第341:和平への道
軍勢を率いデル・レイ王都に進軍するサルヴァ王子は、グラノダロス皇国副帝アルベルド・エルナデスの訃報を聞いた。
王都に近づき兵達の士気を鼓舞するためにも馬上にあったサルヴァ王子だが、報告を受けた後、しばらくの間、時が止まったかのように微動だにしなかった。副官としてサルヴァ王子の傍に居たウィルケスも、駆ける言葉がない。普段は、王子に対して無礼とも見えるほど遠慮なく発言する彼だが、さすがに口を挟める状況ではなかった。
周囲の者達が王子の言葉を待つ中、やっと発した王子の言葉も
「そうか」
という簡潔なものだった。
改めて馬を進ませたサルヴァ王子だが、その心中は複雑なものだった。
運命を信じない、運命というものがあったとしても、それを切り開くのは己自身。そう信じる彼ではあるが、それでも、自身が時代というものに選ばれたのでは。という考えが心によぎった。
戦いには勝った。しかし、それでもアルベルド・エルナデスは侮れない。ここからこそが本当の勝負。そうまで考えていたが、その相手が突如、消失したのである。
思い起こせば、ゴルシュタット王国のベルトラム・シュレンドルフもサルヴァ王子は一筋縄ではいかないと目していた、しかし、王子から見れば、突如、訳の分からない理由で死んだ。のである。
そして、今回のアルベルドの突然の死。報告によるとアルベルドの義姉のフィデリアが、デル・レイ王都内のリンブルク兵を従え反乱を起こしアルベルドを討ち取った。しかも、その理由というのが、アルベルドが皇国を裏切ってランリエルと内通し、戦いにわざと負けたからだと言う。しかも、フィデリアを他の男に抱かせて孕ませたとも。
その為、リンブルク兵とフィデリア派のデル・レイ兵がデル・レイ王都を占拠し、アルベルド派のデル・レイ兵と他の皇国兵との間にも戦いが起こった。その皇国兵達も、ランリエル軍が迫ってきている事に、このままでは対抗できないと皇国本国に向かって退散した。
現在、デル・レイ王都に籠る兵力はリンブルク兵2千を中心死とした、1万にも満たない兵力だ。
あれほど優れた男が、なんと愚かな。と、にわかには信じられる思いのサルヴァ王子だ。アルベルドがランリエルに内通していない事など、王子が一番よく知っている。にも拘わらず、それを理由に殺されたというのなら、本来の理由は、フィデリアへの仕打ちの方だろう。繰り返すが、愚かな。以外の言葉がない。
しかし、王子はアルベルドだけが愚かだとは思っていない。己は、劣らず愚かだからだ。
そうした情報を得たランリエル軍は、デル・レイ王都を目指した。そして、その目前に迫ると全軍に休息を命じたのである。
「飯の準備をしろ!」
部隊長の命令に、雑兵や従者達が火をおこし炊飯を開始した。多くの煙が昇り、それはデル・レイ王都からも良く見えるだろう。勿論、あえて見せているのである。仮にデル・レイ王都の将兵どころか住民達も皆殺しにするつもりならば、まずは兵で王都を囲む。
それをあえて王都の住民に時間的余裕を持たせた。勿論、ランリエル軍が来ることは前々から分かっていたことだ。その時は、ランリエル何するものぞ! と、徹底抗戦を唱えていた者達も、実際に軍勢が近づき戦闘が開始されるとなれば考えも変わる。
人は目に見えぬ脅威にはいくらでも勇敢になれるが、目に見える脅威には怯む。
「君の為ならば命など惜しくはない!」
と恋人に誓う彼氏が、いざ、町の不良に彼女が絡まれれば、彼女を見捨てて、我先に逃げ出すようなものだ。
そうして動揺するデル・レイ王都の背中を押すため、サルヴァ王子は使者を派遣した。
デル・レイ王都の現在の中心兵力はリンブルク兵。彼らの祖国のリンブルクは、現在、ランリエルの軍門にある。彼らを主体に考えれば、君達を救出に来た! 共に皇国を討ち果たそう! という口上でも良かったが、彼らはグラノダロス皇族のフィデリアを慕っているという。そして、フィデリア派のデル・レイ兵。彼らは何も皇国自体に敵対したいわけではあるまい。
つまり、リンブルク派、デル・レイ派の2派がある訳だが、その両者に配慮が必要だ。
その両者に配慮した口上をサルヴァ王子から託された使者が王都の門を潜った。
そして、実際にデル・レイ王都は揺らいだ。
そもそもアルベルドを倒した後にどうするか? という事について、フィデリアとリンブルク将兵達との間では方針が決まっていた。だが、フィデリアとリンブルク将兵達だけで決めたので、デル・レイ兵の中で味方に付いてくれた者達への配慮が足りて居なかった。という事態に陥っていたのだ。
フィデリアは、例によって身を呈してリンブルク兵を含めたデル・レイの民、全住民を助ける考えだ。ランリエルの最高権力者であるサルヴァ王子に抱かれる気、満々だった。
そしてリンブルク兵達も、フィデリアが他の男に抱かれるのみ涙を流しながらも、もはや「いつものこと」なので、そういうものだという気持でも居た。
問題になったのはデル・レイ兵だ。彼らはフィデリアに信奉し彼女を女神とも思っている。彼らはフィデリアがリンブルク兵達を守る為に多くの男達に抱かれて来たなど夢にも思わない。
しかも、そもそもランリエルに降るなど考えもない。それには、彼らがフィデリアを信奉し過ぎている。というのも理由の一つだ。それに、ランリエルの大軍に王都が囲まれても負けはしない。という勝算があった。
「確かに副帝であったアルベルドを討ったことにより、城外の皇国軍とは敵対したが、皇国本国にアルベルドの非道が伝われば、我らの行動も理解して貰えるはず。そうすれば援軍も派遣して来よう。我らはそれまで持ち堪えれば良いのだ。確かに多勢に無勢ではあるが、城壁を頼っての防衛戦は防衛側が有利。民にも武器を持たせれば問題あるまい」
確かにその通りではある。しかし、その大前提が間違っていた。フィデリアによるアルベルドの糾弾は、完全に虚言なのだ。それは、虚偽の罪で処刑となった夫ナサリオの恨みを晴らす為、出鱈目の罪でアルベルドを殺す。という理由であったが、いざ、味方にそれを信じられてしまうと困った事態になった。
「すみません。嘘でした」
とも言えず、嘘を付きとおすしかない。
そうなるとランリエル軍と戦うしかない。ここでリンブルク兵の為にランリエルに降る。とでも言おうものなら、今度はデル・レイ兵とリンブルク兵とが城内で争いになるだろう。
「ランリエル軍を迎え撃つのだ!」
と民衆にまで武器を持たせて城壁を防衛する事となった。民衆たちも
「フィデリア様の為ならば!」
と、戦意は高い。
そこにランリエルからの使者が来たのだ。
現在のデル・レイの国王はユーリであるが、その玉座の隣には王母としてフィデリアの姿がある。更にその左右に大臣達が立ち並び、彼らを前にランリエルの使者は深々と頭を下げた。
その使者に目を向けるユーリの顔はなんともいえぬ表情だ。憮然とも唖然ともとれる感情の見える顔で、事実、彼の心中は荒波にもまれる小舟のように定まらない。
もとより、アルベルドを自身の実父などという話は信じていなかった。母がそれを認めたのも自分を助ける為。そう認識していたところに、その母がアルベルドの子を腹に宿したと驚愕した。更に、実は母が宿した子供は、誰の子かも分からないとし、しかも、母が主導してアルベルドを討った。というのである。
その後、母から、すべて父ナサリオの仇を討つ為。という説明は受けたが、母が懐妊しているのは事実のようであり、やはり、誰の子かも分からないという。
父の仇を討てたと喜んでよいのか、母がそんな目にあっていたた悲しんでよいのか。混乱する。しかも、現状、皇国の副帝を討ったということで反逆ととられかねない状況であり、ランリエルからも攻められんとしている。
すでに国王となり1年が過ぎたユーリだが、まだまだ1人で国政を担うには器量が足りない。ましてや、自分が主導したわけではないこの状況に頭がついてこないのだ。
その傍に立つフィデリアも、表情こそは凛と静まり返っているが、内心、無計画の状態であった。ただ、ここ数年の出来事で、多少の事では動じない胆力を身につけていた。
その親子を前に使者が口上を述べ始めた。
「我が国は、グラノダロス皇国とこれ以上争おうとは考えておりませぬ。そもそも我が国とグラノダロス皇国と争ったは、亡きアルベルド陛下が我が国を誹謗中傷し、両国が争うように仕向けたが故。我が国では、アルベルド陛下が今回の騒乱の元凶と考えており、そのアルベルド陛下が亡き今、両国が争う必要はないと考えております」
そう口上の口火を切った。デル・レイ側も頷きやすいように十分に政治的配慮もなされている。
グラノダロス皇国では、自国以外の皇国など認めていない。サルヴァ・アルディナがその皇帝などとも認めていない。勿論、皇国の衛星国家であるデル・レイも認めない。認めない文言がある外交文などに頷けるはずがない。内容以前の問題なのだ。なのでサルヴァ・アルディナの名は一切出さない。ランリエル皇国とも言わず、”我が国”と称した。
これならば、自分達も受け入れる余地はあると、大臣の中には小さく安著のため息をつく者もいた。
ランリエルの使者の口上は続く。
「勿論、我が国とグラノダロス皇国との間で争いが起こったのは事実。何事もなかったかのように。というわけにはいきますまい。お互い言葉を尽くし、話し合う必要があるのは当然で御座います。デル・レイには是非とも、我が国とグラノダロス皇国との平和の為に間を取り持って頂けませぬでしょうか」
その口上に大臣達はどよめいた。外交交渉では、相手の言葉に反応を見せるのはご法度。見せるとすれば、相手をだます為の演技であるが、今の彼らの反応は演技ではなく、抑えらぬ感情の為だ。
降伏勧告の使者かと想定していた。その無礼な使者をどう料理してやろうか。拒絶するのは当然として、どう使者を辱めて返すかを考えていたのだが、降伏の使者ではなかった。
降伏どころか開城ですらなく、両国の平和の為の仲介を頼みに来た。しかも、デル・レイを飛び越して皇国との外交交渉の一旦ともいえる。我々を無視をするのかと侮辱されたと突っぱねる事も出来るが、それに目を瞑れば、これは我が国の独断では判断できぬ。と、面子を保ったまま責任を回避できる。
戦いには、敵を完全に包囲してはならない。という言葉がある。それは、逃げ道をなくせば、敵は窮鼠と化し思わぬ被害が出る。勝敗が決し、敵戦力を殲滅する戦略的理由がないならば、味方の被害は少ない方が良い。
今回、サルヴァ王子は、そもそもデル・レイを殲滅する気すらない。殲滅する気のない敵を窮鼠と化しめるのはまったくの無駄。城内のデル・レイ兵も、ランリエルに対し死力を尽くして対抗しようと考えていたが、王都前に集結したランリエルの大軍の威容。その彼の陣地から立ち上る炊煙の数。それらが彼らの精神を圧迫していた。
すぐに攻めかかってくれれば、考える間もなく死闘を演じたであろう彼らだが、なまじ時間の余裕があるだけに迷いが出た。死なずに済む道があるならば、反射的にその道が本当に安全なのかと探りを入れたくなってくる。
使者を前にした多くの者が、このランリエルの提案に興味津々だが、予想外に過ぎた。使者との対面の前の打ち合わせで、ランリエルがどのような提案してくるか。を予想し、その返答も検討されていたが、この提案の返答は検討されていなかった。
こうなれば国王たるユーリが判断し返答するしかないが、その国王は玉座の上で表情を浮かべず固まったままだ。
仕方がないので、フィデリアを含め大臣達、さらに使者も国王の言葉を待ったが、どうやら、その国王はそもそも自分が発言すべき。という認識すら持っていないようだ。
そうなれば、次に発言できる立場なのは王母フィデリアだ。仕方がない。と前に進み出て、この状況での最善の言葉を発した。
「使者の言葉分かりました。国王も熟慮されましょう。返答は改めて行います」
そのフィデリアの言葉に、多くの大臣が安著のため息をついた。
使者を返した後、フィデリアとリンブルクの将軍ラングハイン、大臣達と協議を行った。
まずはラングハインが口を開いた。
「皇国からの援軍があるとはいえ、ランリエルは大軍。それまで持ち堪えられる保証はありません。彼らも降伏しろと言っているわけではありません。皇国本国との仲介を望むというなら、仲介してやれば良いのではないでしょうか」
実際は、本国からの援軍は期待できない。しかし、それをデル・レイの大臣達には言えない以上、援軍は来るだろうが間に合わない。という流れで話を進めるしかない。
それに対し大臣が応えた。
「言わんとするところは分かるが、ランリエルなどという格下の相手の要請に、我れら皇国に属する国家が唯々諾々と受ける訳にはまいらぬ」
この返答に、ラングハインは内心、1つ目の障害は乗り越えたと安著のため息をついた。フィデリアも、同じ思いなのか小さく頷く。本来、彼女は皇国側の人間であり、皇国の名誉というものに敏感のはずだが、夫ナサリオが処刑となってから、皇国というものを客観視できていた。皇国の名誉。というものも冷ややかな目で見ている。本来、政治的駆け引きでは彼女より格上であるはずの、大臣達よりも広い視野でものが見えていた。
しかも、すでに彼女の心情は皇国よりもリンブルク将兵に同情的だ。
軍事的現実で論じるラングハインと、皇国の名誉を論じる大臣。論点がかみ合っていないとも見えるが、これは、軍事的現実という論点では、大臣は反論するすべがない為、論点をすりかえた。とも言える。
論点のすり替え。というものは、一見、議論の技術の一つとも見られるが、実際、その論点では勝てません。という敗北宣言でもあるのだ。
「そのお気持ちは分かります。確かにランリエルは格下。しかし、だからこそ、その格下にデル・レイ王都が落とされるようなことがあれば、デル・レイは取り返しのつかない不名誉を歴史に刻む事になるのではありますまいか」
ラングハインは、大臣の論点に沿いつつ、大臣が敗北宣言した自身の論点で武装する。しかし、どうしても敗北を認めたくないという人間はどこにでも居るものだ。大臣は、もはや皇国の名誉よりも自身の名誉の為に反論する。
「ならば、せめて一戦し、我らの力を示してからランリエルの提案を受ければ良い。そうすれば、我らの名誉は守られよう」
ラングハインは、内心、頭を抱えた。リンブルク将兵の地位は、所詮は元捕虜。それをフィデリアの尽力により、立場を与えられているだけ。大臣達との軋轢は避けたいところだが、おそらく、言い負かされたくないという気持ちが先行し、頭に血が上っているのだろう。大臣の提案は突っ込みどころが満載過ぎて、どこから突っ込んでも致命傷だ。
一度矛を交えれば、じゃあ、気が済んだので、これから仲良くしましょう。などと出来るわけがない。名誉の為に一戦するなど、それこそ弱者の考えではないか。
しかし正面から反論すれば、頭に血が上った者には逆効果。ならばと、ラングハインは、搦め手から攻める事にした。
「分かりました。大臣方がそうお考えなら我らも覚悟を決めましょう。それに、もしランリエルに王都を落とされても、デル・レイの前には、アルデシアが先に王都を落とされております。我が国への嘲笑も少なくてすむでしょう」
一見、大臣達に同意しているようだが、実は違う。皇国の衛星国家が格下の王国に王都を落とされるなど、これ以上に無い恥辱。アルデシア王都がバルバール王国軍に落とされたと聞いた時、彼らは大いに嘲笑したものだった。
万一にでもランリエルに王都が落とされようなものならば、自分達が末代まで永遠に嘲笑されかねない。名誉のために一戦。そう主張していた大臣達だが、失敗した時に割が合わなさ過ぎる。とはいえ、それに気づいても、今更、前言撤回は出来ない。
しかし、そこでフィデリアが絶妙な助け舟を出した。
「ですが、そうなると先鋒を務めるのはリンブルク兵となりましょう。彼らは今まで多くの被害を出してきました。これ以上、彼らに戦って貰うのは、私も胸が痛みます。どうか戦わずに済ますわけにはまいりませんか?」
これで大臣達は救われた。自分達は名誉を重んじ一戦も辞さぬ覚悟だが、女神フィデリアの頼みで矛を収めた。そう面目を保つことが出来たのだった。
数日後、改めてデル・レイ王都の門を潜ったランリエルの使者は、グラノダロス皇国本国と貴国の仲介をいたす。との返答をサルヴァ王子への持って帰って来たのだった。
「貴国。ですか、意地でもランリエル’皇国’とは、呼びたくないようですね」
サルヴァ王子の傍で使者からの報告を聞いていたウィルケスが、使者が下がると王子にそう言いながら人の悪い笑みを浮かべた。サルヴァ王子も苦笑で返す。
「彼らの気が、それですむなら好きにすればよい。私にとってはどうでも良い事だ」
しかし、そう言ったサルヴァ王子も、人の事は言えない。そもそも使者に託した言葉に、ランリエル皇国と自国の名称を全く使わず、’我が国’と称したのはサルヴァ王子自身。デル・レイ側の態度も、そのサルヴァ王子の配慮があったからこそ。と考えれば、サルヴァ王子が誘導したとも言えるのだ。
とにかく、サルヴァ王子はデル・レイでの戦略的成功、いや、政治を含めた大戦略の成功を収めた。グラノダロス皇国を軍事的に侵略するのならば、橋頭保という意味からもデル・レイ王都を落とす必要があった。
しかし、サルヴァ王子が求めているのは皇国との和平。その観点ではデル・レイ王都は落とすべきではないのだ。それどころか、デル・レイの仲介。デル・レイから見れば、自身の名誉を守りながらランリエルと戦わずにすむ都合の良い状態だが、皇国本国から見ても同じ事。ランリエルから直接申し込まれれば、格下の提案を聞くなど皇国の名誉が邪魔をして、素直に聞けない。というものでも、仲介したデル・レイの面子を考慮して話を聞いていやる。という態を取れるのだ。
勿論、そもそも皇国にランリエルの話を聞く気が全くないのなら論外だが、実際、兵力の大部分を動員し、それが四散した状態の皇国に、今すぐランリエルに対抗する兵力は整えられない。
アルベルド・エルナデスは、ランリエルの軍事的行動限界を把握しており、ランリエルが皇国本国まで攻め込めるはずがないと読んでいたが、皇国首脳部はそれを知らない。ランリエルと戦える体制を整えるまでの時間が必要だ。その意味では、ランリエルと交渉して時間稼ぎをするのは渡りに船。だが、大陸一の大皇国という面子が邪魔をする。デル・レイの仲介はその面子を保つ為に必要なのだ。
そして、サルヴァ王子の推測通り、グラノダロス皇国から
「ランリエルの話を聞こう」
という’皇国’とうい呼称を抜いた返答が返って来た。
こうなれば、ランリエルと皇国との会談は、皇国本国の承認。衛星国家のデル・レイにはそれを妨害する事は出来ない。つまり、この段階になればデル・レイはサルヴァ王子に危害を加えない。いや、加える事が出来ない。それをすれば、皇国の面子を潰すからだ。それはランリエルとデル・レイとの共通認識だ。
それまでデル・レイ王都郊外に野営していたサルヴァ王子だったが、デル・レイ国王ユーリの名の元に城内に招かれ、王子はデル・レイ王都に入城を果たしたのだった。




