断章〜かつて少女が抱いた理想〜
はいどうもニノハジです〜
新年一発目となります!
2025年もよろしくお願いいたします!
この回から新章突入となっていきますので是非お楽しみに!
ではどうぞ!
母も売春婦だったらしい。
幼い頃にこの街に売られ、そして病で呆気なく死んだと、物心がついた時に姐さん達から教わった。
容姿が優れている訳では無く、特に人気の無かった彼女は生きる為に沢山の客を安く取り、誰の子か分からない私を授かり、産んで数年後、性病にてこの世を去った。
そんな話を聞いた時、最初に抱いたのは怒りだった。
だってそうでしょう?
見た事も無い母親を、子供を同じ売春婦にした張本人を。
どうして庇う事が出来る?
幼かった事も相まって、その頃の私は全てを憎み、そして拒絶していた様に思う。
でも一つだけ感謝出来る事が有る。
それは自分を、母親とは似ても似つかぬ程の美人として産んでくれた事だ。
あの母親からこんな絶世の美少女が産まれるなんて。
大きくなるにつれて、母親を知る人達は皆そう言ってたっけ。
だからそこだけは感謝してる。
私に他の誰にも持ち得ない『美貌』を持たせてくれて。
そう、美しさは武器だ。
私はまだ幼いながらもそれを学んだ。
この街では特にそれが顕著だった。
何もしなくても男は寄ってくるし、意地悪な姐さん達も陰口をたたく事しか出来ない。
何故なら私がこの街で1番美しく、そして稼げるから。
私が稼いだ金を、皆に循環してやれば皆私の味方になってくれる。
そんな私に、表立って反抗するなんて馬鹿な真似をする人は居なかった。
でも当時の幼い私は、そんな打算的な考えは持って居なかった。
ただ単純に、皆を喜ばせたかっただけだった。
姐さん達はいつも私のお世話をしてくれて優しかったし。
本当の家族は知らないけど、これが家族なんだと知る事が出来た。
お陰で、そんな家族の様な人達には心を開く事も出来る様になった。
そんな優しい人達の推薦だったから、最初の頃の男の人達も皆優しかった。
優しくしてくれたお陰で、最初はもちろん痛かったけど、それ以降はとても気持ち良くしてもらったのを覚えている。
こんな酷い世の中でも優しい人達が居るのなら、今度はその人達を助けよう。
そう思う事で、当時の純粋な私は生きてこれたんだと思う。
でもやっぱり、世界には悪意が蔓延っていて。
ある日、私の噂を聞き付けた男達が街にやって来た。
その男達は無理矢理私を輪姦し始めようとして来たの。
とても驚いて、それでいて怖かった。
今まではちょっと乱暴な人でも、言えば止めてくれたのに。
でもこの人達は違った。
私が痛いって。
止めてって言う度、むしろ喜んで興奮してた様に思う。
それでも私が暴れたら殴られて、言う事を聞く様に首を絞めて来た。
殺されるんだって思って怖かった。
でも本当に怖かったのはその後。
薄れゆく意識の中で見た景色。
それは、この状況を止めようと来てくれた2人の姐さん達が、目の前で殺された瞬間。
叫びたかったのに声は出なくて。
助けたかったのに何も出来なくて。
ただ目の前で鮮血を流し、倒れゆく大切な人達を見る事しか出来ない自分が、何より悔しくて。
色んな感情が渦巻いて目の前が真っ赤に染まった時、声が聞こえたの。
「貴女は力を欲するかい?」
って。
それが誰の声だったのか、今なら分かる。
私の中の彼女が見かねて声を掛けてくれたのだと。
当時はそんな事分からなかったのだけれど。
それでも願ったわ。
(皆を護れる力が欲しい!)
次目覚めた時、私は血の海の只中に居て。
周りは死体だらけだった。
さっき迄、私に乱暴しようとしていた男達は勿論、その前に殺された姐さん達も見付けてしまって。
動かない彼女達を見て、どうしようもなくこれが現実なんだと思い知らされて泣いてしまったっけ。
「契約は完了したわ。これで貴女は何を成す?」
私の中から聞こえた声でようやく気付く。
これは自分の罪と、そして罰なのだと。
私の力が足りないばかりに、姐さん達は死に、そしてその魂を生贄に私は力を手に入れたのだと。
ならばやるべき事は決まってる。
今度こそ皆を護ってみせる。
この世の悪意から私達の様な、か弱い者達が集まって出来たこの街を、命ある限り守りきってみせる。
それが生贄にされた、彼女達に対する贖罪だと。
今でもそう信じている。
如何でしたでしょうか?
新年一発目から重ための話となっております…
今までの話より結構踏み込んで、レーティングもちょっと上がった感じのある話になったかと思われます。
苦手な方はご容赦ください。
でもこの作品はこんな感じの話もするよって事を今後覚えていて貰えれば助かります。
さて、次回は何と明日更新予定となっております!
休みを頂いたので、連続更新をして行こうと思います!
では明日お会いしましょう!




