第89話
目の前の女性を観察する。
苦しそうな顔も、なかなか良い。
もっと痛め付けたら楽しそうである。
そんなことを考えてから、周囲の状況を確認した。
生きている者は誰もいない。
しかし、ルティアさんかレレが追ってくるかもしれない。
他の警備隊員が近くにいることも考えられる。
ゆっくりと楽しむためには、場所を移動しなければならないだろう。
僕は、女性に抵抗しようという考えを起こさせないために、相手の口を押えたまま告げた。
「僕がたくさんの人を殺すところを見たな? だが、僕は本当は、もっと時間をかけて、相手をなぶり殺しにするのが好きなんだ」
「……!」
女性は震えた。僕が本気で言っているのだと感じたらしい。
怯える女性を見て、気分が良くなってきた。
「まずは、もう片方の腕も折る。続けて両足を折る。耳と鼻はそぎ落として、両目はくり抜く。その後は、全身の皮を少しずつ剥いでいく。どうだ、面白そうだろう?」
スーザンを痛め付けた時のことを思い出しながら、僕は話した。
女性は、震えが止まらない様子で、懇願するような目で僕を見てきた。
僕は、続けて言った。
「……だが、お前の顔はなかなかいいな。今回だけは、特別に助けてやってもいいぞ? 場合によってはな……」
そう言いながら身体をまさぐると、女性は激しく反応した。
だが、暴れはしない。
惨たらしく殺されることを恐れているのだろう。
そして、悪くない身体をしている。
オットームとしては、恵まれている方ではないだろうか?
「そのまま、僕が何をしても大人しくしているなら、命は助けてやるし、痛みも必要以上には与えないと約束しよう」
僕は、そう言ってから女性の腰に手を回し、立ち上がるように促した。
そのまま、女性を伴って森の奥へと進む。
ある程度進んで、人目につきにくい場所を発見し、僕は立ち止まる。
そして、女性の左腕を掴んだ。
「……!」
女性は、目をきつく閉じて、全身を大きく震わせた。
左腕も折られると思ったことは間違いない。
しかし、僕は腕を折らず、再び女性を脅した。
「いいか? 暴れたら容赦しない。両腕を折られたら、回復魔法を使うことはできないはずだ。そうなったら、誰かに発見されて治してもらうまで、両腕が折れたままの状態で放置されることになる。それが嫌なら、大人しくしているんだ」
「……」
女性が抵抗する気力を失ったことを確認して、僕は女性をその場に押し倒した。
続けて、服を引き裂く。
肌を露わにされても、女性は抵抗しなかった。
僕は、なされるがままの女性に満足し、下着を引きずりおろした。
その後、僕が皆の所に戻ると、ベルさんは安心したのと同時に怒った様子だった。
「貴方、一体どこまで追って行ったの? 罠にかかって、殺されたんじゃないかと心配したわよ!」
「安易に追撃するのは感心しないな。深追いすれば、それだけリスクは増していくんだ」
ルティアさんからも苦言を呈される。
「……」
クレアは何も言わなかったが、激しく怒っていることは明らかだった。
彼女は、逃げる相手をむやみに殺すことには反対なのだ。
「すいません……実は、道に迷ってしまって……」
僕は、そう言い訳した。
さすがに、女性を弄んでいたと言うわけにはいかない。
「貴方が無事で良かったです」
そう言って、ミスティが僕の腕にしがみついてきた。
そして、驚いた様子でこちらを見上げてくる。
ミスティの反応に、僕も驚いてしまった。
このわずかな時間で……一体、何を悟られてしまったのだろうか?
「とにかくこの場を離れよう。警備隊が援軍を集めて戻ってくるかもしれない」
ルティアさんがそう言った。
「そうね。ティルトを置いて行けないから、無駄な時間を使ってしまったわ。早く身を隠す必要があるわね」
ベルさんがそう言って皆を促す。
僕達は、すぐにその場を離れた。
皆の前で善良な人間を演じることに疲れた。
最近、そう感じることが多くなってきた。
本来ならば、今の僕は、性的な欲求を満たす対象に困ることはない。
ベルさんはすぐに受け入れてくれるだろうし、ルティアさんも断ることはなさそうだと感じる。
ミスティもレレも、説得するのに時間はかかるかもしれないが、頼み込めば不可能ではないだろう。
そういう関係になるのが不可能に近いのは、オットームの一般的な価値観を持つクレアと、僕に対して恋愛感情を抱いていないノエルだけである。
だが、これだけ恵まれた環境にいながら、僕は誰とも深い関係になれない。
誰かと肉体関係を持ったら、クレアは僕を拒絶するだろう。
対象がミスティであれば、間違いなくベルさんの怒りも買うはずだ。
結局、僕は皆に知られないように、はけ口を探すしかないのである。
そんなことを考えながら、傍らにいるミスティに目を向ける。
本当に発育の良い子だ。将来的には、ロゼットに近いレベルにまで達するのではないだろうか?
そんなことを考えて、少し興奮する。
ミスティが、困った様子でこちらを見たので、少し慌てた。
決して、下半身がぶつかっているわけではないのだが……この子は、男の性的な欲求に敏感らしい。
そういえば、ミスティは娼婦であり、タームを欲情させることが仕事だったのだ。
男の反応のことは熟知しているのだろう。
今まで、ミスティの胸の感触を楽しめることは、ありがたいと思っていたが……こちらの反応を察知されたくない時には、彼女には離れていてほしいと思った。




