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私は騎士団のチートな紅茶師です!  作者: 奏多
第二部 騎士団の喫茶店

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チャンネルDの効果範囲

 黙ってステータス画面を見る。

 最初は何も表示されなかった。

 でもやがて、「……」が多いけれども、文字が表示されるようになる。


《火竜:……なところ……ないのに。早く……帰……》


 やっぱり火竜だ。

 でもあの火竜で間違いないんだろうか。と思ったけど、疑うだけ無駄だった。だって、チャンネルDが追加されてからこっち、ボタンの色が変わったのは、あの火竜が来てからだもの。

 それにしても火竜。早々に何かをして帰りたいってことだろうか。


「…………」


 ちょっと考える。あの山からの距離。そして火竜は動けないことを考えると、今なら話しをすることができるんでは?


「もし、火竜さん」


《火竜:!? また……どこからか……》


 側に人間の姿もないのに声が聞こえたので、驚いたようだ。そういえば森での戦闘前にも、びっくりしていた。

 でもさすが火竜さんは、驚いて不安になるだけではなかったようだ


《火竜:他……魔女が? ……今度は……させ》


 お、なんだか話せそう。そして火竜さんはこちらを魔女として認識しているみたいで、話が早い。

 しかし電波状況が悪い。

 とぎれとぎれで、火竜が何を言いたいのか理解するまでにややかかる。アンテナ付けるとか、魔力でどうにかできないのかな。もしくは接触不良?


 そう思って、魔力を込める様にして一回ボタンを切って、スイッチを入れ直すと。

 Dボタンの色がさっきより鮮明になった。ちらっと見てみると、私のMPが一秒ごとに一ポイント減って行っている。魔力供給ができたってことかな?


《火竜:おい、聞いておるのか》


 あ、通信がクリアになったみたい。思ったとおりだった。

 そしてこんな遠くまで火竜の言葉が届くのは、もしかすると相手の魔力の大きさによって、範囲が違うのかもしれない。

 たぶんゴブリンより、クーシーの方がチャンネル受信範囲広いんじゃないかな。今度試してみよう。

 チャンネルの使い方がまた一つ広がった……。

 いやいや、今は火竜との話し合いだ。どうにかして、帰ってくれればいいのだから。


「あーあー。ええと私は魔女ですが、あなたはどうしてこの周辺に現れたのですか?」


 まずは状況確認だ。火竜の事情がわからないと、説得の端緒が掴めない。


《火竜:そう言うということは、やはり我を呼んだのとは別な魔女か……。なぜこんなに魔女が増えたのだか》


 たぶん実験のせいですね!

 そうは思ったけど、話が脱線しそうなのでそこはノーコメントで。


《火竜:……そうかわかったぞ。先ほど我の炎を塞いだあの娘が、魔女だったか》


「ご名答です」


 別に隠す必要もないと思い、私は返答した。


《火竜:あの森はお前の庭だったのか。ちっ……つくづく不運な》


 火竜の舌打ちとか初めて見た。そもそも火竜とお話できてるのがおかしいんだけど。もうそのあたりは、ゲーム感覚になっているので、そこまで驚いていない自分がいる。


「あの、どうしてあの森を焼こうとしたの? 他の魔女に、攻撃するように言われたの?」


 そもそもゲームのトレーラー映像で、火竜は自主的に森を焼こうとしていた。町の破壊はそのついでという感じで。だから、他にいるのが確定した、魔女の指示かと思ったのだけど。


《火竜:我の力の源は炎。足りないゆえ、炎を作りだして補充をするところであった。満ちておれば精霊王の剣など……》


「食事のせいだった!」


 ご飯の作成で森を焼くだなんて、豪快というか迷惑というか……。

 火竜さん、ほんとに巣に帰ってほしい。だから原因を追及する。


「あなたは別の魔女に、何を命じられたの?」


《火竜:この小娘め! 我は命じられることなどありえん!》


 近くにいたら、火竜が吠えてそうだなと思ったけれど、あいにくこちらは文字表示なので怖くない。チャット感覚でラッキーだった。

 メールみたいに、相手の言葉を少しの時間でも咀嚼して対応できるのも、なかなかいいなこのチャンネル。


「では何か契約を結んだんです?」


《火竜:我の故郷を取り戻す方法と、取り引きをしてな》


「え、故郷?」


 そもそもこの火竜は、帰る場所を失っていたの?


《火竜:人どもが我の住む山の火の力を失わせたのだ。それを取り戻す方法は破壊すること。魔女の目的もその遺跡の破壊だ》


「遺跡……」


 団長様が火竜を落とした場所は、国境近く。

 そういえば倒されそうになった火竜は、死ぬ前に、タナストラに向かって火球を吐き出し、タナストラ領内を破壊している。

 おかげでタナストラが「火竜に攻撃させただろう!」とアーレンダール王国に難癖をつけた原因になったのだ。


 もしかしてそこに遺跡があるんじゃないだろうか。

 ……阻止できれば、紛争はなくなる?

 とはいっても、火竜は契約をして破壊を請け負ったらしい。その契約を破棄させて、お引越し先を見つけなくちゃいけないのか。けっこうキツイな……。

 考えていると、火竜が笑う。


《火竜:クックック……。我をどうにか排除しようと考えておるのだろう、小娘。しかしお前が我が故郷を取り戻すのでもない限り、我はこの契約は解除せぬぞ》


 やっぱり知能が高いせいなのか、火竜はこっちの考えもお見通しのようだ。

 しかしそれでめげてちゃいけない。上手くいけば、みんなが怪我をしないどころか、紛争に関わるクエストもかわせるのだ。

 平和に暮らしつつ、お茶を広める時間が欲しい私としても、がんばらなければ。


 というわけで交信を一端切ることにした。


「貴重なご意見ありがとうございました。またご連絡いたします」


《火竜:は? またご連絡ってなんだ!?》


 火竜が一体何なんだと困惑していたけれど、私はぽちーとボタンを押して通信を切った。

 よし、まずはソラに相談しなくちゃ。

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