ユーカのクラスチェンジ
「そういえば、ユーカって今レベルいくつ?」
「レベルですか?すみません、気にしていなかったので。少し待ってください」
マーネの問いにユーカはステータスを開いてレベルを確認する。
「えっと、22です」
「あら、結構上がったわね」
「俺達が行く前はそんなに高くなかったよな?」
「特に戦闘はしていないはずですが?」
「生産でもレベルは上がるのよ。でも、こんなに上がっているとなるとどれだけやっていたのかしらね」
持続し続ける集中力がユーカの才能ではあるが、それ故に無茶をしないか心配になるな。
「まあいいわ。それより、レベルが20を超えているならクラスチェンジができるわね。今以上の品質を求めるなら必要だし、今から行きましょうか」
「皆さんも行くんですか?」
「嫌かしら?」
「嫌という事はありませんけど……」
「俺としてはしばらく一緒に行動できなかったんだからもっと一緒にいたいな」
「そ、そういう事なら……」
と、何故かユーカは顔を赤くして目線をそらし、代わりにマーネが鋭い視線を向けてくる。
「……ローくん……変わらない」
「ふふ、ロータス君の昔の話は気になるねぇ。今度ゆっくり教えておくれよ」
「……ん」
「やっぱり、地下で見た神殿とは少し雰囲気が違うな」
「そうね」
「この神殿に来るのは俺達がクラスチェンジに来た時以来か。ミナスはどうだ?」
「……一緒」
「やっぱ、そうか。来る用事もないしな」
その割には人が多いが、はて?何か他にも役割があったような。
「あそこにいるのって狂剣と魔女王じゃね?」
「うわ、マジだ。て、事はあれが薄明のメンバーか。……美少女ばっかじゃねぇか!」
「今、クラスチェンジ以来って言った?」
「言ってたな」
「お前は?」
「今日三回目だよ!」
「やっぱ、やべぇなあいつら」
何か視線を感じて辺りを見回してみると、かなり視線が集まっていた。
まあ、全員美少女ばかりだからな。視線が集まるのは当然か。
「まるで貴方は無関係といった顔ね」
「む?」
「まあいいわ。それより、行きましょう」
集まる視線を振り切り、俺達は神殿の中に足を踏み入れた。
「ここからはユーカ一人で行ってちょうだい」
「わかりました」
久しぶりに訪れた転職の間の前で立ち止まり、ユーカだけが中に入る。
そして、しばらく待つとユーカが出てきた。
「無事にできたか?」
「はい。鍛治師にクラスチェンジしました。これで今よりいい物が作れるようになると思います」
「俺は今のでも満足してるんだけどな」
「駄目です」
と、俺の言葉にユーカが強く否定する。
「私にとっては未熟なできなんです。ロータスさんがよくても私が納得できません」
「わかったよ」
身を乗り出して詰め寄ってくるユーカに思わず身を仰け反らせて苦笑を漏らした。
「あ、す、すみません」
「期待して待ってるよ」
「は、はい。待っていてください」
「見せつけてくれるねぇ」
ニヤニヤとしたユーナにユーカは慌てて俺から距離を取った。
「そ、それでですね。これからの予定って決まっているんですか?」
「予定?有用性もわかったからミナスの分の絆のリングを取りに行こうとは思っているくらいよ」
「でしたら、その後でいいので西側に向かいたいのですけど」
「なるほどね。ええ、構わないわ」
たしか西側は鉱石が取れるんだったな。ユーカの目的はそれか。
「方針は決まったわ。まずは王都に行く。その後は西側第三の街を目指すわ」




