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常軌を逸しないレベルの凄い武器

すみません。昨日、更新できませんでした。

「ああ、なるほど、そういうことか……。それじゃ、常軌を逸しないレベルで凄い武器を、適当に選んでくれよ」


 そう頼むと、ほんのわずかな沈黙の後、虚空からグリアルドの声が響く。


「そうだねえ……強力だが、常軌を逸しているとまでは言えない武器か……うぅん、やはり、あれがいいかな。アーニャ、左の棚、二列目の奥にある小箱を持ってきなさい」

「はぁい」


 とてとてと走っていき、アーニャは指示された棚から、指輪を収めるケース程度の、本当に小さな箱を持ってきて、パカリと開き、中身を俺に見せてくる。


 やはりというか、その中には、指輪が入っていた。


 雪の結晶に似た意匠が施された、美しい指輪だったが、こちとら別に、おしゃれがしたいわけではない。


「なあ、別にアクセサリーはいらないんだけど。欲しいのは武器だよ、ぶーき」


「馬鹿だなあ、ナナリーちゃんは。ご主人様のお店にある指輪が、ただのアクセサリーなわけないじゃない。これは『魔氷の指輪』っていってね。鉄鋼に匹敵する強度の氷を自在に作ることができる、優れた武器だよ」


「氷を作る指輪が、どうして優れた武器なんだよ? 俺にも分かるように説明してくれよな。あと、あんまり馬鹿馬鹿言わないでくれ。ちょっと傷つく」


「はいはい、ごめんね。……そうだなあ、口で説明するより、実演した方が早いかな。ちょっと見ててね」


 そう言うと、アーニャは『魔氷の指輪』とやらを、右手の中指にはめた。


 すると、彼女の両腕を、ビキビキと霜柱が包んでいく。たちまちのうちに、アーニャの前腕は、氷で作られた豪奢な手甲で、ガッチリと固められた。


「へえ、すげえな。こりゃまるで、氷のガントレットだ」

「まだまだ、面白いのはここからだよ」


 アーニャが小さくウィンクすると、氷のガントレットが、うねるように姿を変えていく。氷は、一秒も経たない時間で、鋭い剣の姿になった。


 俺が驚きの声を上げる間もなく、さらに氷の剣は変化し、次は立派な盾になる。


 手品めいたその変貌ぶりに、俺は思わず拍手を送った。


 それで機嫌を良くしたのか、アーニャはさらに氷の盾の形を変え、両腕を覆う、巨大なかぎづめを作り、マジシャンが『楽しんでいただけましたか?』と客に伺うように、手を下げ、一礼し、微笑みかけてきた。


「ね? 今見た通り、こうやって、自由自在に、氷の形をコントロールすることができるの。だからこの武器は、攻撃にも防御にも有効なんだ。きみ、氷系の魔法は使える?」


「中級クラスまでならね」


「それなら比較的簡単に、『魔氷の指輪』を操るコツがつかめると思うよ。基本は一緒だからね。まあ、僕と同じレベルで使いこなすには時間がかかるだろうけど、単純に氷の壁を作ったりする程度なら、すぐにできるよ」

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