第23話
男に犯されかけていた女は、間近で大量の返り血を浴びて放心状態だったが、しばらくして我に返った。
胸元を破られた服を掻き寄せ、逃げるように、その場を立ち去ろうとする。
姿を見られたからには、ベルさんならば、口を封じようとするだろう。
しかし、僕にそんなつもりはない。殺すのは、気に入らない相手だけだ。
女を見送りながら、何気なく視線を落とす。
すると、月明りを反射した何かが光っているのに気付いた。
「待て」
僕は女に一瞬で追い付いて、腕を掴みんで引き留めた。
「嫌! 離して!」
「騒ぐな。殺すぞ?」
僕がそう言って剣を示すと、女は真っ青になって黙り込んだ。
「おい、あれは何だ?」
僕は、地面に落ちている数枚の金貨を示した。
「……私の……!」
女は、慌ててそれを拾おうとする。
僕は、問答無用で女を引き倒した。
女の悲鳴を無視し、さらに、女の全身をまさぐる。
「嫌! やめて!」
騒がしいので、僕は女の頬を軽く叩いた。
「喉を切り裂かれたくなかったら、大きな声を出すな」
命令しながら、スカートの上から女の脚に触れる。
そして、金属のような、硬い感触を確かめた。
「おい、これは何だ?」
僕は、女のスカートのポケットから、一掴みの金貨を取り出した。
女の顔は蒼白だ。
本人の金でないことは明らかである。
「わ、私のお金よ……!」
それでも女は、首を振りながらそう言った。
僕は、女の喉に剣を突き付けた。
女が、声にならない悲鳴を上げる。
「正直に、どこから盗んできたか言え。そうすれば、命だけは助けてやろう」
「……近くにある、大きな屋敷から持って来たのよ! いいじゃない、皆魔物に殺されちゃって、もうお金なんて必要ないでしょ!? ちょっとくらい貰ったって、大したことないじゃない!」
「……」
僕は、こんな女を、親切に助けてやったのか……。
火事場泥棒は、ベルさんもやったことだし、大した悪事とは思えない。
これだけの大金を盗めば、帝国の法によって公開処刑になる可能性もあるが、それは僕には関係ないことだ。
しかし、金を盗んでいて逃げ遅れた女が、悪い男に目を付けられても、自業自得というものだろう。
こんな奴のために本気で怒ったなんて……何だか、馬鹿らしい気分になった。
僕は、開き直った様子の女を見て考える。
こいつをどうするべきか……?
面倒なので殺してしまっても構わないが、この女に恨みがあるわけではないし、先ほど、殺さないと約束したばかりだ。
そして思い付いた。
この女になら、激しく憎まれるようなことをしても、心が痛まずに済む。
ダッデウドにとっては、憎まれることで魔力が回復し、強くなることにつながるのだ。
ならば、この女を活用しないのはもったいない。
改めて女を観察する。
性格の悪そうな顔だ。加えて、スーザンほど美人というわけでもない。
だが、胸はかなり大きいようだし、触った印象として、身体つきは悪くなさそうだ。
裸を見たら、喜ぶ男だって多いだろう。
僕は、思い付きを実行することにした。
まず、女に剣を突き付ける。
「こ、殺さないって約束したじゃない……!」
「ああ、殺さないさ。叫んだり、抵抗したりしなければな」
そう告げて、僕は女の服に手をかけ、剣で容赦なく切り裂いた。
剥かれている間、女は歯をくいしばって耐えていた。
自分が、これから凌辱されると思い込んでいるようだ。
最後に、下半身を覆っている下着も脱がし、細かく切り裂く。
これで、女は生まれたままの姿だ。さらに、近くに再び身に着ける物はない。
いや……先ほどの男の死体が身に着けている服がある。
それに気付き、僕は、男の死体を何回も刺して、服を血まみれにした。
「……あ、あんた、何やってるの!? やるなら、さっさとやりなさいよ!」
「これ以上、何をやるっていうんだ? 僕は、もうやることはやった」
「えっ……?」
「いや……よく考えれば、どこかの家に入って、服を盗めばいいだけか。やはり、お前のことは縛らせてもらう。付いてこい」
僕は、女の腕を引っ張って歩き出した。
当然、女は全裸である。片腕で、何とか体の前を隠そうとしているが、ほとんど隠せていない。
「嫌! 何考えてるのよ!? 誰か来たらどうるすの!?」
「その時は、お前を放置して逃げるだけだ」
そう言うと、女は僕の意図を理解したようだ。
「あ、あんた……まさか、あたしを、裸のまま放り出すつもり!? そんなことをして、あんたに何の得があるのよ!?」
「そんなものは無い。ただ、面白そうだからやるだけだ」
「ふざけないで!」
「大きな声を出すと、帰ってきた人間が集まってくるかもしれないぞ?」
「……ねえ、やめて! お願い!」
女の懇願を、僕は無視した。
誰からも邪魔されず、何でも自由にできるというのは、とても気分の良いことだった。




