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掌編は荒野を目指す――ショートショート集  作者: gaia-73
綺陶篇

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「ムーンライトのエスキス」

「ねぇねぇあなた本気なの? 信じられない」


 アスキスは言う。


「世界をジョッキで飲むだなんてどういう了見? 頭が悪いの?」


 アスキスの素描(エスキス)は言う。


「ピラミッドの砕いたやつ食べる? いらないんだ」


 エスキスの客体(アスキス)は言う。


「ノリ悪いなー。なんだか、腕にポッカリと穴が開いたみたいに空虚」


 ジョッキの淵に残った泡に見える物は、実は群集した夥しい鋏角類剣尾目(いきたかせき)の卵。すべての足にハサミがある眷属のものだと、形象(アスキス)写生(エスキス)も言った。


「知ってる? この種族の男性器って、()すだけで瞬時に出ちゃうの」


 もっとも繁栄した種族は昆虫と甲殻類なのに、とどちらかが言う。

 だけどジョッキの表面は、希ガスや水素の結晶で輝いている。

 よく冷えていておいしい。


「こんな夜には月が出てると綺麗なのに……凍てた月こそ最高だと思わない?」


 それは確かに真理。でもパリと日本海が一万マイルほどしか離れていなかったころの話だ。

 ふかふかに揚げた珪素をつまみながら、偶像(アスキス)鏡像(エスキス)と織り成した薄い縞瑪瑙(オニキス)が言う。


「キスしてもいい?」



 ダメです。

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