表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
バケモノが愛したこの世界  作者: 一一
第4章 ???編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

89/90

バケモノの戦い方

はいどうもニノハジです〜

遂にニイルが戦いに本格参戦です!

是非お楽しみください!

【吠える吠える。全盛期に遠く及ばぬ今の貴様が、我相手に何が出来るというのだ】

 ニイルの言葉に(あざけ)りを含ませてケートスが返す。

 それを無視してニイルは背後の2人へと語り掛けた。

「奴の得意とする戦法は水を自在に操り、その温度を好きに変えて武器とするものです。それは先程貴方達が身をもって体験したので分かっているでしょう」


 その説明にレイが頷く。

 先程のレイへの攻撃、周囲の雨を一瞬にして凍らせレイの動きを封じたばかりか、温度を上昇させ熱湯を降らすという芸当も行っていた。

 注目すべきはその際、レイを覆っていた氷が熱湯の影響を受けず、全く溶けなかったという点である。

 火傷を負う程の熱湯で、氷が全く溶けないというのは不自然だ。

 どうやらケートスは、個別に水の温度を自由に変更出来る様だとレイは考える。


「水はその性質上、上手く扱えばかなり自由度の高い存在です。先程の様に武器にも盾にもなる。それがこれだけの量有るのです。今の奴はほぼ無敵と言っても過言ではないでしょう」


 ニイルの分析は的確で、故にレイも反論出来ず表情を歪める。

 しかし、だからと言って諦める理由にはならない。

 そう体現する様にディードが噛み付く。

「んなこたぁ言われなくても分かってんだよ。だからそれが反応するよりも速く俺達が……」

「それはもう対応されていると先程分かったでしょう。それに、それよりも楽な対策が有ります」

 ディードの言葉を遮りながら、ニイルが虚空へと手を伸ばす。

 するといつの間にかその手には、一振のナイフが握られていた。


「あれは、確か序列大会でも見た……」

 そのナイフを見た事があったレイが声を上げる。


 それは序列大会の2回戦時、ゴゾーラムの大剣を軽々と受け止めていたナイフだった。

 ニイルが得物を持った姿を見たのはあれが初めてだったので、今でも鮮明に覚えていたのである。

 その見た目はごく凡庸な物。

 それも相まって、当時はただ単純にニイルの技量が優れていると考えていたのだが……


「え?視えない?」

 改めて『神威賦与(ギフト)』で視てみると、その存在が映らないのである。

 それが示す事実は1つ。


「それも『繁栄の証(ディーサイド)』という訳?道理で、かなり硬そうだと思ったのよ」

 納得、といった風にレイは言う。


 流石にあのゴゾーラムの猛攻を、普通のナイフで受けきる事など不可能に近い。

 しかしそのナイフが『繁栄の証(ディーサイド)』であるならば、それも可能だとレイは考えた末の発言だった。


「確かにこれは『繁栄の証(ディーサイド)』ですが、これにそんな能力は備わっていませんよ」

 しかしニイルがその考察を否定する。

 それに困惑するレイを置いて、ニイルはナイフを掲げながら続けた。

「コイツの()は『無牙(むが)』。たった1つの能力を除けば、至極ありふれた普通のナイフです」


『無牙』と呼ばれたそのナイフが、ニイルの手を離れ宙に浮く。

神威賦与(ギフト)』により、それがニイルの魔法で浮いていると教えられる。


「そして備わった能力も、そこまで強力な物ではありません。ただ単純に、使用者の意思によってその数を好きに増減出来るというだけの物」

 しかし、次に起こった現象はレイの眼に何も映らなかった。

 そう、ニイルの言葉と共に増殖し始めたという現象は。


大元(オリジナル)を壊すか、使用者が消えろと念じるまで、増えたナイフが消える事はありません。つまりたった1人でも……」

 ニイルが話す間もその数はねずみ算式に増えていき、そして。


「物量による戦法を可能とするのです。この様にね」

 語り終えた頃にはケートスの魔法に匹敵する、いや、それ以上の数のナイフが3人の周囲を漂っていた。

 その光景に、レイのみならずディードすらも絶句してしまう。


【まるで全盛の頃を補う様な武器ではないか。だが、貴様の言う通り普通のナイフが増えたところで、この魔法に対抗出来るとは思えんな?】

 しかし、ケートスだけはその光景に何ら怯まなかった。

 寧ろ嘲笑(ちょうしょう)する様にニイルへと問い掛ける。


 だがそれすらも想定内だったのだろう、鼻で笑いながらその問いに答える。

「確かに()()()()()は普通ですが、それだけではありませんよ。レイ」

「な、何かしら?」

 突然の呼び掛けに困惑した声を上げるレイ。

 ニイルは構わず続ける。

「今から、貴女に分けていた演算能力の全てを返してもらいます。心配せずともゾーン状態(いま)の貴女なら1人で対処出来る筈です」

 その言葉と共に演算負荷が増すのを感じるレイ。

 少しの頭痛を覚えながら、しかし徐々に順応し頭痛も治まっていく。


 それに笑みを浮かべながら口を開くニイル。

「こうでもしないと流石の私も間に合わないのでね。さて、これが貴方への答えです。貴方はこれをどう捌きますか?」


 そうしてニイルは魔法装填を開始。

 無数のナイフ全てに魔法を装填していく。


【貴様……】

 様々な色に輝くナイフを見やり、苛立つ様に呟くケートス。

 その脳裏に過ぎるのは、かつて戦ったニイルの姿で。


「これでも全盛に遠く及びませんが、これしきすら捌けない様では、貴方の程度も知れるというものですね?」

 今度はニイルが嘲る様に、ケートスへと問う。


【ほざくなよバケモノ風情が!その程度の攻撃で……】

「なら足掻いてみせろ」

 怒気を撒き散らすケートスを遮り、一斉にナイフを飛ばすニイル。

 更にそのナイフは直線では無く、様々な軌道を描きケートスの魔法へと飛翔して行く。


 大量の水魔法と大量のナイフ。

 それらが各地でぶつかり合い、時には水魔法を吹き飛ばし、時にはナイフごと爆発し、諸共吹き飛ばしていく。

 そうして、次第にケートスへの道が開けていった。


「今なら行けるか!?」

「いえ、まだよ」

 その光景にディードが嬉声を上げるも、レイが諌める。

 その言葉通り、水魔法が消えていった端から海水が浮かび上がり、どんどんと補充されていくのだ。

 気付いた時には、先程と同じ状態へと元通りになってしまっていた。


【ここは我の領域。海水を全て吹き飛ばすでもしない限り、この魔法から逃れられぬと知れ!】

 それにケートスが叫ぶ。


 その間も2人の攻防は続くが、すぐに補充される互いの武器に膠着状態への様相を呈していく。

 それに、しびれを切らしたディードがニイルへと叫んだ。

「オイ!このままじゃ埒が明かねぇぞ!こっからテメェはどうするつもりだ!?」


 そう叫ぶディードに、レイも内心同意する。

 更にレイは、こちらが不利な状況であるとすら考えていた。

(相手は無限に魔法が使える『幻想神種』。そんな相手に持久戦を仕掛けたところで、こちらの魔力が先に尽きるに決まっているわ!)


 いくら保有する魔力量が規格外なニイルでも、『幻想神種』の様に無限に魔法を使えるとは到底思えない。

 であるならば、この先に待ち受けるのは敗北の2文字であった。


「私ではここまでしか出来ませんが、こちらにはあと2人、動ける者が居るでしょう?」

 しかしそれを否定し、ニイルは2人に振り返る。

 続けてニイルは語った。

「ここまで露払いしたのです。私1人なら永遠に持久戦に持ち込んでいましたが、貴方達、いえ、()()が要れば勝てると私は思っていますよ」


 そうしてレイに目配せするニイル。

 その真意に気付いたレイは頷くが、何も知らないディードは訝しげにニイルへと問う。

「まさか、さっきの雷魔法か?確かにあれは強力だったが、あの程度で倒せる相手だとは到底思えねぇぞ?」


 それに不敵な笑みを浮かべニイルは……


()()んですよ。奴すら知らない最大の切り札がね」

 その内容を語るのであった。

如何でしたでしょうか?

以前、ニイルの真の実力と言いましたが、作中でも明言されている通り、完全な実力ではありません。

未だに彼の実力のほとんどは封じられています。

それが解禁される日は来るのでしょうか?

それまで書き続けられればと思います!

引き続きよろしくです!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ