する。
複数回に渡る岩の王の襲撃で、この国の物資は枯渇し、兵士も複数負傷している。これ以上被害が増えたら、この国を維持することは不可能だと思う。
追い返すだけじゃ駄目だ。ここで倒さないと。
「来ました! 岩の王です!」
城壁の上から監視していたドワーフ兵が叫ぶ。
すると視界の先の横穴から、大きなゴーレムがぬっと姿を現す。手足の長い、不気味なゴーレム。間違いない、この前見たゴーレムと同じ、岩の王だ。
「大砲用意ィ!」
第一城壁を指揮するドワーフの将軍が声を上げると、城壁に設置された大砲が一斉に岩の王に狙いを定める。
そして射程圏内にまで岩の王を引き付け……発射の合図を出す。
「打ぇ!!」
一斉に大砲が火を噴き、大量の砲弾が岩の王に浴びせられる。
硬い体を持つ岩の王もその物量に圧倒され、苦しそうに呻く。
『ヴォ、オオ……!』
「いいぞ、効いてる!」
「ああ。テオドルフ殿が新調してくれた大砲、たいしたもんだ……!」
ドワーフの兵士たちが歓声を上げる。
度重なる岩の王の襲撃で、この国の設備は傷んでいた。なので僕の自動製作でほとんどの武器や設備を新調しておいた。
おかげでかなり疲れたけど、その効果は大きかったみたいだ。
このまま大砲だけで倒すことができないかと思っていると、岩の王は突如口を大きく開き、咆哮する。
『ヴゥ……オオオオオオォォォッ!!!!』
洞窟内が振動するほどの大きな声に、僕たちは耳を塞ぐ。
いったいどうしたんだろうと思っていると、突如岩の王の近くの岩が勝手に動き出す。
「ちょっと、アレ、どういうこと……?」
アリスが困惑した声を出す。
それもそのはず、動き出した岩同士がくっつき、人のような形になって立ち上がったからだ。
それの見た目は完全にゴーレムだった。
形は歪だけど、ゴームに匹敵する大型のゴーレムだ。それが六体ほど出現し、岩の王を守るように立ちはだかる。
「殿下、あれは……」
「岩の王はゴーレムを作り出せるみたいだね。ゴーレムを作れるゴーレムがいるなんて」
今までの戦いで岩の王がそんなことをしたなんて聞いていない。
つまり岩の王はこの手を今まで隠していたということだ。こんなことをしてくるなんて誤算ではあるけど、
「これは岩の王も手を隠す余裕がないってことだと思う。生み出したゴーレムは岩の王ほどは強くないはず。僕たちならきっと勝てます!」
「テオドルフ殿……そうですね。我らなら勝てる! お前たち、ドワーフの意地を見せてやれ!」
ドワーフの将軍が叫ぶと、兵士も呼応し大砲をどんどん放つ。
よし、この調子ならなんとかなりそうだぞ。そう思っていると感心したようにガーランが話しかけてくる。
「流石です殿下。見事士気を取り戻しましたね」
「え? 僕はたいしたことはしてないと思うけど」
「下がりかけた士気を戻すことは、そう簡単ではありません。それができるのは王の才を持つことの証左であります」
「いや、それは言い過ぎじゃ……」
見ればアリスも得意げにうんうんと頷いている。
二人とも僕のことを買いかぶり過ぎだと思うんだけど……まあいっか。
気を取り直して岩の王たちに注意を向けると、作り出されたゴーレムの一体が、砲撃をすり抜けて第一城壁に迫ってきていた。
作り出されたゴーレムはそれぞれ形が違っていて、今向かってきているのは質量が軽めのスピード特化みたいだった。攻撃力はそれほどだけど機動力は他のものよりもずっと高い。
「……さて、それではそろそろ私も出ますかな。殿下だけにいい格好はさせませぬ」
「じゃあ私も行ってくるわ。あんたはそこで私の活躍を見てなさい」
「うん、分かった。二人とも頑張ってね」
ガーランとアリスは僕の言葉に頷くと、城壁から降りてゴーレムの撃退に向かうのだった。




