3章8話 お父さん
お父さんです
「ああ、直ぐ作るよ。待ってな」
「ん?あんたは?」
入って来た美人の男性は修斗とユーの方を見ると、驚いた顔をして、こう言った。
「貴方達はもしかして宿泊客ですか?」
「ええ、そうで…「そうだよあんた!昨日夜話しただろ?修斗とユーさんだ」」
修斗が言う前にセラが言ってしまった。
「なるほど。貴方がウチのセリアを貰いに来たと言う人ですね?」
「え?いやそういうわけでは…」
「ははは。冗談です。私の名前はアーク。種族は見ての通りハーフエルフです。そちらのお嬢さんはもしかしてエルフの方ですか?」
「はい。私はエルフです」
「これは失礼、混血のハーフエルフなどさぞお見苦しいでしょう」
「いえ、そんな事は気にしませんよ。もう里を出た身ですし」
「はて、一体何事が?」
続きを聞こうとしたアークだが、察したように会話を打ち切った。
「いやいや。冒険者の方に踏み込んだ話をするのは失礼でしたな」
「ほいよ。今日も食べてくんな!」
セラさんが大盛りのご飯を持って来た。
「ありがとう母さん。豊穣と農耕の神に感謝を捧げます。今日も美味しいご飯をありがとう」
そう言うとアークはご飯を綺麗に食べだした。
「アークさん。随分綺麗に食べるんですね?もしや貴族とかでした?」
「いやいや、私は見ての通りハーフエルフ。耳がさほど人間と変わりませんし、精霊魔法もさほど使えません。これは亡き母から教えて貰った礼儀作法です。合ってるかはわかりませんが」
そう言って丁寧食べているはずなのに物凄い勢いでご飯が減っていく。数分後には綺麗さっぱり無くなっていた。
「アークさん。あんたは裏で鍛冶屋をやってると聞いたんだが?本当か?」
どこからか取り出したハンカチで口を吹いていたアークに修斗は気になって聞いてみた。
「ええ。そうですよ?もっとも、この体型ではそうは見えないでしょう?」
「正直なところな、でもセイラちゃんがお父さんは凄い!て言ってたから、その言葉にかけてみたい」
それを聞いたアークは苦笑いした。
「またセイラは。あはは。娘にそう言われたらお父さんとしては頑張るしかないですね。この後のご予定は?」
「そうだな。連れの装備を整えたいと思っていたところだ」
「でしたら私におまかせください」
「ではそうしよう」
「でしたらこちらへ。私の工房まで案内します」
「え?ご主人様!?いいんですか?」
「セイラちゃんがお父さんは凄いって言ってたし、まあいいじゃないか」
「お任せくださいお二人さん。こう見えても加護持ちなんですよ?」
「それ簡単に言ってもいいのか?」
「ええ。お二人さんは口が硬そうなので」
「バラすかもしれないぞ?」
修斗は少し脅してみた
「ええ。構いませんよ。その時は僕の目が節穴だったという事で」
「こりゃ参ったな」
「「ははははは」」
「なんだがお二人とも楽しそうです」
ユーは置いてきぼりだった。
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「さて、ここが僕の工房です」
修斗とユーは周りを見渡してみた
「なんか、普通だな」
「里には無かったので面白いです!鉄と石がいっぱいです!」
「ユーあんまり触るなよ?火傷するぞ?」
「大丈夫です。ながらく仕事してませんから…」
アークは自傷気味にそう呟いた。
「そんなあんたに仕事だ。こいつらでユーの防具と武器を何か作ってくれ」
「よしきた。お嬢さんはどんな戦い方なんだい?」
「私は主に風魔法を使えっていきます。それと独学で杖術を里で少し学んでいました。だいたいどんな武器も使えるんですが、やっぱり魔法で攻撃しつつ接近されたら杖で応戦って感じです」
「ふむ。わかった。防具は軽めで魔力上昇やらが付けばいいかな、杖の方も魔力補助が出来るけど打撃武器としても使えるのがいいかな。それで?素材はどうする?僕の手持ちで作るのもいいし、君たちが魔物の素材を取って来てもいいよ?」
「ちなみにどんな素材が必要だ?」
「そうだね。防具の方は、魔力を多く含んだ魔蝶の皮みたいな物とか、そう言う魔力が多い動物の皮があれば最高。武器は魔力伝導率が高いミスリルとかが欲しいけど、高いからないよね?だから…「これでいいか?」
アークの言葉を遮って修斗は鞄から(本当はアイテムボックスから)素材をいくつか出した。
「ほう!その歳でアイテムボックス持ちなのか!凄いね。それで素材は……!?!?」
アークは驚愕していた
「ここここ!?ここれは!?100年に一度しか現れないと言われる100年樹の木の幹!?このサイズなら杖にも出来るし他にも色々できるぞ!?こっちは!?まさか!?伝説とまで言われた!?あの!魔龍の皮!?そんな!?一体どこから手に入れたんだ!?魔龍は一番弱い個体でも全長数100mし、彼らはその圧倒的な魔力保有量で固有の【龍魔法】を使うと言われている。その威力は【竜魔法】とは比べ物にならないと言われているんだ!?一体どうやって倒し…「これで十分か?素材は足りそうか?」
修斗は遮るようにそういった
「ああ。取り乱してすまない。冒険者に素材を在りかを聞くのはタブーだったな。これならとんでもない一級品が出来そうだ。久々のとんでもない素材で腕がなる。今から取り掛かる。今日の夜にまた来てくれ。その頃には出来ているだろう。それじゃあ、話は済んだからどこか街でも観光していてくれ。オススメは大通りにある服屋だ。2人でデートがてら行って来たらどうだ?それじゃ」
慌ただしく2人を工房から追い出すと、工房へのドアにはいつも間にか「開けないで」と札が付いていた。
「…なんだが不思議な人だな」
「そんな!ご主人様とデートだなんて!私では…」
「そこかよ…」
ユーはなぜか幸せそうだった。
そうして2人はアークに言われた通り大通りの服屋を見に行ったが、2人とも同じ感想を抱いた
「「フクの方がいい」」
もちろん。衣服の精霊より高品質な衣服を作れる人間などそうはいないだろう。
アークさんは仕事中の姿を誰にも見せたことがないそうです。セラさん以外。




