おっさん、疑問を抱く
「まあパーティのシーフ系不在問題は無事解決されたし、
おっさんはは女の敵って判明したことだし、
これはこれで万事オッケーってやつかな?」
「ん。賛同する。
カエデの参入でパーティの生存確率はかなり向上する筈」
「これから更なる迷宮探索が控えてますしね。
わたくしも異議はございませんわ」
「わんわん(こくこく)」
結託し意気揚々と話し合う三人と一匹。
俺はクーラーボックスやパラソル等を一身に背負いながら反論する。
「――すまん。
女の敵はマジで訂正してほしいんだが」
「細かい男は嫌われるよ、おっさん?」
「何事も寛容さが大事」
「ほら、ガリウス様もいつも仰ってるじゃありませんか。
決め台詞通り――何があっても泰然としていませんと」
「勝手にスケコマ扱いされてる身にもなってみろ!」
「えー……
でも、ねえ?」
「ん。ガリウス……
その状態では何を弁明しても説得力がないと思う」
「はい、残念ながら」
「――え゛?」
三人に猛抗議しようと意気込む俺だったが――醒めた眼差しで俺を見やるシア達の指摘に後ろを振り向く。
そこには頬をバラ色に染めたカエデが上着代わりに羽織っていた俺のパーカーの裾を手にモジモジとしていた。
「そ、その拙者は未経験なので――
最初は優しくリードして頂いた方が……
あの、でも決して嫌という訳ではなく――
拙者も女として覚悟はしてるというか……」
お~いもしもし? カエデさん?
何やら妄想逞しくクネクネし始めているカエデ。
何故かキリッっとしてた獣耳もへにょ~んとしてる。
これは……誘惑系の幻覚魔術を喰らったのと症状が似てる。
あるいは時折フィーが妄想を暴走させている時にも。
きっとお仲間ですわ、と苦笑するフィーの言葉に俺は深く溜息をつくと、カエデの肩に手を置き正気に返るよう声を掛けた。
「おい、カエデ」
「――ひうっ!
あ、あの……ガリウス殿……
せ、性急過ぎます……まずはその優しく耳元から……」
「って、何をトリップしている!
いい加減に目を覚ませ!」
カウンターバットステータス用に収納スキルを発動。
気付け薬をツッコミの意を籠めてカエデの頭に軽く叩き込む。
薬効は瞬く間に作用し、カエデは我に返った様に自分の両手を見つめる。
「――はっ!
拙者はいったい何を……?」
「ジャスト一分……
ユメは見れたかしら?」
「――え?
何でしょうか、フィーナ殿?」
「うふふ、軽い冗談ですわ。
でも――カエデさん……?」
「はい!」
「そういう男のコに免疫の無いとことか――
融通が利かなそうな頑固さとかも直していかないといけませんわね。
特に妄想癖とか(ぼそっ)」
「――え? あの??」
「同意。
我々の仲間になるというならこの程度で満足して貰っては困る。
おっさんとの妄想シチュエーションは――軽く108式を超える!」
「な、なんと!?」
「そうそう。
こんなので盛り上がってちゃ身体が持たないよ?
という訳で――これからよろしくね、カエデ!
今日はこれからカエデのパーティ参入お祝いをしよう!」
「ん。賛成」
「はい、わたくしも異議ございません」
「わんわん!」
「……あの、俺の意見は?」
俺を抜きで和気藹々と盛り上がる女性陣。
俗に女が三人寄れば姦しいと言う。
なら四人と一匹になったらどうなってしまうのか?
恐るべき未来に――俺はそっと戦慄するのだった。




