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対峙する二人

96pt、ブクマ16件ありがとうございます!

これからもよろしくお願いします!

 乱暴にドアを開けて、悠希ゆうきは屋上に出る。

 空はすっかり明るんでいて、うっすらと朝日が昇っていた。


「ハァ、ハァ……」


 悠希は荒い息遣いをしながら唾をゴクリと飲み込み、呼吸をゆっくりと整えていく。

 夜が明けたことが悠希にとって唯一の救いだった。

 暗い中で距離感や自分の位置も掴めないまま大雅たいがから逃げるのは不可能に近い。

 暗闇の中で逃げ回っていたらいつか地面に向かって真っ逆さまに落ちるだろう。


 トン、トン、トン……。


 悠希がそんなことを考えていると、ドアの方から階段を踏みしめる音が聞こえてきた。


「マズイ……もう来たのか!」


 ひとまず悠希はドアから離れて、出来るだけ逃げ道を把握できるようにするため、屋上全体を見回した。


(こんなに狭い屋上だ。一歩間違えたら俺は刺される。計画的に動かないと)


 当然、入り口兼出口のドアしか突破口はない。だが、最悪の場合は、


(飛び降りるしかないか……)


 悠希はそう考えながらおそるおそる地面を覗き込む。


(うわっ、高ぇ)


 予想以上に高さがあったため、少しだけビビってしまう。

 少しだけ、だ。

 だがそんな弁解をしている余裕は全くない。


「やっと追いつけた」


 ついに大雅が屋上に着いてしまった。


(くそ……後はとっさに考えるしかないな)


 悠希はそう心を決めて大雅を真っ直ぐ見つめた。

 そんな悠希の姿がおもしろいのか、大雅は笑い声を漏らしながら言った。


「アハハ。そんなに警戒しなくてもいいのに」


「自分が殺されるって状況で警戒しない奴なんていないだろ」


 悠希はその場で体制をキープしたまま答える。


「うん。それも確かにそうだね」


 急に大雅が納得したかのようにうんうん、と首を上下に振った。そしてゆっくりと目を開き、悠希を見る。


「それに、その方がありがたいよ」


「どういうことだ」


「だって、そうやって警戒してくれてた方が殺しがいがあるだろ?」


 大雅はまるで戦闘ゲームをするような感覚で楽しそうに動き回っている。


「俺はそう簡単には死なないぞ」


 悠希は大雅の楽しそうな様子を見て少し煽るような口調で言った。

 悠希の言葉に大雅がまた嬉しそうに反応する。


「もちろん。簡単に死なれちゃ困るよ。僕だって君を簡単には殺さない」


 そして包丁の刃先を悠希の顔に向けて目を潜め、にんまりと笑った。


「この上ない苦痛をいっぱい味わせながらじわじわと殺していくからね」


 ※※※※※※※※※※


 カバンの中でスマホが振動し、電話の表示がついたまま光っている。

 病院でうたた寝していた月影先生は、その音に驚いて飛び起きた。思わず椅子から転げ落ちそうになった。


「あ、電話」


 先生は一言呟き、電話の相手を確認する。

 スマホには「校長」という文字が表示されていた。


「校長……」


 こんな早い時間に一体どうしたのだろう。

 不思議に思った先生は、スマホの右上にある時間を確かめる。

 5:00と、スマホにはそう表示されていた。

 こんな時間にわざわざ電話してくるということは何か由々しき事態が起こっているに違いない。

 先生はすぐにボタンを押して電話に出た。


「校長。どうしたんですか?」


「ああ、先生。起きてたか」


「はい」


 そこまで言ってから、隣のベッドで早絵が熟睡していることを思い出し、先生は口を手で覆って声を潜めながら病室を出て行った。


「何かあったんですか? こんな早い時間帯にお電話なんて」


 廊下の壁に背中をつけ、電話の向こうの校長に尋ねる。


「いや、実はな、思ったよりも深刻な状態になっているんだ」


「え?」


「百聞は一見にしかずだ。とにかくテレビが近くにないか? つけてもらいたい」


「テレビ、ですか。ちょっと確認してきますね」


 月影先生はそこで一旦電話を切ると、その足で受付の方に向かった。

 廊下の電気は当然まだついておらず、所々オバケが出てきそうな暗さもある。

 先生はその中を出来るだけ心を無にして歩いていく。

 実は先生はオバケが大の苦手なのだ。

 子供用に作られた易しいお化け屋敷でも、号泣してしまって途中でリタイアすることもしばしば。


(もう、電気ぐらいつけてくれてたっていいじゃない)


 先生は心の中で病院に文句を言った後、足早に受付へと歩いて行った。

 受付では事務の女性が二人机に座ってパソコンをカタカタと鳴らし、事務仕事をしていた。


「あの、すみません」


「はい、どうしました?」


 その二人のうち一人が先生の呼びかけに反応して顔を上げた。


「今の時間帯ってテレビつけても大丈夫ですか?」


「えっと、どういったご用件でしょうか。必要最低限の番組しかつけないことにしているんですけれども」


 受付の女性がそう申し訳なさそうに言った。


(校長、テレビとしか言ってなかったわね……)


「すみません。少し待っていただいてもいいですか? 確認します」

「わかりました」


 受付の女性は笑顔で応えた。

 月影先生は急いでスマホのロックを解除し、通話アプリを開く。

 呼び出し音が鳴り始めたが、幸いにもそれは数秒で打ち切られた。


「もしもし」


 校長先生の声が聞こえてくる。


「校長、何度もすみません。テレビというのは何でしょうか」


「ん? まさか月影先生、テレビを知らないとかじゃないよな?」


 思わぬことを校長先生に聞かれて、月影先生は慌てて否定する。


「あ、いえ! 違います! 病院が必要最低限のテレビ番組のみつけているということだったので、テレビといっても色々ジャンルがありますし……。それを教えて頂きたくて」


「ああ、そういうことか。ニュース番組だよ」


「ニュース番組ですか。わかりました。少しお待ちください」


 月影先生はそう言って電話のマイク部分を手で塞ぎ、受付の女性に言った。


「すみません、ニュース番組だそうです」


「ニュースですか、それなら問題ないです」


「ありがとうございます!」


 月影先生は女性に深々と一礼した。


「あちらに共用のテレビがございますので、音量は落としてご覧ください」


 受付の女性が病院の棟の隅を指差す。


「わかりました」


「大丈夫だったか?」


 電話口から校長先生の声が聞こえてきた。

 月影先生は移動しながら返事をした。

 棟の隅に行き、テレビの前の椅子に腰をかける。

 そして続けざまにテレビの前の丸机の上に置かれてあったリモコンの電源ボタンを押す。

 するとテレビ画面には神妙な顔つきの女性リポーターの姿が映し出された。

 リポーターの他にも大勢のカメラマンがカメラを設置していて、その場所全体が報道陣で埋め尽くされている状態だった。

 彼らはある場所に来ていた。

 先生はそのリポーターが立っている背後の入り口に見覚えがあった。


「ここって……」


 その直後、リポーターがマイクを片手に話し始めた。


『こちら現場となった高校に来ています』


「高校! うちの高校! 校長、もしかしてこの事ですか?」


 再びスマホを耳につけ、先生は校長に尋ねた。


「ああ、そうだよ。だいぶマズイことになってるみたいだ」


「どうして……ハッ!!」


 先生はテレビ画面に映し出された光景に思わず息を飲んだ。

 そこには、必死に逃げまとっている悠希と彼を追いながら満面の笑みで包丁を持っている大雅の姿があった。

最後まで読んでいただきありがとうございました!

ついにニュースにまでなってしまった二人の決着。今後どう発展していくのか。

作者もわかりません(笑)

でも心火を燃やして書いていきますのでよろしくお願いします!


引き続き感想や評価、レビューもお待ちしております!これらが書く意欲、励ましになります!


次回もお楽しみに!

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