2章7話 ユーフェミア・エル・ハーネストと森
ユーフェミアの身の上の話ともう一つ重要な話です。
私、ユーフェミア・エル・ハーネストはエルフです。
私はハーネストと呼ばれる名家に生まれました。
私には兄が1人、妹が2人いました。
家自体は兄が継ぐ事になっていたので、長女である私には特に負担はありませんでした。
エルフの中でも私は【風の加護】を産まれながらに持っていました。なので、私は周りから物凄く期待されていました。事実、私もみんなの期待に応えられるように努力しました。努力をし、他人より強いと言う意識を持って、毎日過ごしていました。5歳の頃には風魔法は中級まで使いこなしていました。10歳で上級風魔法を使いこなし、里で一番の使い手になりました。
12歳の時に、私は1人で森を出て、そこで偶然出会った吟遊詩人に森の【外】の事について聞きました。その時に私は【外】に凄い興味が湧きました。
その事を父と母に相談すると、物凄い剣幕で怒られました。
父「二度とその様な事を口にするな!お前はまだ人間がどれだけ危険なのか、分からないんだ!考える事すらおぞましい!今すぐ忘れろ!」
母「そうです!今すぐ忘れなさい!そんな事を言う子はうちの子じゃありません!」
その時の2人の剣幕は今でも覚えています。
しかしあの時に吟遊詩人が語ってくれた【外】の素晴らしさは忘れられません。なので、私が15の、成人式の夜に、私は里を飛び出しました。
森の中を衝動と好奇心で駆け抜け、自分に変装魔法をかけて人の街に行きました。
最初は何もかも新鮮で楽しかった事は覚えています。
しかし、私が宿で寝ている時、何者かに襲われました。
次に目が覚めた時は、私は首輪を付けられて、同じような子達と一緒に檻に閉じ込められていました。
後々風の精霊に聞いたのですが、私が宿屋で襲われたのは宿屋の支配人が奴隷商人に金と引き換えに私の事を言ったそうです。その話を聞いて私は後悔しました。あの時に真面目に父と母の話を聞いていれば、奴隷に落ちることも無かったと思います。奴隷商人が食事のために荷馬車から目を離した時に、私は檻から逃げ出しました。実は風の精霊に頼んで鍵を盗んで来てもらったんです。これも加護のおかげです。
それからは、私の逃走に気づいた奴隷商人の雇われの冒険者からひたすら逃げていました。
隷属の首輪を付けられた時は、魔法が使えませんでしたので、風の精霊に助けて貰いながらずっと逃げていました。
風の精霊はここの森が一番安全だと言っていたので、私は意を決してこの森へ逃げ込みました。
実際、この森へ飛び込んだ時、追いかけて来た冒険者達は少し躊躇っていたので、私はこの森はきっとあの冒険者達より強い魔物が出るんだと分かりました。
しかし、あの男達に捕まって奴隷に戻るくらいなら、私は魔物に喰われて死んでしまった方がいいと思いました。
なので、この森でひたすら逃げて、あの冒険者に捕まるか魔物に喰われるまで生きようと思いました。
丁度その時に、風の精霊にご主人様について教えてくれました。この森には絶対的な存在がいる。
その人に守ってもらうと良いと言われました。
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最初は風の精霊の言う事が信じられませんでしたが、精霊は嘘を付かないでの、私は信じるしかありませんでした。
おかげでこうして生きていられるんですけどね。
改めてご主人様には感謝しております。
もしあの時にご主人様が助けていなければ、私は本当に魔物に喰われているか、あの男達の慰め者になっていたでしょう。
いや、そもそもご主人様がいなければ、この森で生き延びる事も出来なかったのかもしれません。
そこまで大人しく聞いていた修斗が急にこう聞いた。
「え?この森ってなんて言われてるの?」
するとユーフェミアはこう言った。
「この森は父と母に聞いた伝説の森で間違い無いと思います。森の入り口は色鮮やかで見た事も無いような果実が実り、見たもの全てを引き付け、引き入れる森。しかし一旦入れば二度と出る事は叶わない。存在の一片を残らず木々や大地に吸収される魔の森。またの別名を」
「楽園と絶望の森 アベリア」
修斗達の住んでいる森の名前が明らかになりました。
そろそろ森から出るかもしれません。




