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バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

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人間の知恵

はいどうもニノハジです〜

ニイルが閃いた作戦とは!?

そんなお話です!

お楽しみいただければ幸いです!

ではどうぞ!

「本当にそんな魔法あんのか?俺は魔法には詳しくねぇが、そんなのがあるならあの『傲慢』野郎が黙ってねぇぞ?」

「残念ながら、その『傲慢』を追い詰めたのがこの魔法よ。だから威力も保証するわ」

 ニイルから作戦内容を聞き、にわかには信じがたいと言うディードに、レイが反論する。


 序列大会の時を思い出しながらレイが語ると、それに思わずといった様子でディードが吹き出す。

「うはは!マジかよ!?そりゃあの腹黒もテンパったろうなぁ!その時の奴の顔を拝みたかったぜ!」


 その様子に、ルエルの嫌われようを垣間見て笑みが溢れそうになるレイ。

 そんな気の抜けた雰囲気の2人をニイルが叱責した。

「お喋りはその辺で。流れは先程話した通りに。しかし私達も隙があれば攻撃を与えていくのを忘れない様に、お願いしますよ?」

 そう説明するニイルに、荒々しく笑いながらディードが答える。

「ったりめぇだ!コイツにだけ美味しい所を持ってかせる訳無ぇだろ!あのデカブツを殺すのは俺だ!」


 そう言いつつ、尚も魔力を吸い取るディードに呆れながら今度はレイへと語り掛けるニイル。

「貴女が頼りです。私達が守ってあげますから、貴女はあの魔法を奴に当てる事だけを考えなさい」


 その言葉が少し癇に障ったレイが言い返す。

「舐めないで。あの頃から私も強くなったわ。もう守られるだけの存在じゃないって事、教えてあげる」

「ふっ……知っていますよ」


 思わず笑ってしまったニイルに、満足そうに笑い返すレイ。

 それを取り繕うように言葉を続けた。

「期待してますよ。くれぐれも()()()()()()()()()()()()()()()()()()

「彼ら?」


 意味深な言葉に思わず訝しむレイ。

 その反応に、無意識だったのだろう。

「……忘れてください」

 思わず出た言葉にバツの悪そうな顔をして、ケートスへと向き直るニイル。


 思わず追求したくなったレイだったが、今はそれどころでは無いと気を取り直し頭を振る。

 そして『神威賦与(ギフト)』を全開、情報の波を上手く捌きながら1つの魔法を構築していく。


「では、行きます!」

 それと同時、ニイルの言葉で残り2人も動き出す。


 まずニイルがナイフを飛ばし、ケートスの魔法を減らしていく。

 そうして出来上がった道を……


「行っくぜぇぇぇぇぇ!」

 叫びと共にディードが駆け抜けた。


 ニイルが消しきれなかった魔法をすれ違いざまに吹き飛ばし、あるいは吸収し。

 更に速度を増しながら突き進む。


 一瞬でケートスの目の前まで到達し、彼を守るように展開されている水の壁に手を突っ込んでディードが叫んだ。

「喰らい尽くしてやらぁ!」


 その瞬間、魔力を奪われた水は制御を失い、ただの水に戻り海へと落下していく。


「しゃあ!このまま殺してやらぁ!」

【甘い!】

 その隙を狙いケートスへ攻撃を仕掛けようとするディードだったが、周囲が凍りつき身動きが取れなくなる。

 更にそんなディード目掛けて水生物が飛来するが、間一髪ニイルのナイフがそれを阻止し、水が飛び散るのみに終わった。


 その間にディードは力ずくで氷を破壊。

 体制を整える為に距離を取った。

 そんなディードに追撃を狙ったケートスだったが、今までよりも速い動きでその全てを躱される。


【まだ上がるか!忌々しい!】

 苛立たしげな声と共に、ディードに重点的に魔法を向けるケートス。

 しかしその素早い動きと、更にナイフによる邪魔が入り一向にディードを捉える事が出来なかった。


【ちょこまかと小賢しい!ならばまとめて周囲一帯吹き飛ばしてくれる!】

「ここね」

 それに業を煮やしたケートスの意識が2人へ向き、レイの存在が一瞬外れる。

 その瞬間をレイは狙っていた。


「穿て!『電磁加速魔弾(レールガン)』!」

 2人が時間を稼いだ隙に構築し、待機させていた魔弾を打ち出す。

 音を置き去りに、衝撃波を伴い発射された魔弾は狙い違わずケートスの左目に直撃。

 それだけに留まらず、どうやら貫通した様で腹部を通り抜け、後方の海水を爆発させた。


【ぐおおおおおおお!!!】

 ケートスに限らず、『幻想種』以上の存在は常に魔法障壁を展開している。

 にも関わらずそれをあっさり貫いたその威力に、思わずケートスが苦悶の声を上げた。


「まだだ!畳み掛けろ!」

 しかしケートスは異常なまでの回復力を持つ。

 故にニイルはそれに油断せず、大声で全員に呼び掛けた。

 その声に応じ、レイは次弾を装填。

 ディードは一気にケートスへと襲い掛かる。


【舐めるな劣種共がァ!】

 だがここでケートスが魔法を全力展開。

 自身の周囲に魔法を集中させ、更に盾として体の周りに分厚い氷を張り巡らせていく。

 そしてどうやらその氷は徐々に厚さを増していっているらしく、レイが放った次弾をなんと防ぎきってしまったのだ。

 更に空いた穴はすぐに塞がれ、また厚みを取り戻していく。

 その間に、ケートスは回復に専念しようと目論んでいた。


【どうやらその魔法は連射が出来ぬ様だな!大した威力だが、それではこの氷を破る事は不可能!】

 氷に包まれながら吠えるケートス。

 魔法で回復しながらも、この原因となったレイを始末するべく、魔法をレイへと向ける。


 しかしレイは3弾目を準備しながらも、向かってくる魔法を全く見ない。

 それどころか意識すらせず、全てのリソースを『電磁加速魔弾(レールガン)』に割いていた。


「やらせる訳ないでしょう?」

 何故なら、その全てをニイルが防いでくれると信じているから。

 言葉と共にナイフを飛ばし、レイへと迫る魔法を全て吹き飛ばす。

 それだけではなく、至近距離まで近付いた魔法は『神威賦与(ギフト)』を用いて水の存在ごと消滅させていった。


「流石にこの同時使用はキツイですが、貴方を殺せるのなら安いものです」

【どこまでも邪魔な!】

 血涙を流しながら言うニイルに、苛立ちを隠せないケートス。

 そして、ここまで全てニイルの計算の内だと思い知る事になる。


「だから!俺達を忘れんじゃねぇよ!」

 レイに向かわせた分、周囲に集めた魔法が少なくなる。

 その隙を狙って再びディードが強襲。

 氷の壁を殴りつけた。


 ただでさえ高威力の拳だ。

 その上魔力も吸い取られ、通常より格段に脆くさせられる。

 また障壁の復元、厚さを増す行為も阻害され、連続で叩き込まれる拳により徐々に氷が削られていった。


「オラララララララァ!」

【調子に、乗るな……!?】

「させませんよ?」

 そんなディードを排除すべく魔法を展開するが、その(ことごと)くをニイルのナイフが防ぎ、更に障壁にすら攻撃を与えていく。

 次々に、氷に刺さったナイフが爆発していき、ディードの拳も相まってどんどん氷が削れていく。


 しかしあと1歩届かない。

 ギリギリのところで氷が復活し、ケートス本体へと攻撃が届かないのだ。


【貴様達がどれだけ攻撃を重ねようと!この無敵の壁を壊す事など出来はしない!】

 先程の『電磁加速魔弾(レールガン)』を撃ち込まれようと防ぎきれる、そう確信したケートス。


 だがその想定をレイは待っていた。

「本当、『傲慢(やつ)』の様に油断してくれてやりやすいわね」


 何故なら複数の『電磁加速魔弾(レールガン)』の砲門が、ケートスを狙っていたから。


 確かに、昔に比べて発射までの速度は格段に早くなったが、まだ連射出来る程では無い。

 そんなレイが考え出した方法、それが……


「『複製』で数を増やす!『6連』!」

 レイがケートスへ向けて魔弾を放つ。

 弾はそれを予期して離脱していた、ディードが削っていた場所に見事的中し、氷に穴が空く。


 そこに間髪入れず次々に魔弾を撃ち込み、6発撃ち込んだ時には最初の1発目に使った魔法の準備が完了する。

 そうして止まらず発射させる事により、連射を可能としていた。


【がああああああああ!!!!】

 ほとんどの氷が砕かれ、体が穴だらけになっていくケートス。


 そんな姿を見てニイルは1人。

「見てるか皆……人類の叡智はようやく、神を殺せると証明出来たぞ」

 そう呟くのだった。

如何でしたでしょうか?

そろそろケートス戦もクライマックスとなります!

最後までお付き合いいただければ嬉しいです!

ではまた次回にお会いしましょう!

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