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愚者達の戦記  作者: 六三
皇国編
219/443

第129話:神速

 外交官サントリクィドの必死の交渉の甲斐なく皇国軍によるランリエル討伐は覆らなかった。それでも更に使者を派遣したが、その後は皇帝に会う事すらかなわなかった。皇国と衛星国家の軍勢は一度皇都に集結し盛大な出兵の儀式を行った後、ついに皇都を発した。


 号して100万。


 ぎりぎりまで戦争回避をと懸命に動いていたランリエルだったが、この段になって諦めざるを得なかった。ランリエル側の国々はそれぞれ軍勢を出発させたのである。


 合わせて60万を称した。


 その未曾有の大軍同士の決戦の場はどこになるのか。ランリエル軍を大きく上回る皇国軍はそれだけに動きが鈍い。しかし、皇国軍の出陣を見届けてから動いたランリエル側は出だしで遅れた。悪天候などで足止めを受けなければ両軍はコスティラ領内でぶつかる。そう予測された。


 ランリエルは、自勢力領内を進むが皇国軍はそうは行かない。ケルディラかロタか。とにかく他国の領土を進む。無論、承諾など求めず当然のようにだ。


 その両国に対し、サルヴァ王子は出陣と同時に大使を派遣していた。


「皇国軍の通過を許すお積もりか。もしそうならば、貴国が皇国に助力すると考えてよろしいか?」


 大使の言上にケルディラとロタはそれぞれ返答を行った。


「助力などとんでもない。我が国は皇国とランリエルとの戦いには不介入です。軍勢が進むも引くも我が方には与り知らぬ事」

 そう答えたのはケルディラである。


「助力とはとんでもない。我が国のような小国は戦いにただ怯えるばかり。戦いは望んではおりませぬ」


 皇国の威信に対する皇国民の考えは他国民から見れば異形とも見える。そもそも今回のランリエル討伐が、他国から見ればそれを行うほどの失態がランリエルにあるとは思えない。しかし行われるのだ。どう難癖を付けられるか分からず、下手に皇国に助力するなどと言えば、当の皇国に、お前たちのような小国が皇国に助力とは増長したか。とでも言われかねない。台風が通過するのに手助けをする必要はないのだ。それに億が一にもランリエルが勝てば、その後の報復も恐ろしい。双方に関わりなし。その立場を表明するのが賢いやり方というものだった。



 その日、漁師のフョードルはテレス川に船を出していた。この川は以前はケルディラ領内を流れていたが、今ではケルディラとコスティラを隔てる国境の川となっていた。川が動いたのではない。川の東側がケルディラだったのがコスティラへと変貌した。もっとも、川の西側に住むフョードルにとって、今も昔もケルディラであり関わりのない話だ。


 しかしその当時は十分に関わりがあった。その時ここは戦場となりケルディラ軍とバルバール、コスティラ連合軍が戦ったのだ。その間しばらく漁が出来なくなり困ったものだった。


「また、ここが戦場になるのだろうか?」


 小さな船の櫂を漕ぎながら呟いた。不安から独り言が増えた。


 戦場になれば、また漁が出来なくなる。いや、皇国軍はこの川を渡り通り過ぎるだけとも聞いている。そうなれば、その後は漁が出来るのか。それとも近寄るなと追い払われるのか。いや、皇国軍はケルディラ経由ではなくロタ経由でコスティラに向かうとも聞いている。そうなればここは大丈夫なはずだ。


 その時、微かに音が聞こえた。どんな音かと言えば、地面が鳴っている。以前も聞いた事がある。それはケルディラ軍数万が川岸にやって来て、その時に地響きを足の裏で聞いたのだ。だが、ここは川の上。それを地に居た時と同じように感じた。流れる川にすら伝わる地鳴り。どれほどの大軍なのか。


 まさか来たのか? 噂ではもっと先だと聞いていた。少なくとも後数日、遅ければ10日以上先と聞いていたのだ。もう、皇国軍が来たのか?


 船の上に立ち上がり川岸に目を向けた。だが、軍勢の姿など見えず茶色い土と申し訳程度に生える草木の川岸が見えるのみ。気のせいか? そう思った瞬間、また、もっとはっきりと感じた。耳にも聞こえる。しかし、目を凝らして見てもやはり軍勢など見えない。


 フョードルは訝しみ、その間も身体に感じる音は大きくなっていく。そして、どこから聞こえて来るかまではっきりと分かるほどの音となった。


 コスティラ側!?


 東に目を向けると、地平線一杯に土煙が広がっていた。


 その大軍は川岸に辿り付くと、唖然とするフョードルの前で手際よく渡河の準備を始めたのだった。


 両軍が進み衝突するのはコスティラ領内。そう考えられていたはずが、皇国軍がケルディラに到着すらしていないにも関わらず、ランリエル勢がケルディラ領内に入った。


「軍勢が進むも引くもあずかり知らぬと申されましたな」


 ケルディラからの抗議の使者が来る前にこちらから使者を送った。


「し、しかし、まさかランリエル軍が我が国に入るとは……」

「それは、そちらの思い込みというもので御座いましょう。それこそ我が方の知らぬ事。貴国のお言葉通り、軍勢を進ませて頂きまする」


 ケルディラは反論の言葉を持たなかった。しかし、彼らの落ち度ではない。通常の考えではランリエル軍がケルディラに到達するはずはなかったのだ。ランリエル軍の速度が通常のそれではなかったのである。


 ランリエル王国軍を筆頭にカルデイ、ベルヴァース、バルバール、コスティラ。5ヶ国の軍勢は、それぞれの国からなんと通常の半分の日数でケルディラまでの道のりを踏破したのだ。とはいえ、昼夜問わずの行軍など不可能。1日、2日の話ではなく現実的ではない。だが、そうとしか思えぬほどの速度だった。


 サルヴァ王子は交易路の拡張、整備の大事業を行った。道幅を拡張し、今まで道が無かったところにも道を作った。谷間を繋ぐ橋もかけた。荷馬車の車輪は舗装された道の上を軽快に回り、今までは丸一日かけて迂回していた谷を、かけた橋で瞬く間に越えた。皇国の警戒を解く為の実に平和的な事業。そう見せかけ、実に軍事的な事業だった。


 そして武器や防具以外の食料などは最小限に留めた。それらは海路を取りコスティラの西側にあるキロスク港に荷揚げした。その後は陸路を進み軍勢と合流したのだ。これがこの手品の種だった。今後は武器や防具を含めたすべての物資は海路から続々と運ばれる手はずである。


 コスティラ領内を戦場にはしたくなかった。軍隊とは基本略奪するものだ。敵領内から食料を奪略するのは敵から食料を奪う事だ。自分の領内から食料を運ぶ労力、資金を節約するという事だ。兵法にある、敵領内で得た食料は自領内から運ぶ食料の10倍の価値があるとは、それを意味する。


 だが、サルヴァ王子はケルディラ領内で略奪をする気はなかった。ディアスあたりは甘いと言うだろう。それで負けたら、結局コスティラどころか、ランリエル勢力5ヶ国が略奪にあうんですよ、と。


 王子にもそれは分かっている。だが、それでもだ。ケルディラでは略奪はしない。戦場を借りるだけだ。皇国軍は略奪をするかも知れない。そこまでは責任は持てない。中途半端だ。自分でもそう思う。だが、これが限界だった。


 そして、神速の行軍以外にも、サルヴァ王子には更なる手品があった。


 ランリエル王国軍の軍勢が、皇国のランリエル討伐発表時にランリル王国軍務省が把握していた数よりも多かった。その差2万。管理の誤差、漏れで済まされる数ではない。そして、そもそもその軍勢の兵士達はランリエル人ですらなかった。コスティラ人である。


 交易路の拡張事業で掻き集めた、元コスティラ兵士を中心とした大勢のコスティラ人労働者。それをそのまま軍勢に組み入れた。農村から来た者の中には、兵士になる気はなかったと去る者も多いが残った者も居る。


 とにかく集めただけ。という状態の為、指揮系統も何も無いのが現状だが、元々集団戦の巧みさより個々の戦闘力に依存するのがコスティラ人だ。急遽集めた為、劣勢時の粘りは期待出来ないが、勢いが必要な時に投入すれば大きな戦力になる。



 計画していた戦場に陣を敷いたサルヴァ王子は本陣とした小高い丘で一息ついていた。


「我が軍がここまで出てくるとは皇国軍も想定していなかったでしょうね」


 常に傍に居るのは副官のウィルケスだ。


「ああ、これで戦場の利は我らにある」


 自国以外はまったくの不案内。かつてはそうだった。しかし、交易が盛んとなり人々が行きかうようになってくると、地元の者しかしらぬ間道など他国者が足を踏み入れない場所以外は大抵地図が作られている。戦いが起これば各国の軍人達は想定する戦場の地図を取り寄せ事前に作戦を立てる。だが、思わぬところが戦場になればそれもすべて無駄となる。


 皇国軍はアルデシアを経由してロタからコスティラに入りたかったはず。読みというほどの事ではない。大軍はそれだけに大きな道を通りたがる。つい最近までロタは大陸の交易の中心だった。街道が整備され四方に広がるロタを経由するのが一番自然だ。


 しかしランリエル勢はケルディラのデル・レイ国境近くにまで進出した。デル・レイに突入する事も可能だった。だが、しなかった。この戦いでもし皇国軍を追い払う事が出来たとしても、2回目の遠征があれば脅威は続く。必要以上に恨みを買うべきではなかった。劣勢にも関わらず、更に相手に気を使わねばならない。それが現実だ。


 アルデシアを進んでいた皇国軍は、ランリエル勢がケルディラ国境を越えたとの報告に急ぎ北上した。それから改めて東に進路をとりケルディラに入ったのだ。皇国軍は、ここが戦場になるとは全く考えて居なかった。そしてランリエル側は、テレス以西の戦場を十分に研究していた。


「皇国軍100万と発表してますけど、実際は80万ぐらいですか?」

「ああ、おそらくな」

「まあ、こちらも60万と言いながら、40万も居ないですしね」


 その返答にサルヴァ王子が微かに吹きだした。


「どうしたんです?」


 流石に笑える状況ではないはずだ。


「いや、40万の軍勢を少ないと考える日が来るとは思ってもみなかったのでな」

「確かに、とんでもない大軍のはずなんですけどね」


 ディアスは、5万が精々のバルバールから見れば100万の軍勢など別世界と言ったが、サルヴァ王子から見てもやはり次元が違う。これで敗北しては後が無いと各国あらん限りの軍勢を送りそれでも40万を越えなかった。だが、皇国はまだ余力を残している。


「各軍の配置はご指示通りです。最右翼にコスティラ軍5万、平野部に布陣。次にカルデイ軍4万5千がアルスク高地に登っています。中央が我が軍20万、ルトラ山からアグルズ原までに展開。左にベルヴァース軍4万、ブンスク丘。最左翼はバルバール軍6万、ブンスク丘を下った平野部からメンデス丘にかけ固めています。これで西から来る皇国軍をこのボルガル平原で東から大きく囲む形になります」


 近年の一連の騒乱においてバルバールは上手く立ち回った。カルデイ帝国軍総司令ギリスはそう評した。無理をして5万。かつてはそういわれていたバルバールだが、ドゥムヤータに加勢しテルニエ海峡の通行税を得て、さらにそのドゥムヤータ、そしてランリエルからの軍艦建造の受注も大量に受けた。その結果、動員兵力は6万にまで膨れている。


「右翼に最強部隊を配置するのが常道だ。この大陸で陸戦最強と呼ばれるコスティラ軍に任せる。その反対に敵の最強部隊はバルバール軍に受け持って貰う。カルデイに任せるか迷ったがな」


 軍事的な総合能力で考えればディアスとギリスにそう差はない。サルヴァ王子はそう見ているが、ギリスが優れているのはその’読み’だ。野戦での指揮能力ならばディアスに一歩譲る。だが、政治的な意味もあった。それを察しウィルケスに皮肉な笑みが浮かんだ。


「コスティラとバルバールは仲が悪いですからね」


 その言葉に王子も苦笑せざるを得ない。


「ああ。コスティラのベヴゼンコ将軍は勇猛だが、それだけに他軍との連携に難がある。だが、ベルヴァースのテグネール将軍もそれとは逆に守勢に強いがこれも他軍との連携を密にするとは言えんからな。彼をコスティラ軍と我が軍との繋ぎにするのは少し不安がある。コスティラの隣はバルバールかカルデイしかないのだが……」


 バルバールにはコスティラに長年攻められ続けた過去があるし、コスティラからすればバルバールに裏切られた恨みがある。総司令のディアスやベヴゼンコはそのような事でお互いの足を引っ張る気はないが、末端の兵士達は、いつ相手が裏切って自分達に攻め寄せてくるか不安を抱える。神経が張り詰めた戦場では些細な事で暴発するものだ。助ける為に近寄ったら攻めて来たと勘違いされ攻撃される。その馬鹿げた事がコスティラ軍とバルバール軍との間では起こりかねないのである。ならばコスティラの隣はカルデイしかない。


「とはいえ、これは結果的に戦力分散だ。右翼に最強部隊をそろえて戦いたいところだったのだがな」


 大陸一のコスティラ兵とそれを防ぎ続けてきたバルバール兵。確かに最強部隊だ。理想的なのは、敵の最強部隊は最低限の戦力で防ぎつつ、敵の弱いところをこちらの最強部隊で打ち破る事である。左右の戦力を均等化するのは一見正しく見えるが、軍事的にはそうではない。


 ウィルケスがふと気付いた。


「我が軍は、カルデイ兵やベルヴァース兵と同じくらいの強さですよね?」

「まあ、そうだな」


 答えた王子の顔に人の悪い笑みが浮かぶ。


「我が軍は弱いのかと言いたいのか?」

「ええ。まあ」


 ウィルケスも悪びれない。


「コスティラやバルバールが強いと言うべきだな。それに、その両軍が今や我らの両翼を担っている。頼もしい味方が居て良かったではないか」

「確かに」

「とにかく、この布陣で皇国軍を待ち構える。皇国が到着するには後数日はかかる。それまで鋭気を養っておけ」


 万一皇国軍にこの場所を先に取られてはと急行したが、後は十分な斥候を放って警戒しつつ兵を休ませなくてはならない。


「そういえば、ルージ殿下とはお会いしたのですか?」

「ああ。少しな。まさか奴が出てくるとは思わなかった」


「確かに意外ですね。戦いとは無縁の人と思っていたんですが」

「詳しくは話さなかったが、奴なりに思うところがあるようだ。顔つきが変わっていた」


「あの方も結婚して5年にもなりますからね。随分大人になられたでしょう」

「大人か。まあ、そうであろうな」


 外見はまだまだ幼さが残る弟だが、確かに自分より先に結婚し妻を得ている。やはり守るべき者が出来れば強くなれるのか。そして、自分にも守るべき者がある。


「とにかく、皇国軍が来れば戦う。いつも通りにだ。そしていつも通りに勝つ。何も変わる事はない」


 その言葉は、傍にいる軽薄に見えるが実は忠実な副官にではなく、この場に居ない者への言葉だった。



 サルヴァ王子は、出陣の前日アリシアの部屋に足を向けた。以前は出陣の前日に向かうのはセレーナの部屋だった。そして、セレーナが亡くなった後は、出陣の前に誰の部屋にも行ってはいなかった。


 セレーナはいつも、ご無事をお祈りしております、と言っていた。それに対し王子は、どうせ祈るなら勝つように祈ってくれと言った。そしてアリシアもだ。ご無事でと、必ず帰って来ると約束して欲しいと。そう言ったのだ。


 必ず帰って来なくてはならない。だが……。相手はあの巨大皇国だ。


 先行し地の利を得られる。コスティラ人を集め戦力は増強される。出来る限りの手を打った。だが、他にも何か出来る事はあったのではないか。


 たとえば、ドゥムヤータ、ブランディッシュをこちらに引き込めれば。皇国軍がこちらに向いたところに彼らに皇国本土を攻めさせる。そうすれば皇国軍は撤退するはずだ。馬鹿馬鹿しい。そんなランリエルだけに都合が良い話は無い。それをしては、ドゥムヤータとブランディッシュが皇国軍に蹂躙されるだけだ。


 すでにドゥムヤータからは断交の使者が送られて来ていた。ブランディッシュはドゥムヤータの傀儡だ。ドゥムヤータを不義理とは思わない。誰だって沈む船からは降りる。仕方が無い話だ……。


 思案しながら足を進ませていると、いつの間にかアリシアの部屋の前だった。部屋を訪ねる事はすでに手紙で伝えてある。扉を軽く叩くとすぐに開かれ部屋に滑るように入った。


「ようこそおいで下さいました」

「ああ」


「明日はご出陣ですわね」

「そうだな。明日だ」


 固い表情の王子を見詰めるアリシアに憂いを帯びた笑みが浮かぶ。


「大丈夫です。殿下。貴方は勝ちます。そしてここに帰ってきます」


 セレーナとアリシアが違うとすれば、アリシアは帰って来て欲しいという言葉と同時に、貴方が勝つとも言う事だ。アリシアは戦いを望んではいない。しかし、今では、王子自身も戦いを望んでいない事を知っていた。それゆえにその王子が戦うならば、せずにはいられない戦いなのだ。ならばこそ勝たねばならない。


 そしてアリシアの気持ちを王子も痛いほど分かっている。


「今日は、朝までこの部屋にいる積もりだ」

「いえ。いつも通りに、ご自分の部屋にお帰り下さい」


 これが最後になるかも知れない。だからこそ今日だけはお前と朝まで共に。そのサルヴァ王子の想いをアリシアは分からないのか。


「貴方は帰って来ます。だから、特別な夜なんて必要ないんです」


 微笑むアリシアの目尻に光る物が浮かぶ。アリシアにも王子の気持は分かっていた。そしてそれはアリシアとて同じ想いだ。最愛の人と少しでも一緒に居たい。しかし、その想いに耐えた。この人は死んだりはしない。ならばいつも通りでいい。


「そうか。そうだったな」


 必ず勝つ。その決意はあった。無論、決意だけで勝てるならこの世に敗者はいない。だが、勝つという意思のない勝者もまたいない。皇国軍100万。その脅威の前に心の奥底では、負けるかもしれない。その思いがあったのか。


 相手を恐れないのは愚かだ。それは恐怖に負けるのとは違う。相手の力を認めた上で心折れない。それが必要なのだ。


 政治、経済、そして軍事。何をとっても自分とは比べ物にならないはず。にも関わらずいつも彼女は自分に教えてくれる。


「お前を愛している」


 自然と口に出た。


「はい。私も殿下を愛しております」


 アリシアは微笑んだ。そういう言葉は、そう言うんですよ。とは言わないであげた。以前、’そういえば’愛している、と言われた事を、まだ少し根に持っていた。

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