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「5」
6本目の指が生え始めたのは、5日前のことだった。
6番目の子牛が生まれたのは、5ヶ月前のことだった。
6缶目のキャビアを開けたのは、5時間経ったころだった。
6冊目の聖書が書かれたのは、5当分された羊皮紙だった。
6人目の戦死者が出たのは、5発目の銃声だった。
6トン目の水晶が砕けたのは、5歳の朝のことだった。
6時限目の授業が中止されたのは、5万分の1の確立だった。
6千万年前の大噴火は、5年生のころ思い出した。
6時間の道のりは、5回死に掛けただけで終えることができた。
6光年の距離など、5パーセクに比べてなんと短いことだろう。
6行よりは長くなるな、と思ったのはそれからあと5行書いた時だった。




