英雄たる所以
はいどうもニノハジです〜
先週風邪をひいたせいで更新が危ぶまれましたが何とか書き上げることが出来ましたwww
幾度サボろうと思った事か...www
しかしTwitterを初めてから今日迄未だにサボっていないのでこれを習慣付ける為頑張りました!
そろそろサボりたくなってきているニノハジですwww
そんな私のモチベを上げる為に、今回も楽しんで読んで貰えたら嬉しいです!
ではどうぞ!
「何だ?半泣きになりながら何をしている?」
苦悶に満ちた表情で剣を向けてきているレイに対し、ブレイズは困惑の声を上げる。
「ハッタリのつもりか?一体何を仕切り直すつもり……」
「待った」
構わずにレイへと突撃しようとしていたブレイズを止めたのは、傍らでレイを観察していたマーガであった。
その一言で、熱くなりかけていた思考が一気に冷やされ冷静さを取り戻す。
ブレイズは、マーガの冷静に観察し状況を把握する能力を、彼の使う魔法と同じ位信用していた。
「彼女の色が濃くなった。何処で手に入れたのかは分からないけど、恐らくさっき彼女が飲んだのは回復薬だね。この一瞬で魔力まで回復する薬なんて聞いた事が無いけど……」
と、困惑と興奮が綯い交ぜになったかの様な口調で話すマーガ。
それに驚きブレイズもレイを見遣ると、確かにレイに与えた傷が回復しているのが見て取れる。
高級な回復薬ならまだこの回復速度は理解出来るが、魔力も回復する回復薬などブレイズは聞いた事が無かった。
隣で驚いている辺り、博識のマーガすら知らなかったのだろう。
その回復薬の存在は自国の発展、いや戦争にさえも役に立つ有益な物だと2人は一瞬で判断した。
「知りたい事がまた増えたね」
「だがやる事は変わらん、奴を捕らえて聞き出せば良いだけの話」
2人でそう結論付け、改めて戦闘態勢に入るブレイズとマーガ。
かなりの実力者であり、完全回復を果たしたレイに対してでさえも、この2人なら捕縛出来る、そう考えての発言だった。
(やっぱり今度落ち着いた時に、ニイルに頼んでこの薬を改良してもらわなくちゃ!)
対するレイだが、飲み干した回復薬のあまりの不味さに集中力を削がれていた。
これでは傷や魔力が回復しても弱体化と大差無い。
不味さに堪えていたレイも、段々とニイルに対して怒りが込み上げてきた。
「その為にも、さっさと方を付ける!」
ニイルに対する怒りも込め、一気に踏み込みブレイズへと斬り掛かるレイ。
『+5』のお陰で常人には見切れない程のスピードで迫ったのだが、レイは怒りですっかり失念していた。
この程度では見切られた可能性が有るという事を。
「甘い!」
「なっ!?……ぐっ!?」
レイの袈裟斬りを、左手の短剣で受け止めるブレイズ。
そのままその短剣ごと斬るつもりのレイだったが、なんと当たった直後に角度を変え力を受け流し、更にそこから手首をひねり、レイの剣を巻き込んでレイの手から剣を跳ね上げさせた。
あまりの驚きに声を漏らし、硬直してしまうレイ。
その一瞬を見逃さず、レイの周りにマーガが作り出した様々な魔法が展開される。
「さて、これならどうする?」
「舐、め、る、なぁぁぁ!」
挑発の様なマーガの声に、レイは叫びながら応える。
ある魔法は避けて、ある魔法は略式で展開した自分の魔法をぶつけて相殺する。
そうして捌いていくが如何せん数が多く、避けきれないと判断したレイ。
「『+10』!」
強化魔法の力を一気に引き上げ弾幕から抜け出し、更に落ちてきた自分の愛剣を掴み2人から距離を取った。
「ハア……ハア……ふぅ!」
(油断し過ぎ!相手は英雄と呼ばれる2人なのよ!?決して舐めて掛かって良い相手では無いわ!もっと緊張感を持ちなさい!)
溜息を漏らしながら心の中で自分を叱責するレイ。
どこか心の片隅で、『柒翼』では無いからと油断していたのかもしれない。
そんな甘えた考えを完全に消し去る。
ブレイズ達もまた、レイが見せた新たな脅威に驚きを隠せないでいた。
「流石に速過ぎでしょ?今までのが本気じゃなかったなんてね。もうこれ以上は無いと思いたいけど……」
「流石に楽観的過ぎるだろう。あの状況で切ったカードにしては、その後の態度が冷静だ。恐らくまだ奥の手を隠しているのかもしれない」
マーガが楽観視を述べれば、ブレイズがそれを否定する。
そうしてお互いの意見をすぐ擦り合わせる事で、戦力差等の現状把握を速やかに行い冷静さを失わない、というのが2人の昔からの癖だった。
「で?ブレイズ、あれ程のスピードだと君に掛かってくるんだけど?」
マーガの質問は暗に、『+10』をどうにか出来るのかという物だったのだが。
「100%では無いが対応出来る」
というブレイズの発言にマーガは笑顔を浮かべ、レイは苦悶の表情を浮かべそうになるのを必死に堪えていた。
(出来れば『+10』で何とかしたかったのだけれど、やはりそう上手くはいかないか……)
相手が2人というこの状況下で、いくら魔力が回復したとは言え『雷装』はあまり使いたくなかったレイ。
『雷装』は消費魔力も大きく、もし仮にどちらか片方を仕留め損なった場合のリスクが大きいからである。
(ならまずは現状打てる手を使うまで!)
そう判断したレイは瞬時に略式で多数の魔法を展開、更にその魔法が2人に届くよりも前に一気にブレイズへと攻め込む。
「……ぐっ!?」
速度を活かした一撃離脱方式でブレイズを翻弄しようとするレイだったが、本人の言った通り完璧では無いにしろ、殆どの攻撃を捌いていくブレイズ。
(この速度じゃ見えない筈なのに!)
死角からの攻撃等も混ぜ込むが、良くてかすり傷を作るのみで殆どが剣で受け止められるか、避けられるか、魔法障壁に防がれる。
確かに見えない事の方が多いが、それでもブレイズにとってはしっかりと見据えればギリギリ見える速度であった。
それは鍛え続けた動体視力のお陰だったり、現在使っている強化魔法のお陰だったり、はたまた長年培ってきた勘、であったり。
それ等のブレイズが持ちうる全てでもって、人間離れした速度に付いて来ているのである。
(ならこっちならどう!?)
しかしこれはレイにとっても想定の範囲内。
先程展開した魔法の殆どがブレイズに向かって飛んで行き、レイは今度はマーガに斬り掛かった。
マーガはブレイズと違い、近接戦を得意としていないタイプだと判断した故の行動だったのだが。
「まぁそう来ると思っていたよ」
「!?」
レイの剣がマーガに届く寸前、レイの足が地面に沈み、剣は敢無く空を斬る。
見ればマーガの周りはまるで沼地の様にぬかるみ、そこに足を踏み入れたレイはどんどん地中に飲み込まれ始めていた。
「何!?この魔法!?」
見たことも無い魔法に驚きの声を上げるレイ。
その反応に嬉しそうにマーガが答える。
「これは『重複』を用いて産み出した僕のオリジナル魔法さ!土と水の魔法陣を重ねて沼地を作り、相手を捕らえるんだ!」
まるで新しい玩具を自慢する子供の様な無邪気さで、自らの魔法の説明をするマーガ。
しかし見た目に反してその効果は絶大で、その間にもレイは益々地面に吸い込まれていく。
「更にここに火の魔法陣を重ねれば……!」
「不味い!」
レイの本能が最大級の警告を鳴らし、それに従い全力で跳躍。
それと同時に足裏に水魔法を、更に自身の周りに風魔法を展開、水の発射の勢いと風魔法で自身を上昇させ沼地から抜け出す。
その瞬間火属性が加わった沼地は一瞬にしてマグマのように真っ赤に染まり、レイの水魔法を蒸発させた。
「やるね!でもまだまだ!」
間一髪、沼地改めマグマ地帯から抜け出したのも束の間、今度はそこに風魔法が加わり、マグマがまるで火山の噴火の様に舞い上がり、周囲に飛び散り始める。
「くっ!」
魔法障壁を展開、風魔法を全力で発動させ危険地帯から脱出。
更にその隙を狙っていたブレイズからも離れた場所に着地する。
「チッ……気付かれていたか」
悪態をつくブレイズとそれに笑うマーガ。
その2人を眺めながら呼吸を整えるレイは思考する。
(あの量の魔法をあの短時間で捌く剣の技量は想定内だった。それでも十分驚愕に値するけれど、それよりも厄介なのは……!)
『重複』とは魔技の一種に数えられ、略式と同じくこれまた使い手が極端に少ない技術である。
展開した魔法陣を重ね合わせ、同種の物ならその威力を何倍にも増幅、別種の物なら先程マーガが見せた様に別物の魔法として発動させる事が出来る。
しかし、もちろんこれにも高度な技術を要する。
魔法陣とはそもそも1つで完成している物である。
それを重ねれば、通常であれば干渉を起こし不発、暴発、魔力の無駄な流出を引き起こす。
それを起こさない様にする為には、その魔法陣の知識を深め、望んだ結末を得られる様に重なり具合を微調整する等、長い研鑽と経験の積み重ねが必要となってくる。
(しかもそれを略式で行ってくるから、ほぼノーモーションで見たことも無い魔法を使って来るのと同じ事!)
それは最早魔法陣を書き換えて別の結果を生み出す、レイやニイル達が使っている技術とほぼ同等の技術であった。
(書き換えを使えるのは今は私達だけとニイルは言っていたけれど、これじゃあそのアドバンテージもほぼ無意味!)
ここまで到る迄独学で行っていたというのだから、彼は本物の天才なのだろう。
(正しく『魔王』ね……)
新たに現れた2つの脅威に、レイは冷や汗を流すのだった。
如何でしたでしょうか?
遂に第3章の本確戦闘が始まりました!
案の定少し長くなった今回ですが、読み応えあると感じるか、読むのダルいと感じるか、私には分からないので毎度怖いです泣
出来れば前者だと嬉しいのですが...
さて、次回で何と50話になります!
意外と続けられたな〜と少し感慨深いですが、その気分は更新するまで取っておくことにしましょう!
次もちゃんと更新出来るように頑張ります!
ではまた次回、お会いしましょう!




