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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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火竜さんお茶の時間です2

《火竜:茶だと……? 竜は茶など飲まん》


 大変あっさりとしたお返事が来た。でもここでへこたれたりはしない。

 眼下に火竜さんが見えてきたけれど、火を吹いたりしていないので、たぶんおむずかりではないはずだし。


「精霊さんにも、クー・シーにも好評をいただきまして。もっとちょうだいと、リピーターになって下さっているんですよ」


 精霊さんからそんな感想はもらったことがないけれど、クー・シーについては嘘をついていないので、よしとする。ささやかな広告の誇張ぐらい許されるだろう。

 そして火竜さんは、少々興味を引かれたようだ。


《火竜:ふん……精霊や魔物が? まぁここまでたどり着けたら考えてやらなくもないが。これだけの数の岩喰い鳥を越えられたらな》


「あ、はーい。じゃあ岩喰い鳥を倒したら飲んでいただけるんですね? ありがとうございます!」


《火竜:え、おいちょっと、飲むと約束したわけでは……》


 ぷちっとボタンを押して団長様に知らせた。


「団長様、岩喰い鳥を倒すまでは、火竜は攻撃をしかけて来ないそうです。その後お茶を飲むかどうか決めたいそうで。その時に再度、会話をします」


 振り向けば、団長様はじと目で私を見ていた。


「だいたいわかった。倒してみせろ、どうせできないだろう。出来たら考えてやらなくもないという話だな?」


「……団長様、鋭いですね。でも火竜さんはツンデレで、私の連絡もそわそわしながら待ってしまう竜なので、すぐ攻撃ということはないはずです」


「ツン……はよくわからないが、まぁいい。そういうことにしておく」


 団長様は周囲の騎士達に合図を送った。

 一斉に、飛びトカゲが降下していく。

 真っ逆さまに降りて行かず、ぐるりと時計回りに高度を落として行くので、最後尾の竜から見ていると渦みたいな感じだ。

 ある程度降下したところで、火竜の側にあった岩が飛び立つ。

 飛びトカゲより二回り小さいぐらいの大きさだ。あれが岩喰い鳥なのだろう。


 針金みたいな岩を組み合わせた姿の鳥は、すぐに騎士達と交戦する。

 金色のエフェクトが多く瞬いた。

 おそらくあれは、雷の属性の剣技や魔剣を使っているんだろう。相手が岩なので、炎ではダメージが通りにくいからだ。

 空中戦は火竜を含めると二度目だけれど、やっぱりハラハラする。


 火竜と戦うために選別した騎士達なので、難なく岩喰い鳥を倒していく。

 ちぎれた岩の翼が落下しながら、黒い煙に変化して消えたのが見えた。

 それを追うように胴体が落ちる途中で、煙に変じる。


 騎士達の先頭にいるのは、フレイさんだ。

 金の髪を揺らし、飛びトカゲの上で剣を振るうことで、離れた岩喰い鳥へと雷を放つ。

 ダメージを受けたところに、追いかける騎士達が通りすがりに襲いかかるような形で、次々に一太刀浴びせていき、その流れの中で一匹ずつ岩喰い鳥は落とされて行った。


 この光景を見ながら、ゲームみたいに山登りをして、徒歩で戦うことにならなくてよかった、と思った。

 飛びトカゲじゃないと、とても火竜の攻撃がかわせそうになくて、もっと心配になっただろう。

 素早く戦闘が終わって行く。

 団長様も、竜の高度を下げる。ほとんどの岩喰い鳥が倒されたからだ。


「団長様、そろそろ火竜さんに連絡入れますね!」


 私はぽちっとDボタンを押した。


《火竜:うそだろおい……これじゃ……いやいや、あっちが勝手に言ったんだし……》


 珍しく火竜さんが独りごとを言っていたようだ。ボタンを押してすぐに、言葉が表示された。


「火竜さん、ごきげんよう。お約束通り岩喰い鳥は始末できそうなので、お茶についてのお話の続きをしようと思ったのですが」


《火竜:……っ、貴様、来おったか! い、いや知らんぞ茶のことなんぞ。お前が勝手に言ったことだからな》


 んむ。どうやらさっきの独りごとから察するに、火竜さんは、私との約束を反故にしようとお考えらしい。


「お約束してくださったではありませんか。火竜さんは大きくてとても立派な竜なので、きっと長く生きていらっしゃるでしょうし、知識も豊富で思慮深い方だから、こんな矮小な人間との約束など、いくらでも叶えて下さると思ったのですが……。今のは聞き間違いではありませんよね? こちらが提示された条件を果たした後でお約束を破るような、器の小さい方ではありませんよね?」


《火竜:う……。くぅぅぅ。何なんだこいつは!》


「嫌ですよ火竜さん。魔女だって言ったじゃないですか」


 悪びれもせず言えば、火竜が眼下でじたばたと前足を動かした。土煙が起こっている。


《火竜:そんなもんはわかっておるわああああ!》


 その間、後ろで同情するような声が聞こえた。


「よもや、人に被害を与えそうな竜を哀れに思う日が来るとは……」


 団長様、情け容赦は味方になってからでいいと思いますよ。火竜は半分魔物ですし、本来は倒すべき敵だったりもしますから。

 そう思いつつ、私は火竜さんにダメ押しをした。


「でしたら、お約束の履行をお願いします」


《火竜:くぅぅぅぅ! ……ん?》


 火竜がじたばたするのを止めた。何かを思いついたらしく、上にいる私達を見上げて火竜が言った。


《火竜:わしはたどり着けたら考えてやらなくもない、と言っただろう? だから今考えてやったぞ。わしに三度ダメージを入れられたら、飲んでやる。ただしこちらも普通にお前達を叩き落としてやるがな》


 その答えに、私は万歳をした。


「団長様。火竜が三度ダメージを与えたら飲むと確約しました、お願いします! が、上級の防御の魔法、使ってもいいですか?」


 確認したのは、上級魔法を団長様が使えない場合、魔法をかけまくったらさすがに私の魔法ではないかと疑われる可能性があるからだ。


「精霊の盾なら、私がやったことにしていい。お前が攻撃するのは、さすがにリスクが高いから控えろ」


「はい」


 とりあえず騎士さん達を防御する許可はもらったので、私は張り切って火竜さんにお返事をする。


「火竜さん、わかりました。それでは無理にでも飲んでいただきます」


《火竜:どうしてこの状況で、そんなに自信満々なんだ……》


 呆れたような、お返事の文字が並ぶ。

 それに返す間もなく、団長様が指示を出した。

 剣を持っていない手を上げ、振り下ろす。

 とたん、一斉にフレイさん達が突撃した。

※ちょっとだけ修正しましたが、内容はほとんど変わりません

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